第3回定例市会・小林るみ子議員代表質疑(要旨)
 
 09年度決算に対する市長への代表質疑は、9月29日に、小林るみ子議員が@神戸市の平和施策、A児童虐待と学校支援体制について質疑しました。この中で小林議員は、神戸市が「神戸空襲を記録する会」の空襲犠牲者名簿作成に協力することを明らかにしたことについて、「『記録する会』と神戸市双方が“同じテーブル”につくところからはじめて、意見交換を重ねていくべきだ」と質疑。またこれと関連して、現在引き続き検討すべき事業とされている平和記念館建設について、神戸平和記念館基本構想の凍結を解除し、建設に向け踏み出すべきと質疑しました。一方、児童虐待と学校支援体制については、「スクールソーシャルワーカー」の市独自配置や、教職員へのチーム支援体制の強化について質疑しました。
 以下、要旨を掲載します。なお、この小林るみ子議員の代表質疑の様子(30分)は神戸市会インターネット録画放映で見ることができます。



 私は、新社会党神戸市会議員団を代表して、2009年度決算について質疑する。
2009年度一般会計決算は、約6,700万円の黒字だ。しかしながら収支不足を補うため市有地売却で20億円、退職手当債40億円の財源対策をしており、実質は前年15億円を大きく上回る約60億円の収支不足・赤字になっている。
 歳入では、市税収入は景気悪化による法人市民税が大幅に減収し、地方交付税の増額があったものの、全体として5年ぶりの減収になった。また、歳出は、義務的経費が3,950億円と約半分を占めており、その中でも扶助費は生活保護費の増加で最高になった。一方、市債残高は前年度より減少したものの、特別会計も含めた借金は、依然として市民一人当たり約158万円に上っている。
売却できる土地は限られ、財源対策の資源は枯渇しつつあり、景気後退の影響による税収入減や扶助費の増加が今後も予想され、依然として厳しい硬直化した財政状況が続き、収支不足は更に増えることが予想される。
 このような状況を踏まえ、以下、数点について質疑する。

(1)神戸市の平和施策について

 まずはじめに、神戸市の平和施策についてお伺いする。
 戦後65年、過去の戦争の清算を曖昧にしてきたことから、今なお多くの課題が山積していると言える。今年は、オバマ大統領の世界に向けてのメッセージやNPT(核拡散防止条約)再検討会議の開催などもあり、世界的な規模で核廃絶にむけての動きが高まっている。
そのような中、1971年に発足した『神戸空襲を記録する会』の方々はこの間、空襲を記録し、語り継ぐ活動を続けてこられた。その一環として、神戸空襲犠牲者名簿作成に取り組んでこられ、これまでに、1,221人の犠牲者のお名前を確認することができている。しかし遺族の高齢化や周知の限界もあり、このたび神戸市に協力を要請することになった。
 神戸市は、『記録する会』の要請を受け、調査に協力することや大倉山周辺に慰霊碑を建立することを約束した。『記録する会』にとっては、長年切望してきたことでもあり、会員の方々はもちろん、遺族や平和を願う市民にとっては、大きな前進だと言える。

 そこで、質疑するが、『記録する会』の要請に応えて神戸市は今後、犠牲者名簿作成を具体化されていくが、残された時間が限られている中、一刻も早く取り組まなければならない。そのためにも、まずは『記録する会』と神戸市双方が“同じテーブル”につくところからはじめて、意見交換を重ねていくべきだと考えるが、市長にお伺いする。

 また、犠牲者名簿作成に関連して、神戸平和記念館基本構想についてお伺いする。1994年に神戸市から依頼を受けた『神戸平和記念館基本構想懇談会』は、3年半かけて神戸平和記念館のあり方について調査・検討を重ねてきた。その間、阪神・淡路大震災で、『懇談会』は一時中断されたが、「平和とは常に追求していかなければならない問題であること、また震災を体験して、およそ50年前にも戦争という悲劇があったことを後世に伝えていかなければならないという思いを強くしたことにより、懇談会を再開した」と語られている。
 戦後65年、戦争体験者が高齢化し、語り継ぐことが困難になってきた今だからこそ、次代を担う子どもたちが、平和や戦争を考える常設の“場―展示施設“が必要となってくる。

 そこで質疑するが、3月の総務財政常任委員会での「平和記念館」をめぐる陳情に対して「引き続き検討すべき事業」と神戸市は答弁された。この際、神戸平和記念館基本構想の凍結を解除し、一歩踏み出さなければならない時期が来ていると考えるが、市長のご見解をお伺いする。

(矢田市長)
 6月に記録する会から空襲犠牲者名簿編纂推進とモニュメント建立について要望をいただいた。個人情報の課題もあるが、今年は戦後65年の節目でもあるし、空襲を後世に語り伝えていくためにも行政として協力できることもあるのではと検討してきた。記録する会の主体的活動を支援するため、犠牲者情報収集や市内部に資料がないかなど、すでに記録する会のみなさんとは意見交換を始めている。名簿の収集にあたっては個人情報保護条例の手続きもあわせて相談していく。相当年月もたっているが、あらゆる方法で協力して進めていけたらと考える。

(小柴副市長)
 平和記念館については平成10年3月に懇談会報告書が出されたが、その後の本市の厳しい財政状況により、平和記念館の建設については行財政改善緊急3か計画では引き続き検討事項として位置づけられ現在に至っている。それに替わるものとして平成17年から戦災と阪神淡路大震災や水害をテーマにした「災害と戦争資料館」をホームページで公開している。市民から収集した戦災資料も一部HPで公開している。

(小林議員・再質問)
 神戸空襲は犠牲者は7千人とも8千人とも言われ、数さえもわからないのが現状だ。一つ一つの命を大事にする意味でもぜひ名簿作成は積極的に進めて頂きたい。『記録する会』と意見交換をしているとのことだが、顔と顔を合わせて一つのテーブルにつくような場所がないと進むものも進まないと考える。例えば実行委員会のようなきちんとした場を作っていってはどうか。
 平和記念館に替わるものとしてのホームページ上の資料館では十分伝えきれないし、兵庫図書館のコーナーに「戦災資料室」が設けられているが、一つの理念をもってアピールしていると言えるものではない。周辺の姫路や大阪にも独自の記念館はあり、滋賀県では20年前の構想がようやく結実して再来年、既存の施設を使ってオープンするということだ。財政難がネックなら滋賀県のように、例えば神戸文書館や旧神戸生糸検査所などの既存施設を活用するのも一つの方法だと考えるがどうか。

(矢田市長)
  『記録する会』のみなさんとは9月に意見交換をはじめているが、実行委員会のようなものをつくらなくても、まず具体的に行動をおこすことが大事だ。まずは個人情報保護審議会に年度内に諮問して作業を早く進めたい。

(小柴副市長)
 財政難なら平和記念館を既存施設を活用して作ってはどうかということだが、すでに神戸文書館や旧神戸生糸検査所には使用目的がある。『基本構想懇談会報告書』に沿って記念館を作るとなると財政的に困難だ。

(小林議員・意見)
 平和都市宣言を行い、非核神戸方式という施策を持ち、平和市長会議にも加盟した神戸市。平和記念館にむけてもう一歩前進していただきたい。 


(2)児童虐待と学校支援体制について

 次に、児童虐待と学校支援体制についてお伺いする。
 厚生労働省は、生活に苦しむ人が国民の中にどれぐらいいるのか、その割合を示す「相対的貧困率」を公表した。2007年時点で15.7%、つまり7人に1人が貧困状態ということになる。それはさらに貧困の連鎖を生み出し、子どもの貧困率も14.2%となっている。このように、今、子どもたちを取り巻く環境は著しく悪化し、家庭・学校・地域において、様々な課題を生み出してきていると言える。
 先日、大阪で親の育児放棄で二人の幼い命が奪われてた。頑張って子育てをしていた親が、ある日突然プチンと切れる背景には、様々な要因がある。疎遠な地域社会、希薄な人間関係、社会保障の不十分さ、不安定な収入、労働・雇用問題等様々な要因が絡んで起きたこのたびの事件は、ただ単に“自己責任”で済ませてはならないものがある。
 この間、頻繁に起きている児童虐待に対して、神戸市も児童虐待防止対策に取り組み、学校や子どもに関る機関が連携して、未然防止、早期発見、早期対応、再発防止に努めている。とりわけ「子ども家庭センター」の役割が重要視されてきており、そのためにも人員増などの体制強化にも力を入れていく必要がある。
 また、学校現場での児童・生徒の精神的ケアの仕事に携わる「スクールカウンセラー」の配置についても増員がなされているものの、更なる拡充が必要だと考える。

 そこで質疑するが、この間の子どもたちの置かれている環境の悪化の背景には、多くの社会的要因がある。そのためにも、学校内に留まることなく、子どもに関る様々な機関、教育委員会・子ども家庭センター・保健所・民生児童委員・警察等などに“つなぐ”ための「スクールソーシャルワーカー」のもつ役割が重要になると考えるが、市長のご見解をお伺いする。

 また、昨今、学校現場での早期退職教員増の問題がある。これらの背景には様々な要因がある。教職員の日常の多忙だけでなく、昨今の子どもたちや保護者をめぐる対応の困難さもその要因の一つだと言える。もはや学校現場では、教員一人ひとりの力ではどうにもならないところまできており、個人の努力の限界があると考える。
 
 そこで、質疑するが、子どもたちや保護者をめぐる困難な対応には、教員とともに、先ほどの「スクールソーシャルワーカー」をはじめ、スクールカウンセラー、管理職、生徒指導主事、養護教諭などでチームを作り、問題解決に向けて、教員を孤立させず、援助していくという「チーム援助体制」が学校に必要だと考えるが、市長の見解をお伺いする。 

(橋口教育長)
 文科省は平成18年より県に「スクールソーシャルワーカー」の配置を進めており、コーデイネーター役として、関係機関と連絡調整を図ることで学校を支援し、問題の早期発見・未然防止の効果が期待されている。神戸市の場合、学校から申請があった場合は県に「スクールソーシャルワーカー」の派遣要請をするが派遣にいたる数はそう多くない。
 教員を全体で支える仕組みについては、必要に応じて指導主事らが学校を訪問して指導助言をしている。また別に学校支援アドバイザーを各区配置している他、学校だけでは問題解決が困難な重篤な問題が発生した場合は、必要に応じ医師や弁護士を含む緊急サポートチームを派遣している。

(小林議員・再質問) 
 学校現場はある意味で、社会と隔離された閉鎖的な社会だ。しかし、子どもは学校と家庭や地域の中で生きており、それをつなぐのがスクールソーシャルワーカーの役割だ。県は県全体でわずか6名しか配置していない。しかも阪神・神戸地域を一人で担当している状況で数が絶対的に少ない。今後スクールソーシャルワーカーの役割は非常に高まってくる。その意味で市独自の配置をすべきと考えるがどうか。
 また様々な支援体制のようなものがあるとの答弁だが、問題があった場合に、教職員は一人で抱え込む傾向がある。うつ病や休職が増える中、何かあった場合、いつでも職場に「チーム援助体制」があれば教員は安心感がある。「チーム援助体制」が必要だということを要望しておく。

(橋口教育長)
 今のところ、「スクールソーシャルワーカー」が必要になる重篤なケースは多くない。ケースが多くなれば県に増員を要望する。