第4回定例会終わる
震災復興借上住宅、介護保険、橋下知事の神戸空港に関わる発言などで質疑
 
 11月29日から12月7日まで開かれていた第4回定例市会が終了しました。
 今回上程された議案の中で焦点になったのは、震災復興で民間等から借り上げた住宅問題です。現在神戸市は、約3,800戸の借り上げ住宅が20年の借り上げ期限を切れるにともない2015年から入居者に住み替えを求めるため、入居者にアンケート調査や説明会を行っていますが、多くの入所者から「この年齢だが、地域でボランティア活動をしており、友達も多い。先は長くない。高齢者だけでも残して欲しい」「みんなまた、一から出直しなんて寂しい。追い出すようなことはしないで」(11月25日の住民説明会での声。神戸新聞より)など多くの不安の声があがっています。

あわはら議員が代表質疑

 これに関連して今議会では、住民の住み替えに対応して、住み替えを希望する世帯の家賃が上昇する場合その激変緩和を行い、加えて住み替え後の空家についてその有効活用をはかるという市営住宅条例改正が提案されました。
 これに対し、あわはら富夫議員は議案質疑で、「高齢者がこのまま住み続けたいと主張した場合、住み替えを強要することは人権上も問題があり、移転強要はできないのではないか」、また「旧市街地で年間500戸を住み替え斡旋にまわすと言うが、旧市街地での応募をみると、灘区では51倍、中央区でも49倍にもなっている。500戸の供給では10年かかっても住宅困窮者の解消には遠く及ばず、住み替え者の優先で、逆に市民同士の対立をあおる結果になるのでは」と質疑しました。
 これに対し、当局は「住み替え住宅の確保については、総数としては対応できる。第1次市住マネジメント計画でも大きなトラブルも無く細かく対応してきた。今回も早い時期から同様に取り組んでいく」と、住み替えありきの答弁に終始しました。
 さらに兵庫県のアンケート項目選択肢の一つに「市営住宅への住み替え希望」があることに、あわはら議員が触れたのに対し、現時点で、兵庫県との調整が無い(県からは全く聞いていない)ことも明らかになりました。


橋下大阪府知事、「普天間基地移設候補先に神戸空港を」
小林議員議案外質問「知事発言に抗議し、基地受け入れ拒否の表明を」
矢田市長「安全保障問題は国が判断すべき問題」

 一方、今議会開会中の11月30日、仲井真沖縄県知事が普天間移設をめぐる視察先に関し、関西空港視察を検討していることについて、橋下大阪府知事は「関空が受け皿になることはない」と述べました。
 その後12月1日の記者会見では「国が候補地として関空を挙げれば議論は拒否しない」と発言したようですが、橋下知事は「視察するなら将来性の見えない神戸空港を見てもらいたい」と述べ、移設候補地として神戸空港を挙げたと報道されました。これついて、翌日の報道で矢田神戸市長は「国が決めることなのでノーコメント」と述べたと報道されています。
 この市長発言を受け、最終日12月7日の議案外質問では、小林るみ子議員が、@神戸空港に関わる大阪府知事発言、A生活保護制度の充実、B介護保険10年を経ての見直しについて質問しました。
 小林議員はこの中で神戸空港に関わる大阪府知事発言について、「市長は大阪府知事の発言に正式に抗議し、普天間基地の神戸受け入れは拒否するとの意思を表明すべき」と質問しましたが、市長は「安全保障問題は国が判断すべき問題だ」と、無責任な答弁に終始しました。
 以下、あわはら議員の議案質疑、小林議員の議案外質問の要旨を紹介します。なお、小林議員の質疑の全容(30分間)は、神戸市会ホームページのインターネット録画放映で見ることができます。
 


あわはら富夫議員議案質疑(11月29日・要旨)
−震災復興借り上げ住宅問題について−

 私は新社会党市会議員団を代表して第70号議案 神戸市営住宅条例の一部を改正する条例の件について、市長並びに関係当局に質疑する。

 住み替えありきの内容だ

 この議案は震災から15年間を経過し、当時20年契約で借り上げた民間住宅の期限切れを控え、住民の住み替えに対応して、住み替えを希望する世帯の家賃が上昇する場合その激変緩和を行うもので、加えて住み替え後の空家についてその有効活用をはかろうというものだ。
 しかしこの議案は、震災で被災した多くの被災者が終の住みかとして民間借上げ住 宅に入っている思いと逆行し、住み替えありきの内容だ。旧市街地での復興住宅の不足を補った民間借上げ住宅であり、復興住宅入居者と本来、公平であるべきだ。
 さて、私の当初の予定質疑だが、前任者への答弁と重なる部分があるので、先ほどの副市長の答弁に対して、更に踏み込んで質疑する。先の答弁では、「20年は契約であり、住み続けるとの選択は難しい」ということだった。ところが今回の借上住宅の居住者の構成を見ると、3,598世帯の内、65歳以上の単身高齢世帯は1,882世帯で全体の52.3パーセント、75歳以上は1,049世帯にもなる。期限が切れる5年後では、70歳以上世帯が過半数を超え、80歳以上世帯が全体の3割を超え、90歳を超える単身世帯も多く存在することになる。このような世帯は、事実上住み替えが困難と考えるべきではないか。

 高齢者への住み替え強要は問題

 ここで質疑するが、80歳や90歳を超える単身者や日常生活で地域でのサポートを受けているような居住者が、このまま住み続けたいと主張した場合、家賃を大幅に上げたり、住み替えを強要することは人権上も問題があり、居住の安定を定めた国際人権規約にも違反し、実質移転強要はできないのではないか。市長の見解を求める。

 また先ほどの答弁で、住み替え住宅の確保は、年間1,700戸の返還住宅の内、1,000戸を空家募集に、700戸を住み替え斡旋にまわすから大丈夫とのことのだった。しかし先の特別委員会の答弁では、旧市街地では500戸を住み替え斡旋に回すとの答弁で、旧市街地では少ない数になっている。この答弁は、先の市営住宅の空き家募集では長田の住宅で抽選が800倍となったと聞いており、このような状態を固定するものだ。
 旧市街地での応募をみると平成21年で一般住宅と徳目住宅を合わせて2万世帯が応募している。旧市街地での応募倍率は灘区で51倍、中央区でも49倍にもなっている。ここで質疑するが、500世帯の供給では10年かかっても、住宅困窮者の解消には遠く及ばないばかりか、住み替え者の優先で逆に、市民同士の対立をあおる結果になるのではと危惧するが、市長の見解を求める。

 更に、期限付入居制度だが、この制度における期限後の住み替えについて伺う。期限後の住み替えについては、入居後に中級以上の障害者になった場合は、特定入居者として市営住宅への住み替えのあっせんをするとのことだ。しかし、入居後に所得が減少し生活困窮者となるなど、生活実態が変化した居住者は対象とならず、若者の貧困化が叫ばれる中、退去期限の際、新たな混乱を招くことになると思うがどうか質疑する。
 以上、3点、新社会党市会議員団を代表しての質疑とする。

(石井副市長)
 住み替え困難者について。平成12年からの市営住宅第1次マネジメント計画では、廃止・建替にともなう3,000戸以上の住み替え斡旋を行って、大きなトラブルもなく細かく対応してきた。今回についても早い時期から同様に取り組んでいく。
 住み替え住宅の確保については、市街地では今後10年で5千戸の返還住宅を予定しており、総数としては対応できる。しかしミスマッチもあるので早期に斡旋を行う。
 期限付入居制度で、入居後に所得が減少になった場合については、市営住宅ははもともと住宅に困窮する収入の低い方を対象にしているので、住み替えの斡旋は公平性の観点から適当でない。

(あわはら議員・再質疑) 
 今後5年たてば、80歳以上の高齢者を抱えた世帯は、なんと1,523世帯と今回対象世帯の約半数で、85歳以上の高齢者を抱えた世帯は905世帯だ。90歳以上も三桁だ。先ほど第1次マネジメント計画の例をあげられたが、それは狭小住宅で風呂やエレベーターがないところからの住み替え斡旋だ。今回とは全然違う。そのことを、副市長は理解しているのか。
 県の借上げも神戸市の旧市街地で約1,900世帯ある。県が行った県借り上げ住宅のアンケートでは市営住宅への住み替え希望がアンケート項目に入ってたが、県との調整が行われているのか。また、県からの住み替えも受け入れるのかどうか伺う。また、受け入れるとのするならば、更に一般住宅の空き家募集の枠が狭められることになるのではないか。見解を。

(石井副市長)
 住み替え困難者の問題は第1次マネジメントの経験を生かし、個々の方の意向を調査し対応していく。県の市営住宅アンケート項目の件は、県からは聞いていない。空き家募集の倍率が高い住宅があると言われるが、逆に申し上げると申し込みのない住宅もある。

(あわはら議員・意見)
 今のは問題答弁だ。



小林るみ子議員議案外質問(要旨・12月7日)
 
(1)神戸空港に関わる大阪府知事発言について

大阪府知事発言に抗議し、基地受け入れノーの表明を

  沖縄県知事が普天間基地移設をめぐる視察先に関西空港を検討していることについて、11月30日大阪府知事は「関空が受け皿になることはない。視察するなら将来性の見えない神戸空港を見てもらいたい」と述べ、移設先候補地として神戸空港を挙げたと報道された。このような無責任とも言える発言は、これまで神戸市民や神戸市が多くの犠牲の上に築いてきた平和への重大な挑戦であり、許せるものではない。これに対し、市長は「国が決めることなのでノーコメント」と述べたと報道された。
 そこで質問するが、神戸市として大阪府知事発言に対しきちんと抗議し、「ノーコメント」でなく、神戸空港は、移設先候補地としてはあり得ないことを明確に表明するべきだ。

(小柴副市長)
 安全保障問題は国において検討されるべきことと考えている。神戸空港は新たな関西の玄関口として定着しており、神戸のまちづくりや経済活性化に不可欠な都市装置である。またポーアイ2期はライフサイエンス分野のクラスターが形成されつつある。神戸空港は市民の利便に資するという考えで整備した利便性の高い空港であり、この方針で運用していく。

(小林議員・再質問)
 市民のいのちや暮らしを守る視点で、立場で神戸市としての見解を持つべきだ。仮に神戸空港に基地が移設されるようなことがあれば、普天間基地の半分の面積しかないことからポーアイ2期も基地に提供しなければならなくなる。さらに関西3空港の空域を大幅に変更せざるをえなくなり空港機能自体が大幅に低下する。そして何よりも非核神戸方式を持つ神戸港が平和な港ではなくなる。「国が決めること」というのであれば、それは自治・の放棄とも言え、国がもし要請してきたら、それに従うのか。基地受け入れを認めると捉えられると思うがどうか。

(矢田市長)
 安全保障問題は国が専管する事項であることをベースにコメントした。

(小林議員・再質問)
 国が決めることだとしたら、結果的に受け入れることにつながる可能性がある。市民のいのちや暮らしを守る視点で、立場で神戸市としての見解を持つべきだ。平和都市宣言もあり、平和市長会議にも加盟している。きちんと抗議し、受け入れはあり得ないと表明をすべきだ。

(矢田市長)
 このような問題は大局的に見て判断すべきで、国が判断すべき内容だ。


(2)生活保護制度の充実について

制度改革でなく、保護に至る前での社会保障の充実を

 先般厚生労働省は、09年度の全国の生活保護受給世帯は、月平均127万4231世帯に上り、過去最多を更新したと発表した。この背景には、無年金や低年金の高齢者が増加したこと、景気低迷での失業者の増加、さらに非正規労働者増による若年者の低所得者世帯の増加などが考えられる。神戸市も例外ではなく、保護率は震災後の14.1‰から28.8‰と約2倍に増加している。
更に深刻な問題は、生活保護基準以下で暮らす生活困窮者が多数いるということだ。このうち、どれだけの人が生活保護を受けているかを示す指標、「捕捉率」は、日本の場合15%〜20%程度と言われている。だとすれば、約8割の人は漏給状態にあると言える。
 そこで質問するが、先般全国指定都市市長会の「生活保護制度改革案」提出にあたって、市長は「生活保護は制度疲労を起こしている」と述べているが、これは制度の問題ではなく、生活保護に至るまでの雇用や年金制度、社会保障などが充実していないことにこそ大きな問題があると考えるがどうか。

(矢田市長)
 生活保護制度は発足してから抜本的な改革はしておらず、少子・超高齢化などの社会・経済情勢に対応できていない。リーマンショック以来、稼働層や高齢者の保護世帯急増があり、今回の指定都市市長会での提言は、生活保護制度だけでは解決できない雇用労働、年金制度など社会保障制度全般のあり方や再構築を含めた提案だ。今、悪質な不正受給や貧困ビジネスなど制度の矛盾から生じる問題もあり、市民の信頼が失われる可能性がある。今回の市長会提案では全ての生活困窮者を生活保護で支援するのではなく、ライフステージに応じて必要な支援を受けることができ、生活保護制度が最後のセーフティネットとして再構築されることを要請している。

(小林議員・再質問)
 今回の制度改革案は、はじめに財政論ありきで目先の対応策に終始しているように思える。生活保護は良い制度だ。制度の改革より、まずは雇用や年金での社会保障の充実など、最後のセーフティネットに至る前の段階の課題に力を注ぐことが自治体がやらねばならないことだ。さらに保護受給者急増傾向の中で、ケースワーカー1人当たり100人以上を担当せざるを得なくなっている。ケースワーカーの増員できめ細かな対応と就労・生活支援などの相談体制の強化をしていくことも必要だ。さらに継続審議の労働者派遣法改正案の早急な成立など具体的な取り組みが求められていると考えるがどうか。

(矢田市長)
 今回の提案内容は、制度そのものの抜本的な解決が必要で、その背景には、社会保障制度のあり方を考えないといけないことがあるということだ。ケースワーカーは大幅に増えているが、増員だけで解決できない。就労支援・自立体制の構築についてどう対応していくのかも大事だ。

(小林議員・意見)
 制度改革の前に、それに至る前のことに自治体は力を入れるべき。生活保護の原点に立ち戻るべきで、憲法25条、18条や生活保護法2条に抵触する改革案については見直しを。


(3)介護保険10年を経ての見直しについて

実態と違う介護認定になる仕組みなど抜本的見直しを


 介護の社会化を謳って導入された介護保険をめぐって、財源不足の問題をはじめ、保険料・利用料の負担など課題が山積している。
これらのうちの一つが、介護切りにもつながる介護認定での軽度傾斜化問題だ。96歳のある高齢女性は、介護認定において、認知症が徐々に進行しており身体機能も著しく衰えているにもかかわらず要介護度3から1に一気に軽くなった。介護サービスを継続しようとすれば保険外を自費で賄わなければならず、限界がある。そうなれば家族で介護するしかないが、これにも限界がある。本来なら年齢を重ねるとともに、高齢者の症状は、重くなることはあっても、軽くなることは、多くはあり得ないはずの介護認定。そのあり方や調査方法に納得できず、介護認定や制度への不信感が生まれている。
 そこで質問するが、実態とかけ離れた介護認定になりがちな今の仕組みを抜本的に見直さなければならないと考えるがどうか。

(中村副市長)
 市町村による要介護認定のバラツキを減少させるため、国において昨年4月に認定方法の見直しが行われた。しかし軽度に判定される事例が続出したため、昨年10月に再度見直しが行われた。その結果、本市でも軽度になった判定割合は平成19年度19%、20年度20%に対し、見直しが行われた21年度前半の4月から9月は29%とあがった。しかし21年度後半は20%と見直し前の水準に戻っている。
 国の社会保障審議会介護保険部会の11月30日の制度見直し意見書でも認定2については、認知症の要介護度を適切に評価できているかなどを評価・検討していくということが述べられている。本市も公平公正な調査・審査判定のため判断基準をより具体的するように国に要望している。

(小林議員・再質問)
 今なお私の回りでは認定が軽くなる声が聞かれ、市民は制度や調査方法に対しての不信感がある。この間、はじめに制度ありき、はじめに財源ありきで介護給付費の削減に走り、本来の利用者や家族にとって望ましい制度とは何か、介護とは何かという視点がなくなり、介護保険の本来の趣旨とは違ってきているのではないかと思うがどうか。
        
(中村副市長)
 要介護認定は客観的にサービス供給量を決定し、受給者の公平性を確保するのに不可欠な仕組みだ。

(小林議員・意見)
 介護認定など介護保険にはまだまだ問題がある。2012年の改定にあたって保険者として利用者・家族の立場にたった、信頼される制度になるよう国に意見を。