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2015年度神戸市予算の分析
2015.9.23 文責 あわはら富夫
1、神戸市財政の現状と問題点
@神戸市予算額の概要
・一般会計 7281億円(前年度7070億円)対前年比+3.0%
・特別会計 7486億円(前年度6910億円)対前年比+8.3%
・企業会計 3307億円(前年度3664億円)対前年比−9.7%
・合計 1兆8075億円(前年度1兆7645億円)対前年比+2.4%
A一般会計予算が23ぶりに財源対策なしに
・19年間財源不足も3年連続の黒字で、23年ぶりに財源措置なしで予算編成
19年間の財源対策の総合計は5639億円
・公債費と投資的経費の削減が大きな要因(バブル前には投資的経費2000億円を超えていた)(平成5年2734億円)
・改善は進むも生活保護費など扶助費の高止まりの中、公債費比率は依然として高率56.1%
B企業会計は依然として深刻・・・時限爆弾を抱えている。
・新都市整備事業会計では土地が売れず、起債償還が進まず借り換えによる先送りが続いている。神戸空港造成事業だけで、すでに1000億円が先送りに。ポーアイ2期事業でも、そっくり借り換えが20年を超え、平成28年まで続き総額は693億円に。 平成26年度予算段階で借り換え額は1834億円あり、使える現金預金約1100億円をはるかに超えている。借り換えは永久でなく30年が期限。土地が売れなければ、破綻することになる。
C特別会計の市街地再開発事業も一般財源から補填が続く
・新長田南地区再開発事業は、バブル崩壊後にも関わらず駅前再開発手法での再開発を行ったため、保有床の処分が進まず、起債償還もままならず状態が続いている。当初計画は大きく見直されたが、すでに他の再開発事業も含め150億円を超える資金が一般財源から補填されている。市債償還残高は平成26年度末でも700億円を超えており、今後も償還が続くことから一般会計からの補填額が更に増えてゆくことになります。バブルが崩壊しているにも関わらず「土地神話」の頼った復興策がこのような状況をつくりだしている。
2、神戸市政の抱える課題
@久元市長の評価
・久元新市長が誕生して1年半を経て。新市長の誕生後、市役所内非正規職員の賃金を5%アップしたことは評価。その後、外郭団体職員の賃金も市長の支持でアップに。そもそも、今までの市長にはその目線もなかった。少しは変わるかと期待したが、基本的に今までの追認。三宮再整備、LRTの導入などを打ち出すにおよび、開発行政への回帰を警戒。議会での答弁などはわかりやすくなったが、借上げ復興住宅住替えでの冷たい姿勢や憲法集会への後援を取りやめたことねどでの答弁には論理のすり替えなど巧みで本音のところがなかなか見えない。
A三宮再整備問題とLRT
・JRと阪急がそれぞれ駅のリニューアル計画を発表したことから三宮駅周辺の再開発が急浮上。それに対応する市の整備方針の検討中に突如、久元市長が再開発の種地を生み出すことを理由に、三宮勤労会館と中央区役所、市役所第2号館、第3号館も含めた集約化を公表。まだまだ使える中央区役所や三宮勤労会館などを建替えれば数百億単位の大事業です。財政の健全化が進んでいるときにまたもや開発行政へ回帰です。そして、5月には三宮再整備基本構想へのたたき台が示されました。今度は、三宮勤労会館、中央区役所、サンパルの地は種地から、今度はバスターミナル地区になっていました。
JRのリニューアルの日程も明らかでないのに、久元市長先行の計画になりつつあるのでないか。また、LRTについても、一体どこを、何のために、走らせるのか。思いつき以外の何でもない。
B神戸空港は管理運営権の民間売却に望みをつなぐ
・神戸空港は来年2月で、開港10年。この数年間の旅客数は240万人前後で、需要予測の403万人には遠く及んでいません。また、着陸料収入が目標の4割で、空港管理収支も、2009年度から実質赤字。財政調整基金も底を突き、2012年度からは新都市整備事業会計から資金を借入れ、その額はすでに20億円を超えています。すでに発着枠は上限の1日30便に達しており、小型機中心の機材により着陸料収入は頭打ちの状況です。これ以上の収入増は見込めず、さらに市債償還は今後も続きます。借入額はどんどんふえてゆきます。
・空港島の土地処分も進んでおらず、造成にための借金1982億円の償還もままならず、1000億円を先送りしています。民間向けに造成した土地82.8fのうち売れたのは8.1fのみです。
・神戸市は「規制緩和さえなくなればどうにかなる」ということで、神戸空港の管理運営権を関空と大阪空港の管理運営権を買うオリックスとフランスの会社に、買ってもらう方針を打ち出しました。そのための、資産額を新監査法人に調査してもらう予算2億円を予算化しました。売却額が空港建設事業の起債が240億円残っており、それを下回ればまたもや市民負担がとりざたさせます。
C新長田再開発事業の検証と再々開発
・新長田南地区再開発事業は、バブル崩壊後にも関わらず駅前再開発手法での再開発を行ったため、保有床の処分が進まず、起債償還もままならず状態が続いている。さらに、新長田まちづくり会社のよる一元管理方式で管理費が高くなり、管理方式や管理者の見直しを求めて、区分所有者たちが立ち上がった。一方、神戸市は、新長田の活性化のためリボンプロジェクトを新たに提起。現在、管理会社や一元管理方式の見直しが、一部で進むも、依然、課題は多い。
D文化行政の後退
・神戸国際フルートコンクールの廃止を検討
世界的な演奏家を多数輩出してきた「神戸国際フルートコンクール」が、市民への浸透度が低いことを理由に、準備費用を予算化せず、廃止を含め検討されることになった。開催費用は6千万円、市は5千万円を負担。市民への浸透度の低さや活用不足は市の責任も大きく、そのことへの検証からはじめるべき。市民へのアンケート調査を約束。
・コミュニテイ施設の削減
三宮勤労会館の移転調査。「別に三宮にある必要ない」との市長会見。至便な場所にあることが図書館としての利用や施設利用者にとって喜ばれている。
・葺合文化センターの廃止問題
耐震化補強が難しいことを理由に、来年3月末で休止。機能を5年間の暫定で神戸芸術センターに移すことになった。廃止の方向のようだ。
・文化を育て育成するとの視点が弱い。
市民に開かれていることを理由に多目的ホールが多く、結果、専門的な機能を盛った施設がほとんどない。また、専門職員や学芸員が配置されていない。文化を育てて行くという視点が弱い。
E借り上げ復興住宅での、新たな選別
入居継続を求める声にたいして転居困難者への継続条件が、85歳以上や要介護などの条件が提示された。更に、市は住み替えを希望する住宅を予約すれば、希望する住宅に空き室が出るまで、返還期限から最大5年間退去を猶予する「完全予約制」を公表。
しかし、今の住宅に住み続けたい理由で予約申請を行わない場合は、返還期限で即時退去となり、住み替え強要を徹底させる内容となる。
2015年以降に順次20年の入居期限を迎える中、すでにキャナルタウンでは、住み替えの強制が始まっている。
9月市議会では住み替え困難者については入居期限を5年とする条例がきまった。住み替え困難者については、その条件が続けば5年後には継続することを約束するし、入居許可証には明記すると市は答弁しましたが、一度安堵した住み替え困難者にとっては新たな関門が用意されることになります。
仮設に入るときにも選別され復興住宅に入るときにも選別され、そのたびに心に大きな傷を受け震災から大方20年。またもや選別では被災者はあまりにも過酷だ。強制的な移転を行えば、国際的な人権問題にもなり兼ねない。また、移転を承諾する居住者のほとんどが旧市街地を希望しており、旧市街地での市営住宅募集での競争が激化している時に、より競争率が高まることは必至。若年者の市営住宅入居希望が増大する中、市民同士の対立をあおることにもなりかねない。期限を切るのでなく、延長し、その財源保障を国に働きかけるにが筋だ。