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2011年度神戸市予算の分析

                  2011.3.30  文責 あわはら富夫                                                                  
1、神戸市予算額の概要

・一般会計  7452億円(前年度7661億円)対前年比−2.7%
・特別会計  7356億円(前年度7340億円)対前年比+0.2%
・企業会計  3655億円(前年度3412億円)対前年比+7.12%
・合計   1兆8463億円(前年度1兆8414億円)対前年比+0.3%
・歳入・歳出の特徴 
 1、子ども手当てや生活保護の増加
 2、高齢化で介護、国保保健事業費が増えている。
 3、港湾、新都市整備事業で企業債償還が増で企業会計増
 4、市税収入が2643億円で対前年度で1億円減(3年連続減、震災前3000億円)
 5、義務的経費(人件費・扶助費・公債費)比率は55.6%と昨年の53.2%より悪化した。

 
■19年間予算編成が収支不足 ・・・今年は若干改善

・平成5年から収支不足に陥り、今年の予算で18年目に。予算措置は合計5644億円
・収支不足15億円の財源対策の内わけ
  財産収入              15億円
・収支不足はかなり改善されたが、今後も続く可能性は高く、財源はすでに枯渇している。

■指標にみる神戸市一般会計の現状


・政令都市でも下位の財政力
・依然として硬直化続く財政
・地方交付税への依存体質
・高止まりする義務的経費と激減する投資的経費
・減少する投資的経費、最高額2734億円


■市債について

(一般会計改善進むが新都市整備事業や港湾事業で償還財源枯渇)


・起債償還額は1067億円 市税収入が2643億円で家計の40%が借金返済に。一時期、市税収入の60%が借金返済にまわされていたときよりは大きく改善されてきている。
・平成15年に1兆8624億円あった市債残高が平成23年度予算では1兆2529億円と、6000億円が削減された。したがって、実質公債費比率は2009年度予算で14%まで改善され、起債制限比率も2009年度予算で20%を割り込み大きく改善
・起債制限比率や実質公債比率には特別会計や企業会計での起債は入らず、企業会計では、約1兆円の市債残高を抱えている。特に、新都市整備事業では、空港島造成事業の企業債償還が平成21年度から始まり、平成22年度は725億円で空港島造成事業だけで650億円を償還。ところが、財源になる土地処分は進まず、200億円を借換え。更に、今年度は、ポーアイ2期の企業債償還(108億円)が上乗せされ、総額730億円が償還予定。このうち空港島償還が374億円。土地売却が進まない中、ポーアイ2期108億円、空港島200億円、西神南160億円、合計468億円がそっくり借換えに。今後、ポーアイ2期の償還が平成28年まで続くことから、借換えが継続することは明らかであり、子や孫の代まで、借金を先送りすることになる。港湾事業会計でも、ポーアイ2期の償還108億円が始まり、返済の目処がたたずそっくり借換えされた。


2、神戸市政の抱える問題点


■神戸市会の現状と問題点

@新会派構成 定数69人  民主 14人 自民党 14人 公明 12人 共産 9人
 みんな 8人 自民党神戸7人  共産 9人 新社 2人 住民 2人 たちあがれ 1人
A宮崎市長時代は共産党まで含めたオール与党体制、93年神戸空港問題で旧社会党会派が分裂、95年震災後共産党が与党から離れ、オール与党体制が崩壊。震災後市民派議員が当選。98年住民投票運動や市長選挙で、与党野党の対立関係が固定。前回の市長選挙で、現市長が民主単独推薦で与党体制にきしみ。共産党が独自候補擁立で、震災後の住民運動も分裂。今回選挙で、民主党が激減しみんなの党が2人から8人に躍進。
B神戸空港問題や住民投票などで与党野党の対立が先鋭化し、2元制議会の役割が見えなくなり、議院内閣制のような議会になっている。請願陳情でも、中味よりも、どのグループが出したかで、採否が決まる。政務調査費は全面公開となったが費用弁償は継続。議会基本条例などは議論の対象にすらならない実態。地方議会は議院内閣制とは異なる2元代表制だとの認識の統一がまず議員に求められる。地方自治体は「民主主義の学校」である。「議会不要論」が一部首長から出ているが、首長と議会そして市民が相互にけん制し政策を熟議できる仕組みを作ることが議会改革の焦点


■議員の費用弁償の廃止や歳費削減が焦点に
 
神戸市会議員には条例にもとづき、月々の歳費や政務調査費(日常的な調査研究活動のための経費)の他に、本会議や委員会に出席するごとに毎日「費用弁償」が支払われている。この金額は、議事堂から議員の自宅までの距離に応じて日額8,000円〜13,000円の定額制。私は、かねてから、この費用弁償については歳費の二重支給にあたり、市民感覚からも大きく外れていると廃止を主張。私自身は、言ったことに責任を取って、費用弁償については受け取りを拒否。その結果、見直しが始ったが、廃止ではなく自・公・民そしてみんなの党までが上限5000円にする折衷案を今議会に提案。当日の本会議で、私が討論に立ち「費用弁償は完全に廃止するか、最低でも交通費の実費弁償にすべき」と訴える。条例見直しは成立。私は、「廃止」を求め、費用弁償の受け取りを拒否している。
 費用弁償の廃止に反対したみんなの党が、選挙では費用弁償の廃止を宣言し、議員歳費の3割カットを公約している。6月22日からの議会では、議員歳費の削減が焦点になりそうだ。

  
■神戸市の財政ピンチに・・・4年後には健全化基準を超えることに
@収支不足が2014年で累計432億円となり、国が定める実質赤字基準430億円を越え、財政破綻手前の警告段階に当たる「早期健全化団体」に転落する可能性が指摘されている。
A震災前の平成5年から収支不足に陥り、すでに19年間。その財源対策で6000億円に近づく臨時財源が使われてしまっている。すでに収支不足を埋める土地売却など財源対策資源も枯渇。退職手当債でしのぐ。平成5年2734億円の投資的経費が現在は486億円に縮小。
@企業会計でも、約1兆円の市債残高を抱えている。特に、新都市整備事業では、空港島造成事業の企業債償還が平成21年度から始まり、平成22年度は725億円で空港島造成事業だけで650億円を償還。ところが、財源になる土地処分は進まず、200億円を借換え。更に、今年度は、ポーアイ2期の企業債償還(108億円)が上乗せされ、総額730億円が償還予定。このうち空港島償還が374億円。土地売却が進まない中、ポーアイ2期108億円、空港島200億円、西神南160億円、合計468億円がそっくり借換えに。今後、ポーアイ2期の償還が平成28年まで続くことから、借換えが継続することは明らかであり、子や孫の代まで、借金を先送りすることになる。震災や日本の財政悪化で、日本の格付けが低下しており、今後長期金利が大きく値上がりすることが予想され、安易な借換えによる先送りは、次世代に大きな負担を残すことになる。


■「神戸空港」管理収支は約6億円を越える実質赤字

 
別会計の新都市整備事業会計から3億8千万円を借り入れ
@需要予測(319万人で平成22年度から403万人)5年間連続で下回る
昨年5月から日航が全面撤退。スカイマークが増便するも機材繰り、安全管理に不安
A管理収支は5億9400万円の赤字。その赤字を埋める財源として財政調整基金の残2億円を取り崩し、更に、新都市整備事業会計から3億8000万円を借入れることに。直接的な市税投入をさけたが、別会計からの借入れは市税投入と同じ。
Bスカイマークへの優遇
 新都市事業会計から16億円の資金を借りて、告知区域内で新都市から土地を買い入れてスカイマークに貸すという複雑な経路だ。聞くと旅客ターミナルも貨物ターミナルも同じような仕組みだ。しかし、違いは旅客や貨物ターミナルは空港そのもので空港をやめる以外撤退することはないが、格納庫は撤退する可能性もある。しかも、空港会計は企業会計でなく一般会計の特別会計だ。そうなれば空港会計に借金だけが残ることになりかねない。
C関西一元管理での混迷。伊丹の存廃で兵庫県、大阪府対立。関空の1兆1000億円の有利子負債をどうするか。橋下府知事からは「神戸空港は失策」と揶揄。



■海上アクセスに今年も約4500万円

累積赤字167億円を抱える海上アクセス会社に、今年も約4500万円の補助を計上。21年度から、神戸市補助金と駐車場収入でようやく黒字を計上。今年も本業よりも駐車場収入と神戸市補助金頼み。累積赤字解消の見通し立たず。


■六甲シンフォニーホール、バブル期に土地先行取得。含み損208億円

バブル期に六甲山に洞穴をあけてシンフォニーホールをつくろうとの計画。震災後に凍結。神戸市が、計画が凍結される前に、議会に了承もなく土地を先行取得。先行取得した土地開発公社から当時の売価220億円で購入。現在の近隣路線価によると、11億5000万円。なんと、208億円もの含み損が。凍結から中止との方向に。議会に今まで報告されることなく、包括外部監査報告で明らかになったことは極めて問題。議会軽視。


■敬老優待制度の激変緩和措置が昨年9月で終了し、利用者が激減
 2年前の暫定措置でも敬老優待パス利用者が激減。バス4割減。地下鉄で3割減。今回の2倍化で、利用減は更に進み、昨年11月15日調査では昨年同月比より市バスで8.1%、地下鉄で8.9%になってしまった。有料化だけでなくフリーパス制度を乗るたび負担制度にしたことが、他政令都市に比べても利用減になっている。高齢者の社会参加と移動支援が脅かされ、国民保険や介護保険、後期高齢者医療の負担を増やすことにもなりかねない。商店街や市場の売上げにも影響がでている。敬老優待パスの政策としても目標が失われている。制度存続を理由にしているが、「角を矯めて牛を殺す」ことに。

■震災民間借上げ住宅の契約期間の延長問題を

震災民間借上げ住宅が20年の契約期間の期限が迫っている。住み替えの働きかけが、神戸市や兵庫県からはじまっている。対象者は震災で家を失い、本来復興住宅に入る資格がありながらも、住宅の数が少なく民間のマンションやUR団地を市や県が借上げ、公営住宅と同じ条件で20年の契約で入居した人たち。入居者は当時でも高齢化しており、現在では80歳や90歳を超えるような人もいる。強制的な移転を行えば、国際的な人権問題にもなり兼ねない。また、旧市街地での市営住宅募集での競争が激化している時に、より競争率が高まることは必至。市民同士の対立をあおることにもなりかねない。期限を切るのでなく、延長し、その財源保障を国に働きかけるべき。


■新長田再開発事業の失敗

海の神戸空港と陸の新長田再開発が神戸市破綻の引き金になるのではといってきた。本来バブルが崩壊したときに、市街地再開発手法で震災復興を担ったことがこのような悲劇を作っている。新長田再開発ビルの保留床の処分をあせるがゆえに売却を賃貸に修正し、しかも内装費を市が負担するなど実質値引きをしてしまったことが、商業施設そのものの価値を低めてしまった。そのことによって、権利者は、権利を売ることもできず、固定資産税を払い続けることになってしまっている。