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震災アスベストで初めて中皮腫の労災認定
追跡・健康調査など市は積極的な対応を


 第1回定例会会期中の3月4日、姫路労基署は、阪神・淡路大震災の被災地で解体作業に従事し、アスベストを吹い中皮腫になったと訴えていた男性を、労災認定をしていたことが明らかになりました。この間私たちが指摘してきた震災アスベストの心配が現実のものとなりました。NPOひょうご労働安全衛生センターでは、3月9,10日と緊急の電話相談「震災アスベスト被害ホットライン」に取り組み多くの相談が寄せられました。
 さっそく、新社会党議員団としても、あわはら富夫議員が予算特別委員会の総括質疑でこの問題を取り上げ、市長に質疑し、市の積極的な対応策強化を求めてきたところです(別途要旨掲載)。これに対し、市長は「震災アスベストの相当な状況は熟知している。今後、地域的な特定も加味して考えていかねばならない」と一定前向きな姿勢を示しました。
 ところが、県の対応はいまだに待ちの姿勢で、とりわけ、労災認定に関しての県知事の「因果関係は考えにくい」「現時点では新たな調査や対策が必要になるほど危険性が高いとは認識していない」という記者会見での発言は許されるものではありません。これに関しては3月26日、「ひょうご労働安全衛生センター」や「中皮腫・アスベスト疾患・患者と家族の会ひょうご支部」は、県知事に対し対策強化の申し入れを行ってきたところです(右写真)。
 この申し入れには、稲村和美県議、上野英一県議の他、あわはら富夫議員や小林るみ子議員をはじめ、新社会党の県下の自治体議員も同行しました。

兵庫県、疫学調査などを実施

 この申し入れを受け、県は「震災時住民はいくらか曝露していると推測できる。中皮腫への最初の変化が石綿胸水として表れるので、住民検診での石綿胸水の数の変化を見ていきたい」と、アスベスト被害を疫学調査することを明らかにしました。
 この問題は、今後かなりの長期間にわたり大きな深刻な問題に広がることが予想され、環境アスベスト問題とともに、対自治体・行政運動として取り組んでいく必要性があります。
  
【参考資料】「震災アスベスト被害ホットライン」の概要
(県知事へのひょうご労働安全衛生センター申し入れ文書より抜粋)

◆相談件数 136件
◆相談者の内訳
 ・労働者 83人(主に解体作業に従事した人、警備・ガードマン)
   *この中には震災と関係ないと思われる人の石綿関連疾患の相談も含まれる
 ・住 民 27人(被災地居住者)
 ・その他 26人(ボランティア、通勤のため被災地経由、「要望」)
    *「要望」の中には知事発言に対する批判や活動支援の申し込みなど
 ・発症例(3/9,10日受付分)
 9日−中皮腫4件(死亡3件、内2件は震災外と思われる)、肺ガン1件(死亡)
 10日−中皮腫2件(死亡1件)、肺ガン・ガン5件(死亡4件)、びまん性胸膜肥厚1件
◆特徴的な点
 ・NHKが全国ネットで放映、各新聞社も掲載したことで、多数の相談。関心の深さ示す
 ・相談は九州から東北まで全国から。解体作業やボランティアなど、震災の復旧・復興に全国的な支援があったことを確認
 ・被災地へ通勤したり、被災地経由で通勤した人からの相談も。どこへ相談したらよいのか、自治体が実施している健康相談など施策がまったく周知されていない
 ・アスベストに関わる中皮腫、肺ガンに限らず、胸膜プラークや「肺に陰」など震災に関連づけての相談も。国や自治体など行政は、大震災におけるアスベスト対策やその後の検証などの場をつくる必要あり。



医療専門家も「健康被害の実態把握必要」


 一方、「中皮腫と闘い、ともに生きる〜アスベストによる健康障害を考える〜」をテーマにした平成19年度科学技術振興調整費主催の市民公開講座が3月16日(大阪)、20日(神戸)と行われました。
 この中で、兵庫医科大の中野孝司教授(呼吸器内科)は震災時のアスベスト被害について、「どのくらいの量のアスベストが飛散したのか分かっておらず、リスクの計算はほぼ不可能。どの程度吸い込めば発症するのかや潜伏期間も人によって違う」とし、神戸新聞の取材に対して「行政は中皮腫より発症が早い『良性石綿胸水(胸膜炎)』(潜伏期間は13〜30年)の監視調査をし、まず健康被害の実態を調査する必要がある」と述べています(3月16日、神戸新聞)。
 新社会党議員団も神戸での公開講座に参加しましたが、中野教授は講演の中で、「解体関係の仕事をしていた人は確かに中皮腫が発症するリスクは高いと思う。一般住民の人も良性石綿胸水(胸膜炎)を見つけることが必要だ」と述べていました。