家               井上 力 - 2007年3月15日
 神戸空港の財源調達に、神戸市がようやく腰を上げました。こう表現すると誤解を受けるかもしれません。あたかも財源調達が可能であるかのような・・・と。言いたいのは財源を確保せずに、いったいどれほどの年月が費やされたのかということです。
 開港してすでに1年、いや1年など、この20世紀から21世紀へとまたがった長大計画にとっては一瞬の出来事です。埋め立ての開始は99(平成11)年、埋め立て免許の出願は住民投票運動を足蹴にする目的を持って98年10月、もっと遡れば基本計画検討委員会の設置は89(平成元)年です。なんと平成の19年間にわたって、「財源調達」を怠ってきた!のです。
 2007年3月8日、19年ぶりに財源調達方針が初めて公表されたのです。それは従来の説明を根底から覆す「半額セール」でした。  「完成すれば反対運動は消える」のが常でしょうが、帳簿は正直です。

(注:本文は井上力HPの木曜コラムに掲載してあります。)
学生センターの古本市       井上 力 - 2007年3月8日
 いくつかの新聞が、神戸学生青年センターの「古本市」を報じました。文庫、新書、児童書、漫画は百円、ほかはすべて三百円。読書家は掘り出し物を得るこんな機会は他にないと言います。
 いいことだからと始めるのは簡単です。始めたものの、長続きしない例もたくさんありますし、わが身を振り返れば続けていないことの方が多いというのも事実です。
 学生センターが避難所だったとき、アジアからの留学生を支援する「義援金」としてスタートし、これまで52人の留学生に月5万円の奨学金を支給した「六甲奨学基金」を支える古本市が、10年目。
 館長の飛田雄一さんが関わる、あるいは中心となるグループは、いったいいくつあるのか、一度かぞえてみなければいけないと思います。その信念の強さが何によって培われたのか、そう遠くない日に研究されなければなりません。

(注:本文は井上力HPの木曜コラムに掲載してあります。)
家より人権が当然         井上 力 - 2007年3月1日
 井戸敏三・兵庫県知事が26日の定例会見で、「戸籍のない者」にパスポートを発給することについて外務大臣宛に要望書を送ったことを明らかにしました。「しかしながら、日本国籍があることが明らかでありかつ本人確認が可能な場合については、人権の観点から出生証明書等をもって旅券の発給を受けることができるようにすべきであると考えます」と、明快です。
 いわゆる「婚外子」問題、最近は「三百日問題」とも言われている問題です。「婚姻の解消若しくは取消しの日から三百日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定」(民法第772条)し、「前夫の子とする」という規定のために、戸籍がなく、そしてパスポートが発給されないという問題が生じています。
 法改正が加速されそうです。民法は戦前の家制度・家督相続、男系男子社会の名残で、今や人権が優先するのは当然です。

(注:本文は井上力HPの木曜コラムに掲載してあります。)
不発弾はキナ臭い         井上 力 - 2007年2月22日
 東灘区の青木で不発弾が見つかり、3月4日にその処理が行われます。対策本部の矢田市長は、午前8時から午後3時頃まで、半径300メートルの1万人に避難命令を出し、周辺の阪神高速、国道43号線、阪神電車を止めるそうです。
 撤去作業にあたる自衛隊は当初、半径500メートルの範囲の住民の避難が必要としていたそうです。
 1万人の住民には避難場所として周辺5つの小中学校が指定されています。
 当地は災害時、高齢者や障害者など要援護者を前もって申し出に基づいて登録しておくシステムを立ち上げようとしている地域ですが、日々変化する体調や転出入を考慮すると、その困難を指摘する声もあります。「私を助けに来て」と申告できない要援護者も必ずいます。
 「不発弾については、防護処理を実施済みです。爆発の危険はありませんので、ご安心ください」とも神戸市は言っています。

(注:本文は井上力HPの木曜コラムに掲載してあります。)
さすが偽装大国           井上 力 - 2007年2月15日
 兵庫県の新年度予算が発表されました。「県としては大幅で歴史的な増収だが、県民や市町のために使えるお金は大幅減」です。
 過去の投資が現在と未来の利益につながらない。過去の投資が丸々負債となってのしかかる。全国どこの自治体も同じ苦しみを味わっています。
 国が定めた実質公債費比率という数値をカイゼンするため、基金を1500億円も取り崩したというのです。県の名誉のために正確に表現すれば、言わば家族全員の財布から現金を集めて銀行に預け、残高証明を取っただけのことです。数字の操作です。神戸市が長年、財源対策として市債返済に充てるための基金を取り崩し続けてきたのと同じです。
 国に起債を認めてもらうために偽装するのです。世間では、これを粉飾決算と呼びます。
 県も市も「偽装予算」。さすが偽装大国。

(注:本文は井上力HPの木曜コラムに掲載してあります。)
マンション建設ラッシュが壊すもの   井上 力 - 2007年2月8日
 2系統の市バスから見える「W興産は話し合え!」という横断幕が、ひときわ目を惹きます。場所は護国神社とコープのちょうど中程です。
 16系統の市バスから見える林立する赤いノボリも。場所は神戸大学国際文化学部(旧教養部)の東です。
 平穏であることだけが幸福というささやかな希望を、時ならぬマンションラッシュが打ち砕いています。いわく「六甲からの夜景」「閑静な」「都心へ15分」「梅田へ40分」・・・。  そのマンションからの景観が絶景であるならそのマンションに遮られる景観には絶句する。ゴミ置き場一つ自らの敷地内につくれない大欠陥マンションが、「閑静な住宅街」に歓迎されるはずもない。
 砂防地区の伏流水が二度と地表を襲うことはないのか。
 はっきりしていることは人々の交流や支えあいをデベロッパー(開発業者)が壊し続けていることです。

(注:本文は井上力HPの木曜コラムに掲載してあります。)
投稿者の言うとおり         井上 力 - 2007年2月1日
 『神戸新聞』投書欄「発言」(31日)に、医療機関の領収書をこまめに貯め、年間11万円でやっと千円還付という、苦労する庶民の立場から、「めんどう」だからと開き直る政治家を嗤(わら)う意見が掲載されていました。
 国会議員の事務所費しかり、地方議員の政務調査費しかり。公費支給の沿革やルールは微妙に異なりますが、まことに指摘のとおりです。
 政治資金規正法があり、国会議員の資産公開に関する法律があり、自治体には準じた条例がありますが、ザルでは水をすくえません。
 先の投稿者は年金生活者のようです。医療費控除に必要な領収書を例に挙げておられますが、この方は、仮に領収書どおりに年金が増額されるなら生活を全面公開しようという決意のようです。議員とカネの問題は、議員の私生活を隠したままでは解決しません。

(注:本文は井上力HPの木曜コラムに掲載してあります。)
コンプライアンス万能?      井上 力 - 2007年1月25日
 「コンプライアンス」が大流行しました。新自由主義は何でもありじゃない、企業のカネの儲け方にも、乗っ取りにも規範や秩序が必要だと。その規範は法令遵守だと。
 その流行は行政にまで及び、条例を運用する神戸市までが村岡事件発覚直後から目指したのは「コンプライアンス」でした。ついには条例をつくる市会までが「コンプライアンス」。
 ところが不二家事件では、だれも腹痛を訴えなかったし被害がなかったことから「どうも、法令さえ守っていればいい、隠し通せればいいという風潮は困ったものだ」などと言われたりします。
 四半世紀続いた規制緩和一辺倒から新しい企業秩序が生まれそうでいて、それはますます遠のいていくようです。新自由主義は労働者に寄生する腐った資本主義です。
 腐りかけた材料を使ったことを、腐った資本主義がなじっているだけです。

(注:本文は井上力HPの木曜コラムに掲載してあります。)
12年、山陽団地から        井上 力 - 2007年1月18日
 山陽団地から、とても元気で、でもとても心配な電話をいただきました。大震災で山陽団地に避難生活の場を求めた人の一人です。「神戸に帰りたい」と。赤磐市は暖かくしてくれるけど、帰りたいと。
 避難所に山陽団地への一時避難が呼びかけられ、彼女はそれに応じました。岡山県営住宅には大量に空き家があったのです。大勢の人が山陽団地で暮らしました。復興住宅が完成し、どこに申し込むと外れないのか、街並みはどう変わっているのか、名谷かHAT神戸か・・・。
 県外避難者数は名目上はどんどん減っています。神戸市役所が広報を送り続けている人の数は433人。先日新聞に報じられた兵庫県の「県外避難者」は265人です。
 知事は「復興宣言はしない」と言い、市長は「豊かな神戸」と言います。はっきりしていることは、みんな間違いなく震災の日から12歳、年を重ねたことです。

(注:本文は井上力HPの木曜コラムに掲載してあります。)
県政・市政の大掃除を        井上 力 - 2007年1月4日
 お正月からイヤな話題で恐縮です。秋から「次は役所も絡んだ土地疑惑」と噂されていました。
 ある種の議員は政治資金規正法で認められない寄付を、「借り入れ」として受け取るのが常らしいのです。しかも前宝塚市長も今回も、元兵庫県議。5千万円について地検が後援者を事情聴取した後に「返済」したものの、八百万はつじつまが合わないらしいのです。
 つじつま合わせができたとして、後援者がカネを「渡す」には、それなりの理由があったと『毎日』は詳細に報じています。震災復興事業の代替地について、神戸市と兵庫県が「口きき」に応じていたのではないかというものです。12年前、震災の朝、「きょうからどうやって暮らそうか」悩みに悩んだ人々の背後に、「何で儲けるか」悪知恵を働かせていた人の凄さよ。それが2世や与党というものか。積んだ経験は使い道次第です。県政・市政の大掃除が必要です。

(注:本文は井上力HPの木曜コラムに掲載してあります。)