小林るみ子議員・本会議代表質疑(要旨)
 
 9月28日、2010年度決算に対する代表質疑が行われ、新社会党議員団を代表し小林るみ子議員が、「1、原発の放射能汚染対策について」「2、残された震災の課題について」の2点にわたり質疑しました。
  「1、原発の放射能汚染対策について」は、小林議員が『神戸市地域防災計画』の見直しにあたって、あらたに「原発事故災害対策」の項目を起こし、より具体的で実践的な対策を盛り込むべきと質疑したのに対し、矢田市長は現在の神戸市防災計画の規定に基づき放射性物質事故にも対応できると答弁するにとどまりました。
 一方、「2、残された震災の課題について」は、災害援護資金返済にあたり東日本大震災の被災者へ適用されている償還免除事由=「支払期日到来から10年経過後において、なお無資力またはこれに近い状態にあり、且つ償還金を支払うことができる見込みがない場合」を、阪神淡路大震災での被災者にも適用するよう国に働きかけるべき、と質疑したのに対し、中村副市長は阪神淡路大震災にも免除要件とし適用を求めていく必要がある、と前向きな答弁をしました。
 以下、質疑と答弁の要旨を紹介します。なお、質疑の全文(25分間)は神戸市会インターネット録画放映(→こちらから)で見ることができます。また、要旨は議員団事務局のメモによるものです。
 


 私は新社会党神戸市会議員団を代表し、2010年度決算について質疑する。

1.原発の放射能汚染対策について

 福島原発事故から半年を経たが、大地震で原発事故が起きれば、復旧・復興どころか救援すら出来ないという“原発震災”を引き起こすことをかねてから地震学者の石橋克彦さんらが警鐘を鳴らしていた。福島原発事故を機に原発の「安全神話」は崩壊し、「原発と人類は共存できない」ことが誰の目にも明らかになった。
 今、福島の子どもたちは、被爆量の目標を年間1_シーベルトとしつつ、年間20_シーベルトまでを許容範囲とする、とんでもない基準のもとに、日々晒されている。「安全を考えて」基準を決めるのではなく、「現実の汚染にあわせて」大気も土壌も食品も基準が変えられようとしている。
 そこで質疑するが、市民を放射能汚染から守るために、環境や食品の放射能汚染の監視の強化だけでなく、『神戸市地域防災計画』の見直しにあたって、あらたに「原発事故災害対策」の項目を起こし、より具体的で実践的な対策を盛り込むべきではないかと考えるが、市長の見解をお伺いする。

(矢田市長)
 原子力災害では国の原子力安全委員会が定めている防災指針で、原子力事故対策を重点的に充実すべき地域の範囲(EPZ)を、原発からの距離は半径8キロから10キロと定めている。
 兵庫県の地域防災計画では原発のEPZは存在していないので、原発事故の直接的被害が兵庫県に及ぶことは想定していないと考える。神戸市の地域防災計画では地震対策編の中で、地震を要因とした放射性物質の異常な水準の放出の場合の対策を定めている。これにもとづき、放射性物質事故災害の場合の汚染調査・救助・避難活動などを定めており、神戸市では、現在の防災計画の規定に基づき放射性物質事故にも対応できると考える。

(小林議員・再質問)
 確かに『神戸市地域防災計画』には「放射性物質事故災害対策」の項目があるが、この事故災害の対象は医療施設や運搬中の事故災害などを想定したもので、原発事故は対象にしていない。
 兵庫県は10キロ以外にありながらすでに10年前に『原子力防災計画』をつくっている。また今回の原発事故を契機に国の指針にとらわれずに、独自に防災計画見直しを始めている自治体がある。近畿圏でも琵琶湖が汚染されれば大変なことなると滋賀県も見直し始め、京都府もEPZを10キロから20キロに拡大する観点で見直し始めている。たしかに神戸は原発から100キロ以上離れているが、福島では避難区域は50キロ、汚染地域も100キロまで広がっている。香川県は、伊方原発から130キロあるが見直しを始めている。
 神戸市の場合も、万が一事故で琵琶湖が汚染された場合大変なことになる。今回の『神戸市地域防災計画』見直しにあたって、津波対策だけではなく、「原発事故災害対策編」あるいは『原子力防災計画』などの具体的なことが必要。もう一度答弁を。

(矢田市長)
 私も、神戸大の石橋名誉教授の話を先日お聞きしたが、どう日本の国として対処すべきかについても話があった。こういった内容を踏まえて、今後安全な町づくりに必要な内容をどうとらえていくかは欠かせない。国の方でも議論しているが、もしものケースの場合、今お話にあったように、例えば琵琶湖は関西全体では大変なことになるので、広域にわたり考えないといけないことだ。その際、大変な事態が予想され、緊急性もあるので、どう対処すべきか考えていくか必要がある。

(小林議員・意見)
 今後『地域防災計画』の見直しが始まるが、津波対策だけでなく、市長もおっしゃたように緊急性を要するものなので、市独自で「原発事故災害対策編」もしくは『原子力防災計画』を作るべき。それが市民の安心にもつながる。


2,残された震災の課題について

 次に、阪神淡路大震災から16年、今尚残された課題について2点質疑する。
 一つめは、借上げ住宅返還問題。震災後、兵庫県や神戸市は、復興住宅を十分に供給できなかったことから、民間住宅やURを借上げ、多くの被災者に提供した。市債償還や借上げ料による収支不足を背景に、返還契約期限が迫っていることを理由に、被災者に今再び転居を強いることを強行しようとしている。借上げ住宅の居住者には、高齢者が多く、地域にも慣れ、顔見知りもできた今、転居を余儀なくされれば、再びコミュニティが断ち切られ、高齢者の命を縮めることにもつながりかねない。
 このたび、神戸市は、東日本大震災の被災者に対する支援の一環として、93世帯、271人の被災者に応急仮設住宅として市営住宅を提供した。半年経った今尚、「引き続き多数の方が入居されていることを考慮し、このたび、入居期間の延長を認めること」とし、2013年3月11日まで延長することを決めた。
 そこで、東日本大震災の被災者に対して入居期間の延長を考慮されたように、阪神淡路大震災の被災者に対しても、借上げ住宅返還期限延長を考慮するべきなのではないかと質疑する予定だったが、午前中の質疑に対しての答弁の繰り返しになることから、意見に変えさせていただく。 
   
 二つめは、災害援護資金返済問題。災害援護資金は『災害弔慰金法』に基づいて、全壊・半壊世帯に、上限350万円を貸し付ける制度だ。16年経った今尚、約196億円の未回収金がある。背景には、少額返還者などの高齢化や景気低迷があり、返済しようにもできず、4人に一人が返済を終えていないのが実状だ。このような状況を考慮し、国は、このたび、2006年の5年延長に続き、返済期間をさらに3年間再延長することにしたが、免除の要件については現行のままだった。
 その一方で、東日本大震災の被災者への貸付については、通常の免除事由に加え、「支払期日到来から10年経過後において、なお無資力またはこれに近い状態にあり、且つ償還金を支払うことができる見込みがない場合も、免除の要件に該当することとなる」などの特例追加措置が講じられた。
 そこで質疑するが、阪神淡路大震災での被災者にも、同様の扱いがなされるように、神戸市として国に積極的に働きかけることが必要だと考えるが、市長の見解をお伺いする。

(中村副市長)
 ご指摘のように東日本大震災と阪神淡路大震災で貸し付け要件に差違が生じるに至っている。償還期間、保証人の有無の適用については阪神淡路の債務者への適用は難しいが、ご指摘の償還免除事由、つまり「支払期日到来から10年経過後において、なお無資力またはこれに近い状態にあり、且つ償還金を支払うことができる見込みがない場合」については、阪神淡路にも免除要件とし適用を求めていく必要がある。 
 すでに国に対しては回収不能な場合などの償還免除を要望しており、前回の5年の償還期限の延長に続き、今年1月にさらに3年間延長が認められた。さしあたり、今回の3年間の再延長の完了の後、引き続き再々度の延長を2年間求めていきたい。その結果として、東日本の適用条件10年という同等の扱いになるため、その段階で同様の扱いをしてもらうよう要望していく必要がある。

(小林議員・意見)
 災害援護資金については、16年前、『被災者生活再建支援法』が阪神淡路大震災に適用されない中、ほんとうに有効に使われた施策だ。副市長の答弁では、再々延長後に国に対して求めていくということだが、借りている方は高齢者だ。一刻も早く東日本の施策が適用できるように、今からでも国に求めていくべきだ。