議会あれこれ 

2009年度第4回定例市会
あわはら富夫議員・議案外質問(要旨・12月3日)
 
 先の市長選挙は矢田市長が3期目当選となったが、現職批判の票が約22万票で、当選票を6万票近くも上回ることになった。現職に対する批判が大きかった背景には、「60年続く市役所からしか市長が生まれないという体質を変えたい」との市民の思いや「民主党単独推薦でのわかりにくさ」への批判、またこの間の「敬老優待パス乗る度負担制度」への高齢者の憤りなどがあったと思われる。
 初登庁した矢田市長は、「支持票も批判票も同じ思いで受け止めたい」と述べ、記者会見でも「信託をいただいた市民の思い、相手候補に投じた市民の思いを検証し、市政運営に吸い上げて反映をしなけらばいけない」とも言われ、「市民の声に耳を傾けること。また、どんどん変化する世の中で、事業などの取り組みを常に検証し、これからどうするかを考える手法もとるべき」とも述べられた。
 しかし昨日からの質問で、市長は「一両年中に民間から副市長を登用する」「タウンミーティングの充実など」との答弁はなされたが、この内容だけでは、今回の市長選挙での批判票を深く受け止めたとは思えない。ただ、市長の任期は4年あるのだから、市政運営にどういかされていくのかを、議会を通じて検証していきたい。このような立場にたって、以下の3点について質問する。


●敬老パス制度は市民の利便性の視点で再検討を

 第1点目は、敬老優待乗車制度について

 今回の市長選挙で、敬老優待乗車制度の変更を市長選挙の判断基準にしたとの高齢者の声をたくさん聞いた。昨年10月から始まった乗る度負担制度への変更は、市の予想の15%を超えて、すべての交通機関を平均して35.6%もの利用者減となっており、高齢者の社会参加を促進すための施策が、抑制する施策になっている。制度の維持に走り過ぎて、制度の中身を失うことになっているのではないか。「角を矯めて牛を殺す」との諺を肝に銘じるべきだ。
 先ほどの答弁では、フリーパス制度に変えるつもりはないとのことだが、この間、実質無料制度を変更した政令都市では、市民の利便性を優先して、所得基準による乗り放題制度や選択制なども導入されている。
 そこで質疑するが、敬老優待乗車制度を変更して1年が経過した今、乗る度負担制度が高齢者にもたらしている実態や、市民の利便性を優先した他の政令都市での制度などの状況も調査し、再検討をしてはどうか。また、その結論が出るまでの期間、現在の暫定制度を来年の10月以降も継続してはどうか。

(中村副市長)
 フリーパス方式も考えられるが、乗車頻度の少ない人は1回あたりの負担が大きくなり公平性の観点から問題がある。交通事業者は利用実績にみあった収入を求めており、フリーパス方式では市や事業者の負担が増え、事業者の協力が求められない。
 今の暫定措置、激変緩和措置は2年間の制度で事業者と合意をしており、今後も長期的に制度を維持継続できるようにしていきたい。

(あわはら・再質問)
 本来は無料制度が市民の声だが、例えば川崎市ではあまり利用しない人には乗る度負担制度、また利用頻度の高い人にはフリーパス制度があり、市民が選択できる制度になっている。市民の利便性を考えた制度に見直す必要がある。今の事業は、継続が中心の柱になっており、市民の利便性が損なわれている。現制度の検証と市民の声に耳を傾け、市民の利便性を配慮した制度の見直しを考えてはどうか。政策選択だから市長に是非ともお答えいただきたい。

(矢田市長)
 交通事業者が撤退したら制度が維持できなくなる。長期的な視点で制度を維持・継続するような方策が大事だ。あわはら議員の意見は一つのご意見として承る。

(あわはら・意見)
 市長は選挙直後の記者会見で、「市民の声に耳を傾けること。また、どんどん変化する世の中で、事業などの取り組みを常に検証し、これからどうするかを考える手法もとるべき」といわれた。この視点にたって、一度検証を。


●借金の安易な先送りやめ、返済計画を市民に明らかに

 第2点目は、神戸空港問題について。

 11月27日の港湾交通委員会みなと総局の質疑で、日航の全面撤退問題や空港島造成事業の起債償還で新たな市債を発行するとの新聞記事が大きな焦点になった。みなと総局長は、最終的には来年度予算の策定時に最終方針を決めるということで、新聞に起債された395億円の起債は、総務省との話し合いの中で提起させていただいた一つの試算で出た数字ということだった。
 平成21年度と22年度の償還予定の1,000億円の半分で、そこから利子などを引いた金額が395億になるということだった。ただ、質疑の中では、土地処分に全力をあげるが、現在ある基金や現金預金は平成20年度末で1,927億円あり、その活用と市債の発行などで現在の起債の償還を1年ごとに吟味しながらやっていきたいということだった。
 しかも、市債については総務省からは借り換えのための新たな20年市債が認められるという感触を得たということだった。しかし、土地造成での償還を実質30年間引っ張ることになり、長期金利がどう動くか不透明であり、しかも責任の所在も先送りされることにもなり、安易に20年間の借り換えを起こすべきでない。
 また、基金などの使える現金・預金は平成20年度末で1,927億円あり、以前、小柴副市長は「全部つかおうと思えば使える」また、今回のみなと総局質疑では、「金利支払いなど65億円ほどあれば」と、ほとんど起債償還にまわせるかの答弁もあった。
 先日のみなと総局の質疑では、新たな起債による借り換えも、過去からの新都市整備事業の成果である基金などの使える現金預金も、すべて起債償還に入れ込むことが可能であり、土地処分が進まなければ、過去の成果を使い果たし、逆に後世の市民に大きなツケを残すことにもなりかねない。
 ここで質問するが、起債償還にあたって、新たな起債の発行や使える基金現金預金のあり方を検証し、一定の上限をもけるべきではないか。

(小柴副市長)
 今は世界的な景気後退などで企業の投資環境は厳しいが、景気が上向いたときに備え、企業の投資活動などの情報収集を行う。今後、企業債は最終的には土地売却で償還するが、償還での資金確保対策として1,900億円の資金活用と共に、土地売却収入、起債による一部借り換えなどで必要な資金を確保しながら検討していく。今後、毎年度の予算編成の中で様々な選択肢を想定し考える。22年度の償還額650億円の債務は今は何も決まっておらず、来年度予算編成の中で提示したい。

(あわはら・再質問)
 この4,5年で1,000億円近くの土地が売れれば心配ないが、経済状況から言えばそういう状況ではない。起債の条件で30年までは延ばせるが、借り換え20年で、それ以上は借り換えできない。その時に、現金預金がなければ、一般会計から負担しなければならなる。そのためにも、責任の所在も含めて、空港島だけでなく新都市整備事業全体の起債償還計画を財源計画も含めて市民に明らかにする必要があるのではないか。

(小柴副市長)
 この間、土地売却は600億円増えており、エンタープライズプロモーションビューローが頑張った成果だ。

(あわはら・意見)
600億円は空港滑走路の売却のお金が国から入っただけだ。これで頑張ったと言われるのは心外だ。


訴訟係属中の請求権放棄は誤りでなかったのか

 第3点目は、公金支出をめぐる住民訴訟の控訴審判決について。

 大阪高裁は11月27日、「市側が一審敗訴後に条例改正で市長らへの請求権を放棄したのは無効」と、支出の違法性を認め、計約55億円を返還させるよう市に命じた。
 判決文で裁判長は、神戸市議会の本年2月の債権放棄の条例改正は「控訴審の判決が予定されていた直前に本件の放棄がなされた」ことを述べ「市長が行った違法行為を放置するに等しく、本件住民勝訴を無に帰せしめるもの」と述べ、更に「地方自治法に定める住民訴訟の制度を根底から否定する」ものとし、「議会の本件権利を放棄する旨の決議は議決権の乱用に当たる」とまで主張し、神戸市長と条例を可決した議会を断罪している。
 私達会派は、2月の条例改正にあたり、公金の支出の違法性か否かについては、裁判所の最終判決を待つべきであって、判決期日が決まっているこの時期に、あえて訴訟の根拠をなくすような行為は、住民に与えられた住民訴訟の権利を奪うことになりかねないとの立場で条例改正には反対した。
 そして、今年6月には、総務省地方制度調査会が「4号訴訟で紛争の対象となっている損害賠償又は不当利得返還の請求権を当該訴訟の係属中に放棄することは、住民に認められている住民訴訟制度の趣旨を損なうことになりかねない」と述べ、「4号訴訟の係属中は、当該訴訟での紛争の対象となっている損害賠償又は不当利得返還の請求権の放棄を制限するような措置を講じるべきである」といった答申を行っている。
 ここで質問するが、神戸市は司法の判断を待たずして、権利の放棄を行なったが、今回の措置は、この間の国の動きや今回の判決から鑑み、誤りではなかったのか。

(小柴副市長)
市としては、地方自治法に従い適正に議会の決議を経た上で、債権放棄を行なった。また、住民訴訟中の債権放棄を肯定した最高裁の決定もあり、債権放棄は有効であると考える。市としては将来の混乱を回避し、派遣法に基づく適切な運用に努めるため、債権放棄を含む条例改正を議会の議決を経て行った。今回の大阪高裁判決は、全国の自治体に与える影響も多大であることから、上告を行い最高裁の判断を仰ぎたい。

(あわはら・再質問)
 私は、今回の問題が市民に損害を与えているかどうかをそれが違法だったのかどうかを議論しているのではない。裁判の判決の期日が3月18日と決まった、その判決の前に、訴訟の根拠をなくして住民訴訟制度の根幹を揺るがしたことが間違いでなかったのかといっている。判決が確定してから、外郭団体の支払いの能力や市長の支払いの力など検討して、債権を処理することも可能ではなかったのかと思う。
 また、同じ地方自治法には、市町村長は財産管理の行政の事務を誠実に行わなければならないと定めている。判決の期日が決まってから、住民から預かった大切な財産を、判決期日前に放棄するのは誠実な事務と言えるのか。

(小柴副市長)
 21年1月20日の大阪高裁判決は、派遣職員の給与の支給の仕組みが問題とされたし、市の実質的な損害はない。だから条例改正で仕組みを変えた。財産管理は、十分誠実な管理を行っている。

(あわはら・意見)
 訴訟の根拠を無くしてしまうのは誠実にやったとは思えない。しかも国の地方制度調査会が、訴訟中の債権放棄をするべきでないとの答申をだしている。それも頭に置いておくべきだ。