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2014年度神戸市予算の分析

                  2014.3.29  文責 あわはら富夫                                                                  
1、2014年神戸市予算の概要

■神戸市予算額の概要
・一般会計  7070億円(前年度7101億円)対前年比−0.4%
・特別会計  6910億円(前年度6934億円)対前年比−0.3%
・企業会計  3664億円(前年度3047億円)対前年比+20.3%
・合計   1兆7645億円(前年度1兆7082億円)対前年比+3.3%
・歳入の特徴 
 1、市税収入が2721億円で対前年度で57億円増。(3年連続増、震災前3000億円)個人市民税は横ばいも法人市民税が14.8%増加。
 2、実質的な地方交付税合計は997億円(対前年度84億円減)。その内訳は地方交付税  568億円(対前年度87億円減)。地方交付税の振替である臨時財政対策債は429億円  (対前年度+2億円)。年々、臨時財源対策債が増えている。市債総額の2割を占める。
 3、消費増税で贈与税・交付金が17.5%増えた。国庫支出金は臨時福祉給付金や臨時特例給付金の支給などで、国庫支出金が8.3%増。
 4、障害者福祉費負担金や小規模保育の拡大や保育所整備費など児童福祉費補助の拡大で、11%増
 5、中小企業融資貸付金返還金などが減少し16.9%減。

・歳出の特徴
 1、生活保護費が前年度過去最高額869億円を記録。今年度は854億円に減少。一方障害者自立支援給付費や保育所措置費の増加で扶助費が1918億円となり、1.9%増。
 2、中小企業融資の預託金の減少で商工費が減少。
 3、道路・橋梁・学校施設の改修など「暮らしに身近な投資」で、前年に続き投資的経費が増。
 4、高齢化の進行で介護保険事業費や後期高齢者医療事業費が皆増。
 5、義務的経費である人件費、扶助費、公債費の合計が3975億円で、22億円減。歳出 総額減で構成比は56.2%と逆に0.2%増。依然として高率で財政の硬直が進んでいる。

■22年間予算編成が収支不足も平成23年度決算から実質黒字に
・平成5年から収支不足に陥り、今年の予算で22年目。財源対策のは総合計5639億円。
・収支不足10億円の財源対策の内わけ
  土地売却収入   10億円  
・2011年度決算が実質黒字に。平成25年度決算も黒字が予想されている。今回の予算も10億円の財源対策が行われているが実質黒字になると思われる。生産年齢人口が減少し消費増税後の経済状況から大幅な税収の伸びに期待することは難しく、また扶助費はまだ増えて行くと思われ、先行きは依然として不透明だが、以前に比べ一般会計についてはある程度安定してきている。
平成12年度からの財源対策の内訳(単位:億円)
12年度 13年度 14年度 15年度 16年度 17年度 18年度 19年度 20年度 21年度 22年度 23年度 24年度 25年度予 26年度予
基金の取崩し 201 1
財産収入 30 48 85 50 50 25 15 15 15 20 10 0 0 10 10
企業会計の支援 35 24 17 12 30 5
市債 7 9 10 8 8 55 40 0
職員給与の削減 25 25 21
公債基金の借入 150 50 20
273 232 162 115 113 56 15 70 15 60 10 0 0 10

■2014年度一般会計予算の財政的評価
・公債費は924億円 市税収入が2721億円で家計の33%が借金返済に。一時期、市税収入の60%が借金返済にまわされていたときからは大きく改善されてきている。
・1998年に1兆8893億円あった市債残高が2014年度予算では1兆2677億円と、6000億円が削減された。したがって、実質公債費比率は2012年度決算で10.9%まで改善され、起債制限比率も2009年度予算で20%を割り込み大きく改善
・2011年度決算から実質黒字になり、この傾向は今後大きな経済変動がない限りは続く。
・投資的経費は585億円と対前年比で32億円増に。一時は450億円までに減少していたが、昨年から、学校施設など市有施設の補修・改 修・耐震化などに「くらしに身近な投資」に重点を移し、従来の施設管理についてもスクラップ&ビルドでの解体・改築から改修保全でできる限り長く使うとの発想に転換したことは評価できる。工事発注をできる限り分離分割して市内の中小零細企業でも仕事が請けられるように工夫することが重要だ。(バブル前には投資的経費2000億円を超えていた)(平成5年2734億円)
・しかし、地方交付税への依存体質は相変わらずで、国の地財計画に大きく影響を受ける状況は変わっていない。経常収支比率や義務的経費の構成比などは厳しく。財政の弾力性は依然として低い。

■一般会計改善進むが新都市整備事業や港湾事業、市街地再開発事業ではで償還財源枯渇
・起債制限比率や実質公債比率には特別会計や企業会計での起債は入らず、企業会計では、平成26年度末見込みで8642億円の市債残高を抱えている。特に、新都市整備事業では、空港島造成事業の企業債償還が平成21年度から始まり、平成22年度は725億円で空港島造成事業だけで650億円を償還。ところが、財源になる土地処分は進まず、200億円を借換え。更に、平成23年度は、ポーアイ2期の企業債償還(108億円)が上乗せされ、総額730億円を償還。このうち空港島償還が374億円の内200億円。土地売却が進まない中、ポーアイ2期108億円、西神南160億円、合計468億円がそっくり借換えに。平成24年度では、更に総額592億円を償還予定で、空港島280億円の内200億円、ポーアイ2期132億円、西神南85億円ははそっくり借換えで、その合計は417億円に。平成25年度予算では、更にポーアイ2期129億円、空港島200億円、西神南39億円で367億円を借換え。平成26年度予算では、ポーアイ2期154億円、空港島200億円、西神南27億円となり、その合計は1834億円にも。今後、ポーアイ2期の償還が平成28年まで続くことから、借換えが継続することは明らかであり、子や孫の代まで、借金を先送りすることになる。港湾事業会計でも、ポーアイ2期の償還108億円が平成23年度から始まり、平成24年の132億円、平成25年度129億円、平成26年度154億円が返済の目処がたたずそっくり借換えされた。
19年度末残置の償還期限(新都市整備事業起債償還計画)  (単位:億円)
20 21 22 23 24 25 26 27 28 29  計
PI2 - - 108 132 129 154 120 50 693
空港島 265 650 374 280 205 208 - 1,982
小計 - 265 650 482 412 334 362 120 50 2,675
西神南 - 10 15 160 85 39 27 18 10 372
複合 20 70 60 88 95 75 75 92 52 19 646
小計 20 80 75 248 180 114 102 110 62 27 1,018
20 345 725 730 592 448 464 230 112 27 3,692
償還のうち借り換え債発行分(単位:億円)
20 21 22 23 24 25 26
PI2 108 132 129 154
空港島 200 200 200 200 200
西神南 160 85 39 27
複合
200 468 417 368 381 1834


 この返済も28年度まで続き、総額は693億円だ。平成24年度に新都市整備事業基金が廃止され、使える現金預金は現在、1132億円たが、平成26年度予算までで先送りされた借換額は合計で1834億円になり、すでに使える現金・預金額をはるかに超えている。また、今後ニュータウンがオールドタウン化しており再開発のための資金を担保も必要だ。
新都市整備事業会計で使える現金と預金(単位:億円)
基金での現金 現金・預金 合計
平成11年度 874 705 1579
平成12年度 933 926 1859
平成13年度 892 769 1661
平成14年度 878 582 1460
平成15年度 853 469 1322
平成16年度 854 496 1350
平成17年度 817 543 1360
平成18年度 827 632 1459
平成19年度 824 893 1717
平成20年度 839 1088 1927
平成21年度 873 911 1784
平成22年度 889 458 1348
平成23年度 633 576 1209
平成24年度 制度廃止 882 (満期有価証券含めて)1132

・借換えなどで一時しのぎをしても、土地の売却や市街地再開発での保留床の売却が進まなければ、起債償還財源が枯渇し、一般会計にも大きな影響を及ぼすばかりか、将来に大きなツケを残すことになる。バブル崩壊後も、起債・土地処分・償還との発想を変えず、空港造成事業や市街地再開発事業を進めたことが、このような危うい状況を作り出している。また、六甲シンフォニーホールの200億円を超えるの含み損問題や、アジュール舞子事業での失敗で、多額の一般財源の投入など過去の起債主義に対する明確な反省が必要だ。
・また、この間の外郭団体での整理で、海上アクセス、舞子ビラ事業、住宅供給公社、今度はフルーツフラワーパーク事業にからむ株式会社神戸ワインなど、バブル経済に踊った民活事業のツケが、大きな財政上の負担を市民に与え、今後も負担が続くことに対して、その責任の所在や、謝罪なども含め十分な市長の市民への説明責任が求めらる。

2、神戸市政の抱える問題点

■新市長の誕生で議会は
@会派構成 定数69(68)民主 12 自民党 12 公明 12 自民党神戸 11共産 9 新世代 4  新社 2 住民 2 志民 2 たちあがれ 1 無 1
@議会基本条例で2元代表制下での議会の役割が明確になったが、今だ議員内閣制度による与野党的考えから抜け出せない状況が垣間見える。一方、議会の情報公開は進んできている。すべての会議録や政務調査費は全面公開となり、更に議会運営委員会を除き、本会議・委員会がインターネット中継され、その録画も2年間保存されている。議会でのすべての質疑質問がパソコン上で観ることができる。政令都市での情報公開度は神戸市議会が1位に。昨年2月から2会期制に移行。議決対象の拡大、本会議での一問一答選択性の導入と発言回数制限の廃止、更に質問を理事者が確認できる反問権、一般質問などが導入された。しかし、改革の大きな柱であった議会報告会が将来的な検討課題となった。
A久元新市長が11月に誕生。新市長の誕生後、市役所内非正規職員の賃金を5%アップしたことは評価。その後、外郭団体職員の賃金も市長の支持でアップに。そもそも、今までの市長にはその目線もなかった。ただ新年度予算については基本的に今までの追認。新しいものとしては、三宮再開発とLRTの導入調査。公約であっった中学生までの医療費無料への布石として一律500円負担としたこと。また、ICカードの活用で、バスや地下鉄の利用への負担軽減制度を導入したことなど。議会での答弁などは非常に簡略でわかりやすく、地方自治の専門家であるだけに2元代表制度を理解した立場で与野党の区別なく答弁に立ち、情報公開など積極的に進める姿勢などは評価できる。しかし、借上げ復興住宅住替え問題や憲法集会への後援を取りやめたことねどでの答弁には論理のすり替えなど巧みで本音のところがなかなか見えない。

■予算議会で問題になったこと

@、円安での諸物価の高騰や消費増税が市民生活を圧迫する中、市民生活を守るとの視点が弱い
 この4月からは、円安による物価高騰や消費増税、さらに医療・年金・介護等々の制度改悪で、市民の生活が苦しくなっている。神戸市は、特定の誘致企業に対して固定資産税など最高9割まで減税等の優遇措置(地元雇用は努力目標)。一方で、市民に対しては、消費税率引き上げを理由とする公共料金の値上げ、老人医療費一部負担金の増額、母子家庭医療費助成対象者の削減、さらに国民健康保険料の算定方式変更による、保険料の軽減措置が激変緩和で終わってしまっている。
A、神戸空港事業は依然として視界不良
 1、空港島造成借金の先送りが1000億円を超える
 神戸空港は開港して8年。しかし、この数年間の旅客数は240万人前後で、需要予測403万人には遠く及ばない。また、空港管理収支も、2009年度から実質赤字で、2011年からは他会計である新都市整備事業会計から借り入れしなければならなくなっている。小型機中心の機材により着陸料収入は頭打ちの状況。さらに市債償還が増えることから今後も借り入れが続く。また、空港島の土地処分も進んでおらず、2014年までに空港島だけで1,982億円の起債を償還をしなければならない。すでにその償還が始まっていますが、造成した土地82.8fのうち売れたのは8.1fのみ。更に、ポーアイ2期などを含めた新都市整備事業会計全体でも、今ある現金をすべて取り崩しても不足する状況だ。 従って、更なる借金の先送りが行われている。その額は今年度予算で1000億円の大台に乗った。結果として次世代に多くの負担を押し付けることになってしまった。
 2、見えぬ関西3空港一体運営
 久元市長は神戸空港について「自分の任期中に関西国際、大阪伊丹空港との一体運営を目指す」と、3空港一体運営の期待を語った。しかし、この3空港一体運営とは何を目指しているのか明らかでない。しかも、関西国際空港と大阪空港は平成14年度中に運営権売却を目指している。3空港一体運営ということになれば、神戸市がもっている神戸空港の運営権も今年決まるであろう関空、大阪両空港の運営会社に売り渡すことを目指すということになる。果たして国土交通省が認めるのか。また、運営会社が購入するのか。関空が抱える1兆円を超える負債との関係は。関西3空港1体運営は単なる時間延長や30便制限撤廃や空域調整などではない。運営権の売却と言うことになる。
B、震災から20年・・浮き彫りになる課題
 1、借り上げ復興住宅での、新たな選別
 入居継続を求める声にたいして転居困難者への継続条件が昨年、85歳以上や要介護などの条件が提示された。更に、今年2月に、市は住み替えを希望する住宅を予約すれば、希望する住宅に空き室が出るまで、返還期限から最大5年間退去を猶予する「完全予約制」を公表。しかし、今の住宅に住み続けたい理由で予約申請を行わない場合は、返還期限で即時退去となり、住み替え強要を徹底させる内容となる。2015年以降に順次20年の入居期限を迎える中、またぞろ「線引き」を行うことになり、更なる「差別」「選別」になり被災者に新たな混乱を持ち込むことになる。
 仮設に入るときにも選別され復興住宅に入るときにも選別され、そのたびに心に大きな傷を受け震災から大方20年。またもや選別では被災者はあまりにも過酷だ。強制的な移転を行えば、国際的な人権問題にもなり兼ねない。また、移転を承諾する居住者のほとんどが旧市街地を希望しており、旧市街地での市営住宅募集での競争が激化している時に、より競争率が高まることは必至。若年者の市営住宅入居希望が増大する中、市民同士の対立をあおることにもなりかねない。期限を切るのでなく、延長し、その財源保障を国に働きかけるにが筋だ。
 2、新長田南地区再開発事業は地元の意見を尊重し見直しを
 新長田南地区再開発事業は、バブル崩壊後にも関わらず駅前再開発手法での再開発を行ったため、保有床の処分が進まず、起債償還もままならず状態が続いている。さらに、新長田まちづくり会社のよる一元管理方式で管理費が高くなり、管理方式や管理者の見直しを求めて、区分所有者たちが立ち上がっている。一方、神戸市は、新長田の活性化のためリボンプロジェクトを新たに提起。しかし、管理会社や一元管理方式の見直しなくして、活性化策への協力は期待できない状況。神戸市は地元住民の意見を十分尊重し、早急に管理方式の見直しを行うべき。
 3、震災アスベストが顕在化・・早期発見など検査体制の強化を
 震災当時、がれき処理や解体作業に携わった作業員や市職員などで、中皮腫を発症する例が近年続発。すでに、県内で5人が死亡し、4人が労災認定を受けている。アスベストを大量に吸い込むと(石綿の吸引を示す病変)胸膜プラークが形成される時期が20年と言われ、これから震災アスベスト被害が顕在化してくる時期に当たる。早期に発見できる検査体制を整備することが自治体に求められる。今のところ解体作業など直接アスベストに関わった労働現場からの発症例となっているが、これからは一般市民へも広がることは確実であり、その認識が市当局に不足している。
C、中味の伴なう少子化対策を
 少子化対策が安易な数合わせに。現在、待機児童解消問題は、全国の自治体が抱える喫緊の課題。しかし、待機児童の“数”の解消に奔り過ぎる余り、質的な面が疎かになり兼ねない。安易な企業参入促進策は問題。しかも、“需要”に追い付けていない実態がありながら、潜在的待機児童をも含めた、中・長期的な視点での対応が十分になされているとは言えない。また、特別支援学校についても同様で、老朽化・過密化・偏在化等の問題が露わになっているにもかかわらず、その場しのぎ的な対応に追われ、中・長期的な視点を持ち得ているとは言えない。
D、中学校給食の実施について
 今年度33校で来年で中学校給食が全校で実施に。財政負担の関係でデリバリー方式と家庭弁当との選択性を採用。食育との視点で自校方式か親子方式を求めたが、結果は業者持ち込みのデリバリー方式に。しかも、弁当との選択性で、他都市をみると給食利用率が3割程度のところもあり、給食実施の意義が問われることに。食育を考えるならば自校方式しかない。自校方式では予算がかかることはわかるが、年次を区切って順次実施すれば解決する問題だ。
E、市執行機関の意思決定過程の情報全面公開を
 フルーツフラワーパークや舞子ビラ、住宅供給公社、海上アクセス、アジュール舞子事業など破綻した事業について、原因究明と責任の所在、市民への情報公開と謝罪を求め続けてきた。以前に比べて、原因の究明はある程度され、公開もされたが、責任の所在については最後まで明らかのいされなかった。特に、事業決定、変更などについて意思決定資料(議事録)など存在しないと言うのである。事実、神戸市には庁議が存在していない。市当局の政策意思決定過程が非常に不明確。久元新市長も本会議で認めている。市役所からの市長が60数年と言う中で、意思決定が分散化され、責任が不明確になっていたのではないか。久元市長は私の本会議質疑でまずは政策決定過程を整理し、その後公開を約束した。