畸人郷編集人の極私的日記 (2003年11月)


11月30日(日)
 一日中家にいた。本当に何もしない一日だった。したことと言えば酒を飲んだくらいか。

11月29日(土)
 今日は夜に高校の同窓会幹事の忘年会があった。そうか、もうそんな季節なのかと思ってしまう。もちろん、酒はたらふく飲んだためヘロヘロ状態で帰宅した。
 忘年会に行く前に三宮のジュンク堂書店で晶文社「ヨットクラブ」(デヴィッド・イーリイ)を購入。イーリイなんて出るのは久しぶりですね。後ろの著作目録を見ると、翻訳は3冊で「憲兵トロットの汚名」「墜落」(以上はポケミス)、「観光旅行」(ハヤカワ・ノヴェルス)とのことである。恐ろしいことに、みんな持っているのですね。


11月28日(金)
 Yahooのオークションで競り落とした「横溝正史と「新青年」の作家たち」(世田谷文学館)が到着。なめるようにして読む。貴重な本の書影が満載である。長い間古本屋をまわっているので、所持している本も結構あった。しかし、何と言っても乱歩の例の書き込みがある「幻の女」(W・アイリッシュ)の写真が素晴らしい。実はこの書き込みがある本を手に取ったことがある。昨年の4月に乱歩邸に行ったときのことだ。ペーパーバックが大量に収めてある書棚の中にあった。震える手で表紙を開けると、そこに書き込みがあった。「幻の女」と言えば、春山行夫氏とのエピソードも思い出させる。しかし、この「幻の女」の紹介は、その後の作家に大きな影響を与えたと言っても過言ではない。その「幻の女」紹介の発端は、この乱歩の書き込みなのである。かつて乱歩が手に取った書物を自分も持っているということに感動を覚えたのであった。
 まだ、すべてを読み終わっていないので、興奮はさらに続くだろう。この展覧会は世田谷文学館の開館記念展覧会だった。なぜ、このような面白い展覧会に行かなかったのかと自分を呪ったが、開催年を見ると、その年は震災があった年なのだった。行けるわけなかったですね。

11月27日(木)
 久しぶりに元町の「古書つのぶえ」へ行った。文庫1冊を買っただけだった(欲しい本は他にもあったのだが、手元不如意であったため買えなかった)。その後、三宮をまわったが何もなし。
 本を読む方は、昔パシフィカから出た「シャーロック・ホームズのライヴァルたち」を久しぶりに読み返している。ライヴァルたちは、ソーンダイク博士、マーティン・ヒューイット、隅の老人、思考機械に代表されるのだが、もちろん彼らばかりではない。その探偵たちの紹介が本の中程に掲載されている。この紹介記事を、何回読み返しただろう。見知らぬ探偵たちのオンパレード。本の書影、探偵たちの挿絵による肖像画、そして古きロンドンの街。すべてが現在の自分に影響を与えている。その内の何冊かは手に入れたが、まだまだ道は遠い。そして、冒頭にあるロンドンの写真。この写真を見て、ロンドンに行きたいと心から思ったことを覚えている。今までのところ、3度しか行ったことはないが、それでももう一度行きたいと思わせる不思議な街である。


11月26日(水)
 3連休の疲れが一日遅くやってきて、ヘロヘロだった。というわけで何もなし。

11月25日(火)
 英国からジェリー・アンダーソンのファンクラブの会誌「FAB」が届いた。表紙は「キャプテン・スカーレット」のブラック大尉である。ブラック大尉は第1話でミステロンのエージェントにされてしまうが、エージェントになってしまう前と後では顔が異なる。エージェントにされる前は非常に穏やかな顔つきである(今回の表紙はそれである)。トップ・ニュースは2つあって、ひとつは「キャプテン・スカーレット」がCGアニメで復活するということと、もうひとつは「サンダーバード」がライヴ・アクションで映画化されるということだ(公開は2004年7月となっている)。記事は声優のインタビューや「TV Century 21」(プロダクションが絶好調時に出ていた雑誌)の再評価等である。最後の方には「Supercar」と「Fireball XL5」のDVDが発売されたと書いてある。ぜひとも入手したいものだ。「Fireball XL5」は「宇宙船XL5」という題で8チャンネルで放映されていた記憶がある。と言うより真剣に見ていた記憶がある。この後が「Stingray」(「海底大戦争」)で、続いて「サンダーバード」が来るわけだ。

11月24日(月)
 SRの神戸例会。例年になく出席者が少なく寂しい集会だった。しかし、2次会・3次会とアルコールが入ると元気になってきた。飲み会では、クリスティ、クィーン、カーの御三家の話で盛り上がった。いいねえ、いいねえ。

11月23日(日)
 一日中家にいた。夜になってから、上の子供の下宿にストーブを届けに行った。一緒に晩飯を食べて帰ってきたら、昨日と同様日が変わる直前だった。何もできなかった一日だが、久しぶりに一緒に飯を食べたということで満足しよう。

11月22日(土)
 昼から京都に出かけた。夜遅くまでいたため、帰宅したのは12時前だった。もちろん、酔っていたので、そのまま寝床へ直行した。

11月21日(金)
 仕事を終えて元町に行く。海文堂でポケミスの新刊を2冊購入。そう言えば今年刊行されたポケミスはほとんど読んでいない。嗚呼。頑張らなくては。それと、ハヤカワ文庫NFの「数学をつくった人びとV」(E・T・ベル)も買った。こちらも面白いのである。

11月20日(木)
 東京から皓星社の佐藤さんが来神。海文堂の福岡店長を含め、総勢5人で飲み会。10時半くらいまで飲んでいた。最後は自分の舌がまわっていないのがよくわかった。すなわち、ベロベロだったと言うことだ。家ではベッドに直行したのは言うまでもないだろう。

11月19日(水)
 元町の古書店で、講談社版の世界名作全集の端本を買う。世界名作全集は子供向けの全集で、乱歩訳の「名探偵ルコック」などは高値がついているという。昔、文春文庫ビジュアル版で「少年少女小説ベスト100」という本が出たが、その中でこの世界名作全集は全180巻と書いてある。自分の持っている本の中では、164巻「少女グレートヘン」(ザッパー 植田敏郎訳)が一番番号が大きい。本の後ろには、165巻まで書名が掲載されている。166巻〜180巻までのタイトルが不明である(と言っても、おそらくどこかのサイトにリストがあるはずだ)。
 こういった本を集めるのは大好きなので、珍しい本はぬかりなく買っている。今回買ったのは38巻の「わんぱく少年」(オールドリッチ 佐々木邦訳)である。ついでに持っている本を列記すると、次のようになる。

  5 鉄仮面(ボアゴベ 江戸川乱歩訳)
 30 覆面の騎士(これは「アイヴァンホー」である)
 38 わんぱく少年
 48 魔境千里
 73 名探偵ルコック
 77 王女ナスカ
 82 ノンニの冒険
103 ポンペイ最後の日
104 砂漠の女王
108 ハジ・ババの冒険
113 虎の皮を着た勇士
123 アルプスの少年(「アルプスの少女」ではありません。作者は同じ、ヨハンナ・スピリ)
138 さんご島の三少年
145 開拓者バンボー
164 少女グレートヘン

 リストを見ていると、まだまだ面白そうな本がたくさんある。これもどこかのサイトでやっていそうな気がする。
 この講談社版世界名作全集は、自分より少し上の年代の人が良く読んだ本と思われる。自分が子供の時に圧倒的な影響を受けた全集というのはないが、それでも繰り返し繰り返し読んだ本がある。それは小学館版「少年少女・世界の名作文学」である。これは全冊は持っていないが、数冊の欠本があるだけだ(実は自分の持っていたのは数冊で、後はすべて家内の実家にあった本である)。この全集のセレクションはユニークで、ヴィリエ・ド・リラダンが入っていたりする(子供向きの本である!)。今まで誰もこの全集の再評価をしていないようなので、近々自分が試みようと思う。お楽しみに。

11月18日(火)
 昨日と同様。しかし、家で酒を飲む元気は出てきた。これでは、困りますねえ。

11月17日(月)
 週末の疲れからか、ヘロヘロ状態だった。本を読む気力・体力ともになし。

11月15日(土)〜16日(日)
 この週末は朝早くからずっと出ずっぱりだったので、特に書くことはありません。けれども、面白く、貴重な週末だった。

11月14日(金)
 光文社文庫「「別冊宝石」傑作選」を購入。「宝石」「別冊宝石」は全冊持っているのだが、この収集の苦労話を書けば一冊の本が出来上がるくらいである。ともかく、20年以上かかった。口絵にある「捕物と新作長編」「江戸川乱歩還暦記念号」「探偵小説全書」「フランス傑作選」「少年探偵」これら一つ一つの本に思い出がある。我が青春の収書と言っても良いだろう。ともかく口絵の写真を見ていると、いろいろなことが思い出されてくるのである。

11月13日(木)
 
岩波文庫「デヴィッド・カッパフィールド」(チャールズ・ディケンズ)第1巻読了。続いて第2巻に突入している。面白い、実に面白い。ユライア・ヒープなる人物がでてくるが、同じ名前のロックグループは、ここから名前をとったのですね。

11月12日(水)

 「妖怪博士」再読。これも面白かった。この勢いで乱歩の少年ものを一気に再読してしまおうと思う。「妖怪博士」は通勤の途中で読み終わったので、鞄の中に入っていた岩波文庫「デヴィッド・カッパフィールド」(チャールズ・ディケンズ)を読み始めた。ところが、これが猛烈に面白い、本当に面白い。まだ第1巻の半ばだが、やめられないのだ。

11月11日(火)
 今日は残業。それでも、帰宅途中に駅近くの新刊書店に行ったが、特に何もなし。

11月10日(月)
 乱歩の「青銅の魔人」を久しぶりに読み返す。何度読んでも面白い。二十面相が憎めないところが、非常に良いですね。続いて「妖怪博士」に取りかかろう。

11月9日(日)
 昼間は家にいた。夕方、元町に出かけた。海文堂で「平林初之輔探偵小説選U」を購入。翻訳等も収録されていて、非常に面白そうである。Tの方は現在読書中であるが、面白い。判型が特殊で持ち運びにくいのが難点である。
 平林初之輔はアンリ・ポアンカレも訳している。岩波文庫の「科学者と詩人」であるが、私はポアンカレを愛読しているのである。平林の訳ではないが、「科学と方法」は何度読んだかわからない。
 その後、東川崎町の自治会長さんと打合せ。

11月8日(土)
 畸人郷の例会。いつものとおりミステリ談義は深夜まで続いたのであった。帰りの電車の中でも、これもいつものとおりヘロヘロだった。

11月7日(金)
 家へ帰ると世田谷文学館から「安部公房展」の図録が到着していた。早速と読む。安部公房と言えば高校時代に友人たちが良く読んでいたのを思い出す(というわけで読まないと話題についていけないのである)。当時は、安部公房、開高健、北杜夫といった作家たちが話題の中心だった。吉行淳之介を読んでいるのもいた。古書店では安部公房、北杜夫、福永武彦が高値をよんでいた。先日(と言っても、もう10年近く前だが)、北杜夫の「天井裏の子供たち」が初版・帯付きで100円均一の棚にあった。時代が変われば変わるものだ。そう言えば「楡家の人びと」も初版・帯付きで1500円で目録に載っているのを見たことがある。これはさすがに売れてしまっていた。
 例会でも大熊さんとよく当時の話をするのだが、あの時は「純文学」(今は死語であるが)も面白かった。新刊の話題も純文学がほとんどだったような気がする。特に安部公房の「箱男」が出たときには、話題沸騰だったことを覚えている。
 安部公房は大学時代に「安部公房全作品」(全15巻)を買って、ほとんど読んだ。まだ書棚にあるので、もう一度読み返してみようと思う。「他人の顔」をほめる人も多いが、やはり「砂の女」でしょうね(最初読んだときは別に何とも思わなかったが、後から良さがわかってくるのである)。短編では「壁」の「バベルの塔の狸」、戯曲では「闖入者」でしょうね。

11月6日(木)
 週も後半になると、疲れがたまってきてどうしようもないですね。これは、歳以外の何ものでもありません。本を読む方はさっぱりです。

11月5日(水)
 夕刻から東川崎町へ行って、打ち合わせをした。だんだん東川崎町の路地にも慣れてきて、暗くなっても歩けるようになってきた。これで近くに古書店でもあれば良いのだが、そうそう話はうまくいくわけはない。

11月4日(火)
 連休の疲れか、一日中体がだるかった。しかし、貯まった仕事は容赦なく襲ってきて、帰りの電車では本を読むどころではなかった。と言うわけで今日は何もなし。

11月3日(月)
 午前中に大阪へ行った。すぐ終わる用事だったので、その後長堀橋まで行って、阪神タイガースの御堂筋パレードを見た。ものすごい人だったのと雨で無茶苦茶だった。それでも星野監督の顔を見ることができたから良しとするべきだろう。
 パレードを見た後、御堂筋沿いに南へ行った。このあたりは大学時代に毎日徘徊していた場所だ。特に道頓堀、戎橋、法善寺近辺はまるで庭のように歩くことができた。このことは別の機会に書くことがあるだろう。
 地下鉄で梅田へ戻って、三宮に帰ってきた。午後は神戸でパレードがあるのだ。待つこと1時間、ここでも星野監督を見ることができた。2度も見て暇だと思われるかもしれないが、今年は一度も甲子園に行っていないのだから、その償いである。
 18年前の阪神優勝の時には、最終戦の巨人戦のライト側スタンドに自分はいた。今年の優勝が決まった試合の一塁側アルプススタンドには上の息子がいたのである。次回は親子3人で甲子園にいたいものだ。

11月2日(日)
 一日中家の用事をしていた。ガーデニングの店に行ったり、買い物(もちろん酒類を含む)をしたりしているうちに日が暮れた。まあ、こんな日もあるだろう。

11月1日(土)
 11月になった。今月は3連休が2回あって、今回はその第1回目である。午後に東川崎町へ出かけた。その後、元町の「古書つのぶえ」へ行った。階段のところに置いてある100円均一本を見て驚いた。何と中央公論社の「世界の名著」が大量にある。1冊100円は明らかに安い。思わず2冊買ってしまった(ミステリとは何の関係もないが、買った本は「バーク・マルサス」「ロック・ヒューム」の巻である。マルサスは「人口論」、ロックは「人間知性論」で有名ですね)。
 三宮センター街でも古書店をまわったが、特に収穫はなし。


 過去の日記へ