議会あれこれ 

2009年度第2回定例市会

補正予算質疑(新型インフルエンザ問題での質疑)

 私は新社会党神戸市会議員団を代表して、平成21年度各補正予算案について、市長ならびに関係当局に質疑いたします。

 今回の補正予算は、総額15兆円に上る国の経済危機対策をうけたもので、788億円と歴史的な大型補正予算です。しかし、その中味を見ると、学校施設耐震化や子育て施策の充実など評価できるものもある一方、国直轄事業であるスーパー中枢港湾の建設費242億円をはじめ、地方債充当事業との縛りの中で、従来からの公共事業の前倒し事業が多く、昨年来の不況による雇用不安や生活悪化を救済するものにはほど遠いものといわざるを得ません。

 予算の枠組みが国によって一方的に決められたなかでの補正予算ですから、難しいことは承知しておりますが、昨年来からの景気悪化はもちろんこの間のインフルエンザ禍で苦しむ市民の雇用や生活を守る施策がもっと必要ではなかったでしょうか。
 このような、観点にたって、新型インフルエンザ問題に絞って2点質疑いたします。

 今回の新型インフルエンザ対策は、強毒性を想定した行動計画にもとづき、「国家の危機管理上重大な課題」との認識の下、国の水際作戦から始まりました。すでに、弱毒性であることが明らかになっているにも関わらず、国の対応は強毒性での対応に終始し、そのことによって、自治体は振り回され、市民生活や社会・経済活動に多大な影響をもたらしました。今回の国の対応は、感染症新法にいう「新型インフルエンザ」にあたるとされたたため、それに順ずる対応措置がとられ、濃厚接触者の停留措置など強硬な対策がとられたのです。

 しかし、「感染症新法」の前文には「過去にハンセン病、後天性免疫不全症候群等の感染症の患者等に対するいわれのない差別や偏見が存在したという事実を重く受けとめ、これを教訓として今後に生かすことが必要である」とうたわれ、第22条の2に、この法律に基づき実施される措置は「感染症を公衆にまん延させる恐れ、感染症にかかった場合の病状の程度その他の事情に照らして、感染症の発生を予防し、又はそのまん延を防止するため必要な最小限度のものでなければならない」と、人権尊重や最小限度の措置の原則がうたわれています。

 まさに、病状の程度や内容を正しくつかみ、過剰反応・過剰対応が、人権侵害や社会的混乱を引き起こすことがないよう、必要最小限の措置と、過去の教訓からの規定が置かれているのです。

 国のガイドラインに基づく今回の新型インフルエンザへの対応は、この法律の趣旨に適合したものとは言えず、社会・経済活動に甚大な影響や損害額を与えています。商工業や観光産業はもちろん、保育所や学校が休業になったことによる個人の収入減、そして、その対応による企業の経済的損失は民間研究機関の調査では兵庫県で126億円の上ったと試算されています。

 そこで、質疑しますが、市長は、国のガイドラインに基づく新型インフルエンザの対応での社会・経済活動に与えた影響や損害からして、今回の国の対応が、感染症新法第22条2「必要な最小限の措置」との規定にてらして、問題があったと考えているのか。質疑します。

 また、感染症新法は従来の伝染病予防法、性病予防法、エイズ予防法を統合し、98年に制定され、さらに07年に結核予防法が統合されました。 都道府県知事には、感染に疑いのあるものに対する強制的な健康診断、就業制限、入院、交通の制限・遮断等の広範囲な権限が与えられています。しかし、 一方で、感染症新法には、就業制限にともなう休業補償などの規定はなく、また現行の労働法規でも救済されません。

 予想される強毒性のインフルエンザ対策を考えれば、長期的な就業制限にともなう休業補償や営業補償など国が責任をもつべきだと思のです。
 就業制限などの補償について法律で規定するよう、法改正について国に働きかけるべきだと考えますがどうでしょうか。質疑いたします。

 また、先ほどの答弁で、保健所機能についての質疑がありました。確かに、今回は機能したとの答弁でしたが、新型インフルエンザ対策神戸モデル(案)では、各区に感染症対策会議(仮称)を設置するとしています。しかし、市民の健康を守る公衆衛生の第一線機関としての役割を果たしてきた医師や保健師ら専門職は減ってしまっています。

 今回の新型新フルエンザ対策の先頭に立った、白井予防課長は新聞の取材に答えて、「阪神・淡路大震災前は各区役所の保健福祉部門に医師2人がいたが、今はおお旨1人だ。病原性が高いウィルスに対応するためには少なくとも現行の2倍は必要」と答えています。
 今後予想される強毒性の新型インフルエンザ対策を考えるなら、医師や保健師を増やすなど各区の公衆衛生体制を強化し、再構築すべきと思いますがどうでしょうか。



 以上3点、新社会党神戸市議団を代表しての質疑といたします。


(梶本副市長)
 今回とられた入院勧告や患者移送の措置は国内初の感染の中で、国の対策実施計画にもとづきで実施された。国のガイドラインは強毒性を想定していたが、国はその後柔軟な対策をとり、今回の措置は適切であったと考える。
 感染症新法は、入院措置の補償はしているが休業補償の規定はない。また従来から0157など様々な感染症の休業制限の補償もしていない。公益性や補償制度の実効性を考えると個々の就業制限に伴う休業補償については難しいと考える。
 公衆衛生体制については、今後は、学校や福祉施設などでの集団感染防止や早期発見が可能になるように、学校や医師会、行政の連携を強化したい。具体的には、感染症対策の機能強化を図るため、保健所や各区の保健センターに医師や保健師等の職員の配置を検討している。このような対策を含め公衆衛生体制の強化、再構築を図っていきたい。

(あわはら議員・再質問)
 私は神戸市の対応が悪かったと言っているのではない。弱毒性と言われながら、国の当初の強毒性を想定した措置が継続されたことが、結果として神戸での大きな風評被害となったのではないか。アメリカでも強毒性でなくマイルドなインフルエンザであるとわかった時点から、2週間の休校措置は必要でないと方針転換した。
 また、5月28日の参院予算委員会で新型インフルエンザ対策などに関する集中審議が行われ、参考人として出席した厚生労働省職員で羽田空港の検疫官の木村さんは、機内検疫を政府のパフォーマンスなどと批判した。さらに、政府の当初対策は機内検疫による水際対策に偏りすぎたと述べた。
 また、神戸市保健福祉局予防衛生課長の白井さんは、神戸新聞の取材で、「大のマニュアルは小を兼ねない。病原性に応じたマニュアルがなかったことに尽きる」とのべた。国の対応の遅れが風評被害を作り出した大きな原因ではないかと思うが、市長の見解を。

(梶本副市長) 
 国の強毒性を想定したマニュアルは、医療面では対応は間違ってなかったと考える。ただ、一方で、風評被害や経済・社会への影響があった点では弱毒性での対応があっても良かったのではないと考えるが、これはあくまで結果論で、メキシコでも死者が出たことから、当初の段階では備えは必要だったと考える。結果として、経済・社会への影響があったことは、これからの対応として考えて行く必要がある。

(あわはら・意見) 
 感染症新法の22条では、病状の程度その他の事情を正しく認識して、最小限度の措置を規定している。ところが、国がその把握や、弱毒性対応への方針転換が遅れたことが風評被害を作り出した原因だ。弱毒性はずっと前から言われていた。国が正しく対応しなかった、そういう視点で国に補償を要求すべきだという趣旨なので理解していただきたい。