有事法成立下での非核神戸方式の現状と課題
有事法成立下での非核神戸方式の現状と課題
  「非核神戸方式の可能性を探る」
神戸市会議員 あわはら富夫(憲法を生かす会神戸)
「非核神戸方式」を全国に広げようと、「非核神戸方式・平和条例を考える全国交流集会」が6月28日29日の両日、神戸市内で開かれ全国から約500人が参加しました。この集会は99年の函館を皮切りに、横須賀、鹿児島と続けられてきましたが、有事法の制定によって「非核神戸方式」の意義が改めて注目される中で神戸開催となりました。この集会で、地元を代表して「有事法が成立した中で非核神戸方式の可能性」について「あわはら富夫」市会議員が報告を行いました。

1、非核神戸方式の歴史と仕組みについて
 @、神戸での非核運動の歴史
  ・1945〜51 神戸港が米軍の完全占領下
  ・52年から一部撤収解除が始まり、74年に米軍占有埠頭の第6突堤が神戸市に返
   還され完全返還となる。
  ・その間、朝鮮、ベトナム戦争を通じて、休養、補修、修理などの名目で、第7艦隊
   の潜水艦、駆逐艦、巡洋艦が入港。タイコンデルガも60年代に2度入港。
   朝鮮戦争後の57年、米軍艦の入港は311隻。60年まで毎年100隻を越え、70年
   から74年の5年間でも計23隻入港。
  ・74年米議会でラロック証言「日本に寄港する艦艇は核兵器をはずさない」
  ・神戸市議会で社会党平田議員(灘区選出)の「将来、核武装をしている疑いの
   ある米艦船の入港という状態が生まれた場合どうするか」との質問に当時の宮
   崎市長が「核艦船の入港を拒否する」と答弁。
  ・75年、神戸港で働く労働者が中心となって市議会に陳情。そして同年3月18日
   「核兵器積載艦艇の神戸港入港拒否に関する決議」が全会派一致で採択。

資 料
核兵器積載艦艇の神戸港入港に関する決議
 神戸港は、その入港船舶数及び取扱い貨物量からみても世界の代表的な国際商業貿易港である。利用するものにとっては使いやすい港、働く人にとっては働きやすい港として発展しつつある神戸港は、同時に市民に親しまれる平和な港でなければならない。この港に核兵器が持ちこまれることがあるとすれば、港湾機能の阻害はもとより、市民の不安と混乱は想像に難くないものがある。
 よって神戸市会は核兵器を積載した艦艇の神戸港入港を一切拒否するものである。
 以上、決議する。

1975年3月18日                 神戸市会

 A、非核神戸方式の仕組み
  ・75年以降、神戸港に入港した外国艦艇。核保有団、フランス(3隻)、インド(4隻)
   の2カ国は非核証明を提出。
  ・イギリスは78年〜84年に7隻入港を打診したが「証明を出せ」との市側の説明で
   入港を断念。

  ・米艦についてはその後入港の打診すらない。
 B、非核神戸方式の法律的有効性について
  ・神戸市港湾局の見解
   *法律的根拠はなく行政指導である。
   *決議に基づいて港湾管理者である市長が行政指導として、非核証明書の提出
    をお願いしている。
   *証明書は条例などに明確な根拠はなく、拒否されれば仕方がない。(港湾整
    備局海務課長)
  ・国の見解
   *神戸方式は、法律、条例等に根拠がない。米国軍艦が決議後入港していない
    というのは、米国側で『非核証明書』の提出が、法律又は条約上の強制力が
    あると考えているためではないか。また、神戸市から証明書を求められても、
    法律的根拠がないので外務省としては拒否する考えである。(84年外務省見
    解)
  ・法律的有効性について
   *日本国憲法の平和主義
   *非核三原則の国会決議(71年11月24日)
   *地方自治法
    地方自治体の処理すべき事項として「地方公共の秩序を維持し、住民及び滞在
    者の安全健康及び福祉を保持すること」(第2条3項1号)を挙げている。
   *港湾法
    港湾管理者としての神戸市長が港湾法に基づいて必要な規制を行うことができ
    る。
   *神戸市港湾施設条例
    第3条「港湾施設を使用しようとするものは、市長の許可を受けなければならな
    い」
    第5条「市長は‥次の..場合においては、許可又は承認を与えてはならない。
    ..(3)その使用内容が港湾環境を悪化させるおそれがあるとき。(4)その使用
    内容が公の秩序をみだすおそれがあるとき。」

    第6条「市長は‥使用に係わる危険を防止し、秩序を維持し、または環境を保全
    するために必要な条件を付し、及びこれを変更することができる」
    第36条「市長は、必要があると認めるときには使用者に対し取扱い貨物、‥そ
    の他港湾施設の使用に関する事項について関係書類の提出を求めることがで
    きる」

2、強まる非核神戸方式つぶしの動き
 @、カナダ艦船プロテクター号の非核証明書なき入港(1998.5.25)
  ・外務省の圧力も、見え隠れするアメリカの影
  ・バース指定を行わず結果、自衛隊阪神基地に入港
 A、姫路港への米艦船ビンセンスの入港(2001.8.29)
  ・非核神戸方式が始まって以来、はじめての兵庫県下への入港
  ・「非核3原則が守られている」と県は入港を認める
  ・県側が個々の艦船状況を知りたいと米側回答文書「個々の艦船・・・議論を行わ
   ない」の削除を求めていたことが明らかに
 B、非核神戸方式つぶしのアメリカの直接的な動き(別紙参照)
  ・神戸市会与党会派に対する働きかけ(99年11月)
  ・港湾や連合など労働組合に対する働きかけ(2000年8月)
  ・ポーアイ2期への米企業誘致(非核神戸方式が障害発言)(2000年4月)
  ・神戸まつりやイベントに米海軍が出演(2000年〜)
  ・在大阪・神戸領事館領事部長が神戸市助役と危機管理官と危機管理問題につ
   いて懇談(2002年9月)

3、これほど非核神戸方式にアメリカがこだわるのはなぜ
 @、安保条約(地位協定)や周辺事態法がありながらも米艦船が国内法である(港湾
   法)を守る義務があるということだ。(周辺事態法ではなく有事法の制定を米が働
   きかけた背景には非核神戸方式があるということか)
 A、朝鮮「有事」への対応には神戸港の米艦船利用が必要との軍事戦略上の位置
  ・戦後接収港であり熟知
  ・軍事産業の存在
  ・医療設備の存在
  ・伊丹など自衛隊との連携
  ・休養を補償できる大阪、神戸

4、有事法と非核神戸方式
 @、有事法で自治体権限の制約は可能か(代執行権の1年先送り、国民保護法制)
 A、日本国憲法と港湾法の持つ意味。 (平和主義からの出発)
  ・港湾法の成立と神戸市長のかかわり(地方自治の持つ意味)

5、非核神戸方式の現状
 @、市民の支持(兵庫県民の8割が必要性認める)
 A、経済界の動き
 B、市長の対応
   有事法下でも非核神戸方式を堅持すると発言
   積極的に国に対して働きかけをとの問いに対しては、国の動向を見守るとの立場
   最終的には議会に相談したいと発言
 C、神戸市議会
   与党会派も市長の立場を支持、現在は非核神戸方式堅持。

6、非核神戸方式の今後
 @、神戸モンローからの脱却
 A、港の平和利用への拡大 (条例化との絡み)
 B、平和施策の展開と非核神戸方式の周知(副読本への記載など)

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