245 どもりの主教 E・S・ガードナー 田中西二郎訳 昭和32年11月15日 3版 The
Case of the Stuttering Bishop (1936) 7点
ご存じペリー・ペイスンのシリーズ第9作。
ペリー・メイスンの今回の依頼者も題名のとおり一風変わった人物であった。冒頭から息もつかせぬ展開と言いたいところだが、残念ながら本書はのってくるまでに少し時間がかかる。しかし、途中からは勢いがついてきて最後まで一気に読むことができる。相変わらずペリー・ペイスンの手法には強引なところがあるが、今回はそれが裏目にでるところが面白い。
しかし、最後の法廷の場面になるとメイスンが生き生きとしてきて、さすがはガードナーと思ってしまう。
「あとがき」で訳者が本書はメイスン・シリーズの代表作と称しても過言ではなかろうと述べているが、少し疑問である。というのは題名となっている主教が最後になっても大きな役割を与えられていないからである。そして、重大な点も簡単に片付けられてしまって、いささかあっけない気がする。普段のガードナーの作品であれば、こんな風にはならなかったはずである。それ以外の点では十分に及第点であるだけに惜しい。
そして、最後にはいつものように次の作品の題名に関連した会話で終わる。本書も例外ではなく、次回作の予告がうまくなされている。
あとがき(田中西二郎) があどなあ・ほうだん(平出禾)