2017年11月28日号
■自民 年内に改憲案のまとめ 来年の通常国会へ提出・発議の構え崩さず
 自民党の憲法改正推進本部(細田博之本部長)は11月16日、総選挙で中断していた党内議論を再開した。自民党が総選挙公約に掲げた改憲4項目のうち、9条への自衛隊明記と緊急事態条項の創設は2巡目の議論は終わっているが、積み残しになっていた参院選の合区解消を16日開催の全体会合で議論。教育無償化は12月9日までの特別国会中に議論する。4項目の党内議論は2巡目を終える。
 萩生田党幹事長代行(推進本部長補佐)は、記者会見で改憲4項目について「年内に深堀し、来年の通常国会に向け準備を整えていこうというスケジュール感は役員で共有している」(時事)と述べており、年内改憲案―来年の通常国会提出、発議の構え(方針)は崩していない。
 党内議論を踏まえた改憲条文案の作成が焦点になってくる。党内で意見の隔たりが大きい項目もあり、難航する可能性もある。9条改憲をめぐっては、自衛隊の明記に対し、石破元幹事長は9条2項を削除し国防軍の創設を盛り込んだ党改憲草案を重視、意見集約のめどは立っていない。また、教育無償化に関しては全体会合で「憲法改正ではなく政策で実現できる」との反対意見が続出している。
 鍵を握る公明党は、後述のとおり、9条改憲には慎重意見が根強くある。
■公明・山口代表ら自民の改憲姿勢にクギ
 公明党の山口代表は11月12日放送のラジオ番組で、改憲に関して国民の3分の2を超える賛同が前提となるとの認識を示し、自民党の性急な改憲発議をけん制した。山口氏は改憲発議には衆参両院の3分の2以上の賛成が必要であることに触れ、「それ以上の国民の支持がある状況が望ましい。国民投票でぎりぎり(改憲が承認される)過半数となれば、大きな反対勢力が残る」と指摘した(毎日)。
 また、山口代表は記者会見で改憲をめぐる自民党との協議に否定的な見解を改めて明らかにした。山口氏は、総選挙後の自・公連立政権合意の内容は「衆議院・参議院の憲法審査会の審議促進」であると指摘し、「与党間で何か行うことは前提にしていない」(毎日)と強調した。
 加えて、北側副代表(党憲法調査会長)も11月9日の記者会見で、自民党が来年の通常国会に改憲案の提出をめざしていることについて、「公明党案を提示する予定はない」(毎日)と明言。改憲案の与党協議についても「与党で事前審査する法律案、予算案とは相当性格が異なる。憲法は事前に協議をする類いの話ではない」と否定的な姿勢を示した(同)。
■9条自衛隊明記―52%反対 安倍政権下の改憲―50%反対
 第4次安倍内閣発足直後に実施した共同通信社の全国世論調査によると、安倍9条改憲に反対は52・6%で、賛成38・3%を上回った。安倍政権下の改憲に反対は50・2%、賛成は39・4%だった。来年秋の総裁選で3選を果たして首相を続けてほしいは41・0%、続けてほしくないは51・2%だった。
(中)
2017年11月14日号
■安倍改憲へ加速 自公313議席 改憲勢力8割 野党共闘勢力前進38から69議席に
 憲法に基づく野党の臨時国会開会要求を3カ月もたなざらしにしたあげく、冒頭解散という「憲法蹂躙・憲法違反」の解散によって行われた10月総選挙で自民党は284議席(公示前と変化なし)を獲得し、公明党、希望の党、維新の会と合わせて改憲勢力が全議席の8割を超えた。
   一方、市民と野党共闘勢力は野党分断の策動を乗り越え、38議席から69議席に前進した。  メディアはこぞって自民「圧勝」「大勝」と報じている。「安倍政治が信任された」「安倍改憲の容認」への印象操作ではないか。
 民意を最もよく反映する比例区をみると自民党の絶対得票率は17・49%(6人に1人が投票)にすぎず、圧倒的多数の国民が安倍政権を支持したわけではないことは明らかであろう。
 しかも、小選挙区制のもとで自民党は48%の得票率で、小選挙区の全議席(289)の75%の議席(218)を獲得している。各党の支持率を正確に反映する比例区の自民党の得票率は33%にとどまり、3分の1の支持を得たにすぎない。あらためて言うこともないが、多くの死票を出し民意をゆがめる小選挙区制の害悪である。
   さらに、国民の意思が正しく反映されていないことは新聞の世論調査(民意)でも明らかになっている。朝日新聞が選挙期間中に実施した世論調査によると、「安倍さんに首相を続けて欲しい」34%、「そうは思わない」51%。自民党だけ強い勢力を持つ状況は「よくない」が73%、「よい」は15%にとどまり、「自民党中心の政権が続くのがよい」は37%、「自民党以外の政党による政権に変わるのがよい」は36%で拮抗。
 選挙の結果と世論調査に表れた民意に大きなズレがある。多くの国民が安倍首相を支持し、政権を白紙委任したわけではない。
 毎日新聞は、総選挙の全候補者を対象に実施したアンケートをもとに、当選者分を再集計している。それによると、安倍9条改憲案に賛成する当選者は全体の54%と過半数を超えているが、発議に必要な3分の2には届いていない。自民党以外の各党では賛成が5割以下にとどまっている。9条改憲に反対は全体の24%。緊急事態条項は賛成が全体の68%で3分の2を超えた。
 改憲自体には82%が賛成、反対は13%だった。各党別の安倍9条改憲に対する賛否は次のとおり。
・自民―賛成75%、12年改憲草案の「国防軍の明記」14%
・公明―反対36%、賛成21%、無回答32%
・希望―賛成47%、反対39%
・維新―無回答73%
・立憲―反対98%
・共産、社民―全員反対
■派閥身内を自民党憲法改正推進本部長に 首相主導の改憲論議ねらう
 安倍首相は総選挙直後の10月23日の記者会見で、「スケジュールありきではない」といいながら、「具体的な条文案について自民党内で検討を深め、党の案を憲法審査会に提案したい」と強調。来年の通常国会での改憲発議、秋の国民投票に照準を合わせている。
自民党憲法改正推進本部長を務めた保岡興治氏が総選挙に立候補せず引退したため、安倍首相は自身の出身派閥、細田派会長の細田博之氏を本部長に起用し、「身内」に委ねることで党内論議を首相主導で加速する考え(時事)。
 改憲の新たな局面に際し、「9条改憲NO」の世論と運動を広げていく取り組みがいっそう緊急性を増している。
 兵庫9区の闘い(きくち選挙)の財産―市民と野党共闘を前進させ、3000万人署名運動を成功させることだ。
(中)
2017年10月09日号
安倍政権の“壊憲”の5年 憲法破壊の大罪を検証する
2/3阻止 安倍のやりたい放題にさせていいのか―憲法破壊5年の大罪を糾弾する
 疑惑隠しの解散・総選挙が始まった。
最大の争点は、安倍暴走政治をこのまま続けさせるのかどうか、である。
2012年末の総選挙勝利で返り咲いた安倍首相は、それ以来5年近く“改憲のキバ”をむきだし、立憲主義の破壊攻撃を繰り返し、とうとう9条改憲に手をつけるにいたった。総選挙は9条の命運がかかった歴史的な政治決戦である。
 安倍暴走政治―とりわけ憲法破壊の大罪を整理し、改めて検証したい。
《96条改憲の策動》
 安倍首相は、2012年末に首相に返り咲いた直後から、改憲のハードルを下げるために「96条改憲」を目論んだ。しかし、「裏口入学」「姑息な手段」「立憲主義の破壊」などと批判する国民世論の高まりによって挫折に追い込まれた。
《戦争の司令部―国家安全保障会議設置を強行》
 秘密保護法と一体のものとして審議されていた「国家安全保障会議」(日本版NSC)設置法を、数の力で強行成立させた(13年11月27日)。
 NSCは、外交・軍事の司令塔として、平時にも有事にも対処する戦争の司令部の役割を担う。NSC設置法成立後、軍事大国をめざして「国家安全保障戦略」「防衛計画の大綱」および「中期防衛力整備計画」を閣議決定した(13年12月17日)。
 「安保戦略」は「専守防衛」など歴代政権の防衛政策の基本方針(1957年閣議決定)に代わるものであり、戦後日本の安保戦略の大転換となる。
《国民の目・耳・口をふさぐ秘密保護法強行制定》
 安倍政権は、国民の知る権利や言論の自由など基本的人権を侵害する「特定秘密保護法」を、暴挙に暴挙を重ね強行成立させた(13年12月6日)。
《究極の9条解釈改憲―集団的自衛権行使容認を閣議決定》
 安倍・自公政権は、立憲主義と恒久平和主義を踏みにじり、集団的自衛権の行使容認を閣議決定した(14年7月1日)。
 集団的自衛権は、憲法上行使できない―これが歴代政権の一貫した憲法解釈である。
 国会審議もほとんどないまま、67年余にわたって積み重ねられてきた歴代政府の憲法解釈を、一内閣で変えるという暴挙は、断じて許されない。
《日米ガイドラインの見直し―地球上いたるところで米軍支援》
 「日米軍事協力の指針」(ガイドライン)の見直しは、「戦争法制」の整備と一体のものとして作業が進められていたが、18年ぶりに改定した(15年4月15日)。
 新ガイドラインは、地理的限定を取り払い、日米軍事協力を地球規模に広げた。また、「日本以外の国に対する武力攻撃への対処行動」の一つとして集団的自衛権の行使が盛り込まれたことは重大である。
《「戦争する国」づくりへ一目散―戦争法》
 安倍・自公政権は憲法に真っ向から背く戦争法(安保法制)を質問権も、採決権も奪い、暴力的なやり方で委員会採決を強行し、9月19日未明の参院本会議で強行成立させた(15年9月19日)。
 戦争法の重大な問題は、自衛隊の武力行使を認め、武力で他国を防衛する集団的自衛権の行使を可能にしていることである。 また戦争法と新ガイドラインによって、地球の裏側であっても米軍支援が可能。米軍の戦争に、いつでも、どこでも、どんな戦争でも、自衛隊が参戦する違憲の法制である。
《「テロ対策」の看板は偽り―現代版治安維持法》
 安倍・自公政権は、共謀罪法を「中間報告」という異常な手段で参院本会議で強行成立させた(17年6月15日)。
 これで、共謀罪法と秘密保護法、戦争法が一体になって「戦争する国」づくりに拍車がかかる。
 「過去の共謀罪とは全く別物」―と詭弁を弄し、東京五輪のためにテロ対策は必要だとして安倍内閣は、3度廃案になっている「共謀罪」法案を国会に提出した。
 日本はテロに対して無防備ではない。テロ防止に関する13もの国際条約を締結し、同時に国内法も整備している。  「共謀罪」法は国民の思想や内心を取り締まる違憲立法だ。現代版治安維持法と呼ばれる。
《改憲の本丸―9条改憲に挑戦する安倍》
 憲法施行70年の記念日にあたる5月3日、安倍首相が、ついにその本性をあらわにした。改憲団体の「民間憲法臨調」(「日本会議」系)が開催した集会へのビデオメッセージで、「2020年を、新しい憲法が施行される年にしたい」と表明。「自衛隊の存在を、9条1項、2項を残しつつ明文で書き込む」と明言した(17年5月3日)。
自民党は総選挙公約に9条への自衛隊明記を盛り込んでいる。国民が「専守防衛」「災害出動」の自衛隊を容認していることを利用し、「集団的自衛権を行使する自衛隊」を書き込むことによって、憲法上も集団的自衛権を追認し、戦争する国に転換しようという狙いであり、きわめて危険である。
(中)
2017年9月26日号
■改憲日程ありき 自民党、来年発議・20年施行へまっしぐら」
 安倍首相は、都議選惨敗を受け「スケジュールありきではない」と発言したが、これを境に安倍首相が改憲論議の前面に立つことはなくなり、主導権は自民党に移っている。
 改憲論議を主導する高村副総裁は9月7日、記者団に対し「臨時国会中には、国会の憲法審査会で討議するのに足るような、たたき台となる案を出せればよい。できれば条文の形で出すのがベターだ」(NHK)と述べ、また、改憲原案の取りまとめに向け、各党と協議したいとの意向を示した。
 さらに高村副総裁は、来年12月の衆議院議員の任期満了を踏まえ、「今の国会の勢力図の中のほうが、発議はしやすい」(同)と説明した。衆院解散は発議後が望ましいとの考えも示した。
 高村副総裁は、秋の臨時国会への自民党案提出と来年の通常国会での発議という目標をあくまで堅持する決意を重ねて強調したもの。
党内には、安倍首相が提示した9条改憲案(1項と2項を残し自衛隊の明文化)に異論もある。
 石破元幹事長は9月5日、名古屋市で講演し、「戦力の不保持などを規定した9条2項は自衛隊の存在を否定し自衛権をも否定する考え方で、9条2項を変えなければいけないのは当たり前の話だ。改正したうえで、自衛隊の存在を明記すべきだ」(NHK)と主張。2項改正の具体案として「憲法に『日本国の独立、ならびに国際社会の平和維持に寄与するため、陸海空3自衛隊を保持する』と書けば、誰が読んでもわかる」(同)と強調した。石破元幹事長は、9条2項を削除し、「国防軍」の保持を明記した12年の党改憲草案に沿うよう主張してきたが、事実上取り下げたことになる。
 岸田政調会長は5日、報道各社のインタビューに応じ、「慎重な議論で安全保障法制(戦争法)という一つの結論を出した。安保法制が現実の中でどう機能していくのかを今確認しているので、9条自体を改正することは考えない」(時事)と明言した。
■自民改憲推進本部が議論再開 来月にも9条改憲案
 自民党の改憲推進本部は9月12日、全体会合を開き、8月の内閣改造などで中断していた改憲議論を再開した。安倍首相が提案している9条改憲案(1項、2項を残し自衛隊の存在を明記)をテーマに議論した。
 会合では、首相案に沿った条文案を次回の会合に提示する方針を確認した。9条に関する次回の会合は、衆院補選後の10月下旬になる見通し。
また会合では、「戦力不保持と交戦権の否認を定めた2項の削除を求める意見が続出。執行部は首相案でまとめることができず、2項を削る2012年の党改憲草案と並列で議論を行うこととなった」(朝日)。
 9条の議論は6月に続き2回目。次回の議論では、首相案に沿った条文案と国防軍創設を柱とする党改憲草案と比較して議論する。
(中)
2017年9月12日号
■自民党改憲推進本部 新設の事務総長に首相側近/高村副総裁「改憲原案、来年提出」
 改憲に向かって突進し続けていた安倍首相は内閣改造後、「(改憲)スケジュールありきではない。党と国会で進めていく」と、党内議論に委ねる姿勢を示した。
 安倍発言を受け自民党の憲法改正推進本部では先月開いた幹部会合で、新設する事務総長に、根本匠氏を充てることを決めた。 また、前事務局長の上川陽子氏が法相に就任したため、後任者として岡田直樹氏(党幹事長代理)を充てる人事を決めた。根本・岡田両氏は首相側近といわれる。改憲原案づくりの加速と首相の意向を反映させる体制になった。
 同推進本部の顧問でもある高村副総裁は時事通信のインタビューに応じ、秋の臨時国会に自民改憲案を提出する方針について、「できれば、そうしたい」「支持率が低いからといって最初からスケジュールを放棄するのもよくない」と述べ、方針は堅持すべきだとの考えを示した。
 さらに高村氏は8月29日の講演(麻生派の研修会)で、改憲日程にさらに踏み込む発言をした。高村氏はまず、秋の臨時国会に提出する自民党の改憲案は「改憲原案」として提出するものではなく、あくまでも「たたき台」だと強調。その上で高村氏は、「いくつかの党と組んで出すかもしれないが、憲法改正原案を来年に出したい」と述べ、来年の通常国会で改憲原案を提出して発議も目指す考えを示した(毎日)。講演の内容は、首相が5月に提起していた「『2020年の新憲法施行』を念頭に党内論議を進める考えを示した形だ」(同)。
 安倍首相は「スケジュールありきではない」としたが、結局のところ、改憲の主導権を首相から党に移したに過ぎない。改憲日程も、改憲項目も、5月3日に首相が提案したとおりに進んでいる。
 同推進本部は、@自衛隊明文化の9条改憲、A緊急事態条項の新設、B高等教育の無償化、C参院選挙区選挙の合区解消―の4論点について2回目の論議に入り、改憲案づくりを本格化させる。延期していた全体会合を12日に予定している。
■日米2プラス2 「戦争する国」づくりへ同盟強化を宣言
 日米の外務・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2+2)が開かれた(2年4か月ぶり)。
 「2+2」の共同発表文書は、北朝鮮の脅威を抑止するため、日米同盟の能力強化を確認。  また共同文書は、切れ目のない軍事協力を謳う15年策定の新ガイドライン(日米防衛協力指針)の実施の加速と安保法制(戦争法)に基づく日米の軍事協力の強化や日本の軍事力強化を打ち出し、日米軍事一体化の推進を明確にした。そのために「同盟をさらに強化する具体的な方策および行動を立案する」ことも謳った。
 さらに共同文書は、辺野古の新基地建設について「唯一の解決策」であることを再確認し、「可能な限り早期の完了」を強調した。
(中)
2017年8月29日号
■安倍改憲日程 世論に追い込まれ「軌道修正」
 安倍首相は、都議選で惨敗し、支持率が急落するなど追い込まれた中で内閣改造を行った(8月3日)。改造後の会見で、首相は改憲の進め方について「スケジュールありきではない」「改憲は国会が発議するので国会で議論していく。党主導で進めて欲しい」(東京)と強調した。
 強引に進めてきた安倍改憲スケジュールが大きく崩れることになる。
 一方、高村副総裁は会見で、臨時国会への改憲原案提出について「一応目標としては出せればいいが、党内や各党の考え、国民全体の雰囲気をみながらやる。目標は絶対ではない」(同)と強調。後日、時事通信のインタービューに応じ「臨時国会提出の方針は堅持すべきだ」とも述べている。
 自民党は29日、憲法改正推進本部を開き党改憲案の議論を再開する。
安倍首相は、国民の厳しい批判の前に改憲日程を「軌道修正」したにすぎない。自らの悲願である改憲をあきらめたわけではあるまい。それどころか、支持率の回復など機をみて"改憲の牙"をむきだすであろう。
■隠ぺいとわい曲だらけの17年度防衛白書
 「1年間の防衛省・自衛隊をめぐるできごとや日本の防衛政策の方向性を国内外に示す。それが防衛白書の目的である。ところが……(8月8日公表の) 防衛白書からは、重大な事案が抜け落ちている」(朝日新聞社説)。
 昨年7月、南スーダンの首都ジュバで発生した武力紛争について、陸上自衛隊のPKO派遣部隊の「日報」は「戦闘が生起」したと明記し、「戦闘」の生々しい報告を記していた。しかし、白書では、「発砲事案」の発生と記述し、「戦闘」の発生を否定。日報の存在にも一切触れていない。その後の情報公開請求に対し、陸自が日報を廃棄したとして非開示にした対応にも全く言及しなかった。
 また、日報の隠ぺいに関する特別防衛監察が3月から開始されたが、これについても白書に1行も触れられていない。防衛省・自衛隊ぐるみで日報を隠ぺいしたことへの反省はない。
 さらに、戦争法に基づく新任務―自衛隊が平時から米国の艦隊などを守る「米艦防護」。初めての実施(5月)についても安倍内閣は公表せず、白書でも一切触れていない。
 昨年7月にジュバで発生した大規模な戦闘を「衝突」と言い換え、安倍内閣は、「紛争当事者間の停戦合意」などPKO参加5原則は維持されていると強弁した。
 また、昨年12月に沖縄県名護市安部の沿岸部で発生したオスプレイ墜落事故について、白書は機体が大破しているにもかかわらず「不時着水」したと記述した。
 事実の隠ぺいやわい曲が、これほどまでに際立つ防衛白書があったであろうか。
 「防衛省・自衛隊に都合の悪いことは書き込まず、忘れ去られるのを待つというのでは、いつまでたっても隠蔽体質は改まるまい。猛省を促したい」(東京新聞社説)。
(中)
2017年8月15日号
■改憲案 自民推進本部、今秋の国会提出を堅持
 森友・加計学園や陸自日報隠蔽の問題などで政治への信頼が大きく損なわれ、自民党が都議選に惨敗し、内閣支持率が急落している中にあっても、安倍首相は「従来の改憲スケジュールに変更はない」と繰り返し強調している。
 これを受けて、自民党の憲法改正推進本部も7月26日、全所属議員を対象にした全体会合で、安倍首相が目指す今秋の臨時国会への改憲案提出の日程を堅持する方針を再確認した。内閣支持率の急落で党内に広がった慎重論を抑え、改憲論議を急ぐ狙いがある。
 全体会合では、参院選の「合区」解消をテーマに議論。1票の格差にかかわらず、「都道府県から少なくとも1人が選出される」との規定を憲法に盛り込むべきだ、との意見が大勢を占めた。
 1日の全体会合では教育無償化を議論。憲法に盛り込むべきかどうかをめぐり「憲法改正ではなく政策で実現できる」「ばく大な財源がいる」など反対意見が続出した。
 これで、同党が挙げていた9条改憲を含む4検討項目について一通りの議論を終えた。今後、具体的な条文案づくりを急ぐ方針である。が、臨時国会への提出は、政権失速でなお不透明である。
 与党内には依然として慎重な意見もある。
〈与党幹部の発言〉
 二階・自民幹事長 「憲法改正は政府の方針がどうあれ、国民がどう考えるかがポイント。慎重の上にも慎重でなくてはならない」(朝日)
 山口・公明代表 「願望、希望を述べてもその通りにいくとはかぎらない」「世論調査も(改正に)極めて慎重だ。そこをよく見ながら……議論してもらいたい」(産経)
■自衛隊を合憲と定めた憲法が必要 日本維新の会・松井代表
 日本維新の会の松井代表は、時事通信のインタビューに応じ、安倍改憲案について見解を明らかにした。
 まず、維新の改憲スタンスとして教育無償化、地方分権、憲法裁判所の設置をあげ、この3点は党内で意思決定していると述べた。
 自衛隊を9条に明文化する安倍改憲提案については、「いま自衛隊をなくせるような組織ではない」との認識を示し、「わが国に必要な組織だから、それを合憲としてきちっと定められる憲法が必要だ」と強調した。
■社民党 安倍改憲に対する見解発表
 見解では、安倍9条改憲について、「これは、国民の多くが『専守防衛』に徹し、国内外の災害救助や非軍事の平和維持活動を行う自衛隊を容認していることを利用し、違憲の戦争法に基づく『集団的自衛権を行使する自衛隊』を書き込み、再び戦争ができる国に転換しようという狙いであり、きわめて危険である」と厳しく批判。
 「戦力不保持」と「交戦権否認」の2項を残せば、自衛隊違憲論の根拠が残る。3項で自衛隊を明記すれば、自衛権拡大の歯止めとなってきた2項を死文化することにつながる、と強調している。
(中)
2017年7月25日号
■安倍首相 改憲スケジュール変えず 「1強」の暴走にストップを
 安倍首相は、自民党が都議選で惨敗した翌日の毎日新聞のインタビューで、秋の臨時国会に自民党の改憲案を提出する方針は「変わっていない」と明言。自衛隊を明記する「9条加憲」を進める決意を改めて示した。
 自民党内で首相主導のスケジュールを疑問視する声も強まっている中、公明党の山口代表は記者会見で「憲法(改正)は政権が取り組む課題ではない」「憲法改正は国会が発議する。与党の枠組みが、ただちに憲法の議論につながるものではない」(朝日)と語った。
 首相は、「これまで『1強』の下で封じ込められてきた与党内の率直な意見に、きちんと耳を傾けるべきだ」「多くの国民が納得できる憲法論議を取り戻すには、まず首相が自分本位の改憲構想を白紙に戻す必要がある」(朝日新聞社説)。
 改憲阻止の運動の輪を本気で広げ、世論の力で「安倍1強改憲」にストップをかけよう。
■世論調査 改憲案の臨時国会提出「評価しない」が「評価する」上回る
 NHKと朝日新聞の世論調査によれば、安倍首相が意欲を示している秋の臨時国会への改憲案提出について、いずれも「評価しない」が「評価する」を上回った。
・NHK―評価しない51%、評価する36% ・朝日―評価しない49%、評価する35%、 その他16%  NHKは安倍9条改憲案(1項と2項を残し、自衛隊の存在を明文化する)への賛否を聞いているが、「賛成」33%、「反対」25%、「どちらとも言えない」32%だった。
 一方、報道各社の世論調査で、内閣支持率は軒並み不支持が支持を逆転した。
■警鐘鳴らす地方紙の社説 安倍改憲
 安倍首相は先月24日、神戸市内で講演し、「自民党の改憲案を秋に想定される臨時国会に提出する」と明言したが、これに多くの地方紙が警鐘を鳴らしている。その一部を紹介しておこう。
「森友・加計学園の問題などで政治への信頼は大きく損なわれた。このまま改憲に突き進むようでは国民の理解は得られない。首相は立ち止まって批判の声と向き合うべきだ」と主張するのは「信濃毎日新聞」。「臨時国会への改憲案提出を目指すのは議論の土俵の破壊につながる。認めるわけにいかない」と断じる。
 河北新報は、「そもそも政府・自民党は自衛隊合憲の解釈に立脚しているのだから、憲法に書き込む必要はないはずだ。緊急性も乏しい」「1項、2項の制約を事実上打ち消し、自衛隊の役割を拡大させようとしているという懸念は依然として拭えない」と安倍改憲の狙いどころを突く。
「『1強』と言われ、高支持率を誇った安倍首相にも陰りが見える」と分析するのは琉球新報。「憲法を議論するには拙速である。内容の審議が十分できるはずはない」と批判。「冷静な議論を深めるためにも、期限を切るべきではない」と強調する。
(中)
2017年7月11日号
■安倍首相 改憲スケジュール前倒し 18年通常国会発議めざす
 共謀罪法の強行成立、加計学園疑惑の真相解明を残したまま閉会した通常国会直後のメディア各社の世論調査で内閣支持率が急落した。
 安倍首相は先月24日、神戸市内で講演し、憲法改正について「臨時国会が終わる前に、衆参両院の憲法審査会に自民党案を提出したい」と述べ、秋に想定される臨時国会の会期中に、自民党の改憲案を提出する方針を明らかにした。党内論議の加速を狙い、2018年通常国会における発議に向けた決意の表明である。
 首相は自衛隊の意義と役割を9条に書き込み、20年の施行を目指す意向を示している。首相が同党案の国会提出時期を明言したのは初めて。
首相が憲法記念日の5月3日に「20年改憲」を打ち出して以降、改憲スケジュールがスピードアップしている。安倍首相は、当初「20年改憲」を目指し、改憲原案を年内にまとめる意向を示していたが、前述の神戸発言は、さらにアクセルを踏み込んだものだ。
 自民党の保岡興治憲法改正推進本部長は、読売新聞のインタビューに応じ、@発議について来年の通常国会会期末となる6月ごろを目指す、A来年中に国民投票を行うことを選択肢として想定している、B改憲項目について、他党との意見も踏まえて3〜5項目に絞り込む―考えを明らかにした。また、同党の下村幹事長代行(推進本部・本部長補佐)も「遅くとも11月上旬くらいまでに改憲案をまとめる必要がある」と表明。
 一方、自民党内からも安倍改憲案について「12年改憲草案を土台とすべきだ」「急ぎすぎだ」などといった異論、反発の声が出ている。推進本部の船田本部長代行は、自身のホームページで拙速に議論を進めるべきではないとして「改憲勢力が3分の2を占めているときに、早く発議してしまおうという考えは国民投票でしっぺ返しを食らう可能性が大きい」と強調。議論が首相の思惑通りに進むかは不透明である。
 国民の中に改憲の機運が盛り上がっているわけでもなく、改憲を急がなければならない状況であるわけでもないのに、なぜ、安倍首相と自民党は改憲スケジュールを前倒しするのか―。
 20年の施行を成し遂げるために来年の改憲発議―国民投票を目指すからである。しかし、来年の12月には衆院議員の任期が満了する。総選挙で、支持率の急落や野党共闘の前進で、3分の2議席を維持できる保証はない。現在の3分の2議席を確保したまま、確実に発議するには総選挙前までに発議するしかない状況にある。また、自民党の改憲原案の危険性を国民が見抜かないうちに、一気に発議、国民投票に持ち込もうという思惑もあろう。
 改憲を悲願とする政治家・安倍晋三氏。首相任期中に(延長して21年9月まで可能に)、なんとしても9条改憲を成し遂げ、歴史に名を刻みたい思いも強かろう。
(中)
2017年6月27日号
■前代未聞の暴挙
 安倍・自公政権は6月15日午前7時46分、共謀罪法を「中間報告」という異常な手段で参院本会議で強行成立させた。これで、共謀罪法と秘密保護法、戦争法が一体になって「戦争する国」づくりに拍車がかかる。安倍首相は総仕上げ(9条改憲)に向かってますます突き進むだろう。
■自民党 改憲案づくり 急ピッチ 9条など4項目 18年発議めざす
 自民党の憲法改正推進本部(保岡興治本部長)は6月6日、改憲論議に首相の意向を反映させるメンバー補充後初めての全体会合を開き、年内をめどに改憲案を取りまとめる方針を確認し、2018年の通常国会における発議を目指す方針を固めた。
 同本部は、@9条改憲、A教育無償化、B緊急事態条項の新設、C参院選の合区解消を中心に議論を進める。
 同本部の6月12日の会合では集団的自衛権について議論したが、保岡本部長は「9条の政府解釈を1ミリも動かさないで自衛隊を明確に位置づけるという方向性で憲法改正の具体論を進めていく」(朝日)と述べた。この発言に対して、石破茂・元防衛相は「集団的自衛権を行使しないという考えは、憲法上の問題ではなく政策的判断として選択してきた」と反論。現行憲法でも集団的自衛権は全面的に認められると持論を主張。
 保岡本部長の発言は公明党に対する配慮を示したもの。公明党は、集団的自衛権の行使を限定的に認めた戦争法の政府解釈が基本であるとの立場をとっている。
 安倍9条改憲案は、「9条1項、2項を残しつつ、自衛隊を明文で書き込む」としているが、条文の書きようが問題になる。
 例えば、前号の小欄でも取り上げた伊藤哲夫・日本政策センター代表(日本会議常任理事・政策委員・安倍ブレーン)は、「9条に3項を加え、『但し前項(2項)の規定は確立された国際法に基づく自衛のための実力の保持を否定するものではない』といった規定を入れることである」(同センター機関誌『明日への選択』2016年9月号)」と提案している。伊藤提案の9条3項案の書きようは、集団的自衛権行使容認を憲法上明文化することにほかならない。仮にこのような改憲案が出てくれば、公明党との合意も容易ではなかろう。
■防衛省 軍事研究委託海外に拡大へ
 毎日新聞によれば、防衛省は大学などに研究資金を提供する「安全保障技術研究推進制度」を国際的な制度へ拡張する検討を行っている。「現在は国内に限っている委託先を海外の大学や企業に広げる」というもの。
 同制度は2015年に開始され、予算は15年度3億円、16年度6億円、本年度は110億円に急増している。
 防衛装備庁は、「米軍が海外の研究者に研究資金を出している制度などを参考にするほか、米国など同盟国との共同の資金制度にすることも視野に入れる」という。
 集団的自衛権を容認し、日米軍事一体化が進む流れの中で、極めて危険な動きである。
(中)
2017年6月13日号
■安倍改憲案づくりにまっしぐら 9条空文化が狙い 年内策定めざす
安倍首相が5月3日に、9条改憲案を唐突に提案したが(9条1項と2項を残し、自衛隊を明文で書き込む)、自民党の憲法改正推進本部は5月24日、党本部で全体会合を開き、新たな自民党案の年内策定を目指して役員体制を見直し、議論を開始した。役員体制には改憲論議に首相の意向を反映させるメンバーが補充された。
 自民党の憲法改正草案(2012年)は、9条2項を全文削除し、「前項(1項)の規定は、自衛権の発動を妨げるものではない」と書き換え、9条の2を新設して「国防軍」の保持を明記している。
 それにしても自民党は、憲法改正草案を無視されても、総裁提案にただ従うことしかできない党になったようである。誰も止めに入ることができないような党になったのであろう。これでは安倍独裁の党ではないか。
 安倍9条改憲案の出どころが改憲右翼団体である「日本会議」であることが明らかになってきた。
 日本会議の有力メンバー(政策委員)で、安倍首相のブレーンとされる伊藤哲夫・日本政策研究センター代表は、「9条に第3項を加え、『但し前項の規定は確立された国際法に基づく自衛のための実力の保持を否定するものではない』」とする加憲案を提起した(同センター機関誌、昨年9月号)。さらに、同誌11月号は「自衛隊を明記した第3項を加えて2項を空文化させるべきである」と、あけすけに断言している。
 安倍9条改憲案は、自衛隊の存在を書き込むことにとどまらないことは明白であろう。安倍・自公政権は、解釈改憲で集団的自衛権を容認する閣議決定を行っている(2014年)。9条に書き込まれる自衛隊は、もはや「集団的自衛権の行使は許されない」自衛隊ではない。戦争法で限定的とされている自衛隊は、憲法条文上も集団的自衛権の行使が追認され、全面的な行使への道を開く。9条の歯止めがなくなり、海外での武力行使が制約されることはない。自衛隊のまま「普通の軍隊」になる。
 安倍首相は、9条改憲を成し遂げて歴史に名を刻むこと以外は眼中にないのではなかろうか。その暴走ぶりは常軌を逸している。
■財界も改憲へ動く
 財界も安倍改憲の機運を盛り上げようと改憲策動に必死である。
 経済同友会の小林喜光代表幹事は「今の憲法には矛盾する部分もある。安全保障や憲法について議論を深める必要がある」(毎日)と表明。8年ぶりに憲法に関する委員会を設け議論する。政策提言の作成も検討するという。
 また、経団連の榊原定征会長は「安倍自民党総裁が憲法改正に向けた明確な方向性を打ち出した。経済界としても重要かつ重たい発言であると受け止めている」(経団連HP)と述べ、総合政策特別委員会で議論を始め「年内を目途に経団連としての見解をまとめ、何らかの意見を示していく」ことを明らかにした。経団連が提言をまとめるのは12年ぶり。
(中)
2017年5月23日号
■「機は熟した」「歴史的な一歩を」 安倍首相 改憲へ異常な執念
 改憲派議員らでつくる新憲法制定議員同盟(会長・中曽根康弘元首相)は5月1日、「新しい憲法を制定する推進大会」を開き、改憲気運の盛り上げに気勢をあげた。 大会に現職の首相として初めて出席した安倍首相は、「いよいよ機は熟してきた。今求められているのは具体的な提案であり、理想の憲法の姿を国民に示す時だ」「憲法改正という大きな目標に向けて、この節目の年(施行70年)に必ずや歴史的一歩を踏み出す」(産経)とあいさつ。改憲への異常な執念をあらわにした。
 果たして「機は熟しているのか」「国民は改憲を望んでいるのか」、報道各社の世論調査を後述する。
■憲法施行から70年 9条が果たしてきた役割 国民は広く認知
 憲法施行70年を前に報道各社が世論調査を行った。
〈NHKの調査〉
 9条が日本の平和と安全に役立っているか
・非常に役に立っている29%
・ある程度役に立っている53%
 これまでの調査の中で、「役に立っている」と答えた人が8割(82%)を超えたのは初めてという。
 9条改憲については、「必要」が25%、「必要ない」は57%だった。
〈共同通信の調査〉
 戦後、海外で武力行使をしなかった理由は
・「憲法9条があったからだ」75%
・9条の存在とは関係ない23%
 同記事では「戦後、9条が果たしてきた役割は国民に浸透している現状が明確になった」としている。
 9条改憲については賛否が拮抗しており、安倍首相の下での改憲に51%が反対し、賛成は45%だった。
〈読売新聞の調査〉
 憲法が、日本の社会で果たしてきた役割を「評価している」人は、「大いに」と「多少は」を合わせ89%に達した。改憲については、賛否とも49%で拮抗した。
〈朝日新聞の調査〉
 憲法があったことが、日本にとってよかったか。
・よかった89%
・よくなかった3%
 9条改憲に賛成は29%、反対は63%だった。
〈毎日新聞の調査〉
 日本の平和維持や生活向上に憲法が果たした役割をどう評価するか。
・かなり役立った29%
・ある程度役立った47%
・あまり役立っていない6%
・まったく役立っていない1%
 9条改憲に賛成は30%、反対は46%だった。
■戦争法新任務―初の米艦防護 米の戦争に参戦
 安全保障関連法(戦争法)に基づく新任務で、自衛隊が平時から米国の艦艇などを守る「武器等防護」の実施を、稲田防衛相が自衛隊に初めて命令した(東京)。
  “ヘリ空母”と呼ばれる「いずも」が5月1日に房総半島の沖合で米海軍の補給艦と合流し太平洋側を並走。その後、護衛艦「さざなみ」も加わり、2隻で補給艦を防護し、3日午後、任務を終了した。補給艦は、朝鮮半島の緊張が高まる中、日本海に展開中のカール・ビンソンなどの米艦船の補給にあたる。
 海上自衛隊は、米艦防護の任務中、米艦に対する偶発的な攻撃や妨害行為があれば、武器を使って反撃でき集団的自衛権行使の3要件を満たさなくても武器使用が認められているため「集団的自衛権の抜け道」になっており、米軍の戦争に参戦する危険が高まる。
 南スーダンPKOに派兵された陸自部隊に付与された新任務「駆け付け警護」(実施されず)に続くもので、戦争法に基づく自衛隊の活動が本格化し、日米軍事一体化がいっそう加速する。
(中)
2017年4月25日号
■「テロ対策」の看板は偽り 世論と運動の力で廃案に追いこもう
 東京五輪やパラリンピックをだしにして違憲の「共謀罪」法案の制定を強行してはならない。「テロ対策」は偽りである。政府が与党に当初示した法案には「テロ」の文言は全くなかった。法案の本質がテロ対策でない証左である。国会に提出されている法案には、第1条の「目的」にも、第2条の「定義」にも、「テロ」の文言は入っていない。「テロ」のための条文は1ヵ条もない。あるのは適用対象の条項に「テロリズム集団その他」が、与党の強い批判を浴びて後から付け加えられているだけである。
 国民を欺く印象操作を許してはならない。「共謀罪」法案は、現代版治安維持法と呼ばれるように、国民の思想や内心を取り締まる弾圧法である。廃案にするほかない。  
■特定秘密 国民に知らされないまま廃棄可能
特定秘密保護法に基づく「特定秘密」が記された公文書が、秘密指定期間中であっても廃棄される―。現在の法体系の下で、こんな事態が起きる可能性があることが、衆院の情報監視審査会が先月末に公表した年次報告書で分かった(東京新聞)。
 重要情報を非開示のまま廃棄されると、政府の政策判断に過ちがなかったか、国民が検証する機会は永遠に奪われることになる。重大な問題だ。
 なぜこうしたことが起こるのか?同紙によれば公文書管理法に「抜け穴」があるという。特定秘密文書の保存・廃棄については、基本的に同法ではなく公文書管理法という別の法律で運用される。
 したがって、各省庁は同法に基づき、保存期間を1年未満〜30年を基準に設定し、期間が終われば廃棄や延長などを決める仕組みになっている。秘密保護法の下では、秘密指定が通算30年を超えた文書は、こうした公文書管理法上の保存期間終了後も、保存が義務づけられている。
 問題になるのは30年以下の文書。例えば秘密指定が30年なのに、保存期間が20年だと、20年後から特定秘密を廃棄できることになる。
「抜け穴」について4月11日の衆院総務委員会で問題になり、野党は制度の改善を求めたが、政府は「適切な運用を行っており、恣意的な廃棄はない」として拒否した。
 さて、安倍内閣は、2012年12月の返り咲き以降、憲法壊しの立法や政策を矢継ぎ早に打ち出し、「戦争する国」づくりへと暴走している。
 13年の国家安全保障会議設置法と秘密保護法の強行。14年には武器輸出3原則の放棄と集団的自衛権行使容認の閣議決定。15年の日米ガイドラインの再改定と戦争法の強行。16年は戦争法にもとづく初の派兵(南スーダンPKO)。
 そして今、現代版治安維持法である「共謀罪」法案阻止の攻防が全国津々浦々で展開されている。
 戦争は、戦前の軍機保護法や治安維持法など「秘密保護」と国民弾圧の法律で準備されてきた歴史がある。安倍自公政権の戦前回帰への暴走を止めなければならない。
(中)
2017年4月11日号
■改憲項目絞り込みへ 衆院憲法審査会が論議
 衆院憲法審査会(以下、憲法審)は3月16日、今国会初めての会議を開き、「参政権の保障」(選挙制度や緊急事態における国会議員の任期など)をテーマに各党代表が意見表明、討議を行った。
 緊急事態に対する各党代表の意見表明は次のとおり(憲法審ニュース)。
 自民党 総理大臣等への権限集中や人権制限などの要否や、法整備で足りるか、憲法改正まで必要になるかという丁寧な仕分け作業が必要。
 民進党 緊急事態における任期延長は検討に値する。憲法上の根拠が必要。検討すべき事項が複雑かつ広範囲。単純に結論を出すことはできない。
 公明党 憲法に緊急事態条項を設けて、内閣総理大臣への権限集中や国民の権利制限の根拠を置くべきとの意見に賛成できない。
 共産党 緊急事態条項は、戦争遂行や内乱鎮圧を目的とした国家権力による統制を強める規定に他ならない。憲法停止条項と言わねばならない。
 日本維新の会 緊急時の政府対応に関する事後的審査の問題も重視。政府対応の是非の判断は憲法裁判所(設置を提案)が重要な機能を果たす。
 社民党 国会議員の任期などに絞った改憲論議は、可能なところから改憲を実現したいとの「お試し改憲」そのものであり、強く反対する。
さらに、衆院憲法審は3月23日、憲法学者ら3人を招いて「緊急事態条項」を盛り込む改憲論について質疑を行った。
 阪神・淡路大震災の被災者支援を続けてきた永井幸寿弁護士は、「憲法は国家緊急権規定を置かず、緊急事態に法律などで備えることにしていた。緊急関連法規は十分整備されている」と指摘し、「国家緊急権は災害が発生した後で泥縄式に権力を集中する制度であり、災害に対処できない。災害をだしにして憲法を変えてはいけない」と強調した(毎日)。
 自民党が改憲項目の絞り込みに注力している。憲法審の動向を注視していこう。
■「共謀罪」法案 4度目の国会提出強行
「過去の共謀罪とは全く別物」―と詭弁を弄し、東京五輪のためにテロ対策は必要だとして安倍内閣は、日弁連や刑法学者、憲法学者らを含む広範な国民の反対の声を踏みにじって、過去3度廃案になっている「共謀罪」法案を国会に提出した(3月21日)。
「そもそも日本はテロに対して無防備ではない。テロ防止に関する13もの国際条約を締結している。ハイジャック防止条約、爆弾テロ防止条約、核テロリズム防止条約……。同時に国内法も整備している」(東京新聞社説)
「共謀罪」を「テロ等準備罪」に名称をかえておきながら、政府が与党に示した法案の原案には「テロ」の文言はなかった。与党の中から批判が噴出し、慌てて政府は法案の中に「テロリズム集団」という文言を入れた。本質がテロ対策でない証左ではないか。
「共謀罪」法案は国民の思想や内心を取り締まる違憲立法だ。「現代版治安維持法」と呼ばれる「共謀罪」法案の成立を断じて許してはならない。
(中)
2017年3月28日号
■具体的な議論をリードしていく」―安倍首相の改憲執念
 「今年は憲法施行70年の節目 の年。わが党は憲法改正の発議に向けて具体的な議論をリードしていく。これこそが日本の背骨を担ってきたわが党の歴史的使命だ。皆さん、挑戦する勇気を もって結果を出そうではないか」(自民党HP)―任期中の改憲に備えて総裁の任期を延長し(2021年9月まで可能になる)、「改憲発議」に踏みこむ方針 を打ち出した3月5日の自民党大会における安倍総裁(首相)のあいさつである。 改憲への“キバ“を改めてむき出しにしてきた。
 方針は、具体的な運動として都道府県連や選挙区支部の憲法研修会の開催や憲法改正賛同者の拡大運動を推進することなどを決定した。自民党は、一気に改憲 気運をもりあげようと運動の具体化をはかり、憲法審査会における改憲項目の絞り込みに踏み込み、攻勢をかけてくるであろう。
 共謀罪阻止のたたかいとともに、改憲を許さない広範な世論と運動が急がれる。
■南スーダン派兵 5月待たずに撤収せよ
 政府は、3月10日の国家安全保障会議(NSC)で南スーダンPKOに派兵している陸上自衛隊部隊を5月末をめどに撤収させることを決めた。道路建設が終わり、「一定の区切りがついた」からとし、「治安の悪化を理由とするものではない」と強調。
 ごまかしではないか。国連は、内戦状態が「ジェノサイド(民族大量虐殺)」に発展する可能性を度々警告している。
 内戦状態が続いている南スーダンの状況について毎日新聞(3月11日付)は、「現地では安定化の兆しが見えていない」「内戦は泥沼化」「政府軍兵士らによる住民に対する暴力が激化し、周辺国に逃れる難民が急増している」と報じている。
 防衛省は3月13日、首都ジュバで政府軍と反政府勢力との大規模戦闘が起きた昨年7月を含む日報(2016年6月2日〜9月10日)を公開した。戦闘激 化による活動停止などのシナリオを想定していたことや、9月に入っても射撃音が確認されていたことなどが記録されていた(時事)。
 また、6月2日〜26日までの日報には「反政府勢力支配地域」との表記があったことが判明。政府は一貫して、「南スーダン反政府勢力に支配地域はなく、 紛争当事者には当たらないとしてきた。反政府勢力が紛争当事者となった場合、紛争当事者間の停戦合意がない状態となり、PKO参加5原則が満たされていな いことになる」(毎日)。政府はPKO参加5原則は維持されていると説明してきた。「戦闘」と明記されていた日報を一時隠蔽していたこととあわせ、断じて 許されない。安倍政権は、5原則の崩壊を認めるべきである。
 「駆け付け警護」などの新任務を付与された第11次隊の派兵は、戦争法の最初の発動である。自衛隊員を発動の実績づくりの犠牲者にしていいのか。撤収を決めたなら、5月を待たずに速やかに撤収すべきである。
(中)
2017年3月14日号
■自民党運動方針―改憲発議を明記 安倍首相の強い執念が浮き彫り
 自民党は3月5日の党大会で、2017年の運動方針を決定した。方針は、改憲について「憲法改正原案の発議に向けて具体的な歩みを進める」と明記し、従来にもまして明文改憲への具体的な前進を明確に打ち出した。方針で改憲の「発議」に触れるのは初めて。
 方針の原案では、前年の「憲法改正原案の検討・作成を目指す」との表現を踏襲していたが、安倍首相がこれを修正し、「改憲発議」に踏み込んだと言われており、首相の強い執念を浮き彫りにしている。
 方針は、今年、憲法施行70年をむかえることをふまえ、「国会における憲法論議を加速させ、憲法改正に向けた道筋を国民に鮮明に示す」と強調。自民党は 衆参憲法審査会における改憲項目の絞り込みを急いでおり、憲法改正推進本部が、緊急事態条項の創設など具体的な議論を進めている。
 安倍首相は、年頭の自民党の会合で「70年の節目の年。新しい時代にふさわしい憲法をつくっていく年にしたい」と強調し、通常国会冒頭の施政方針演説で は「日本をどのような国にしていくのか。その案を国民に提示するため、憲法審査会で具体的な議論を深めよう」と国会論議を指図し、明文改憲への意欲を示し てきた。
■共謀罪=テロ等準備罪「テロ防止」は偽り 法案提出の口実総崩れ
 「(共謀罪の新設は)国際組織犯罪防止条約を締結するための国内法整備だ」「条約を締結できなければ東京五輪・パラリンピックを開けない」―政府の「共謀罪」新設の口実である。ところが、法曹界の見解や国会論戦を通じてその口実は崩れている。
 「テロ対策自体についても既に十分国内法上の手当はなされており、テロ対策のために政府・与党が検討・提案していたような広範な共謀罪の新設が必要なわ けではない。また、国内法の整備状況を踏まえると、共謀罪法案を立法することなく、国連越境組織犯罪防止条約について一部留保して締結することは可能であ る」―共謀罪法案提出に反対する日本弁護士連合会(日弁連)の意見書である。
 また、刑事法研究者137人が、テロ対策立法はすでに完結している、国連国際組織犯罪防止条約の締結にこのような立法は不要―などの理由をあげて共謀罪法案反対の声明を公表している。
 衆院予算委員会では、野党議員の大健闘で、共謀罪の危険性が明らかにされた。ここでは共謀罪の必要性についての論戦を紹介しておこう。
 民進党の山尾議員は、実行行為より前段階での処罰規定として現行法上、予備罪が37、準備罪が8あり、さらに共謀罪が13、陰謀罪が8あることを示しな がら、政府が現行法で的確に対処できないテロ事案とする航空機の高層ビル突入はハイジャック防止法(航空機の強取等の処罰に関する法律)を適用できると し、また、化学薬品によるテロはサリン特別法(サリン等による人身被害の防止に関する法律)の政令改定で対応できるとただした。そして「新しい法律は必要 ない」と政府に強く迫った(2月3日予算委員会)。
 共産党の藤野議員は、国連の「テロ防止条約」とする14本の条約をパネルで示し、この中に国際組織犯罪防止条約が含まれているかただすと岸外務副大臣は 「含まれていない」ことを認めた。つまり、 「条約はマフィアなどの経済犯罪を主眼とし、テロは含まれていない」と指摘し、条約締結を共謀罪新設の理由にできないと強調。法案提出の断念を強く求めた (2月17日予算委員会)。
 安倍首相と金田法相の答弁は“しどろもどろ““二転三転”、時には“答弁不能”。論戦の舞台は参院に移っている。
(中)
2017年2月28日号
■安倍・トランプ会談 「同盟の強化」確認 日米軍事一体化加速へ 辺野古新基地建設は強行
 安倍首相は2月11日(日本時間)、トランプ米大統領と初めて会談し、安保と経済両面で「日米同盟の強化」を確認した。
 会談後に発表された共同声明には「日本は同盟におけるより大きな役割および責任を果たす」と明記されており、安倍首相は、重大な約束をトランプ大統領に 対して行った。また、「日米両国は、15年の『日米防衛協力のための指針(ガイドライン)』で示されたように、引き続き防衛協力を実施し、拡大する」と確 認。そして「日米同盟をさらに強化するための方策を特定するため、安全保障協議委員会(2プラス2)を開催する」ことも合意された。
 さらに安倍首相は、共同記者会見でも「日本も積極的平和主義の旗の下、より大きな役割を果たしていく」と、強い決意を表明した。
 これらの約束に基づいて、日米軍事一体化が加速され、戦争法の具体化と相まって海外で「戦争する国づくり」が一層推進される。日米軍事同盟強化反対、戦争法廃止の闘いに全力をあげるほかない。
 また共同声明は、辺野古への新基地建設が「唯一の解決策」と明記した。首脳会談の共同声明でこの文言が明記されるのは初めて。オール沖縄の民意を踏みにじる新基地建設の強行は断じて容認できない。
 現地の声として沖縄2紙の社説(いずれも2月12日付)を引用しておこう。
 琉球新報―「日米首脳が沖縄の頭越しに『唯一』と規定するのは許されない」「ただでさえ米軍基地の過重負担にあえぐ沖縄に新たな基地を押し付ける日米の策が許されていいはずはない。辺野古の海は日米への貢ぎ物ではない」
 沖縄タイムス―「朝鮮戦争やベトナム戦争、イラク戦争など米軍が戦った主要な戦争で、日本は常に米国を支持する側に回った。日米同盟強化の名の下に日本の役割を拡大すれば対米従属は一層強まる。対米従属が強まれば沖縄の基地負担はさらに重くなる」
■稲田防衛相 「戦闘」認め、自衛隊を撤収せよ
 防衛省は南スーダンPKOに派兵している陸上自衛隊部隊の日報などの文書を公表した。日報には、昨年7月に首都ジュバで発生し270人以上が死亡した大規模な戦闘について、政府軍と反政府勢力の「戦車や迫撃砲を使用した激しい戦闘」などが生々しく記されている。  稲田防衛相は、衆院予算委で壊れたテープレコーダーのように「法的な意味での戦闘行為ではない」「武力衝突だ」と繰り返し答弁。野党の激しい追及のなかで「憲法9条上の問題になる言葉(戦闘)は使うべきでないことから、武力衝突という言葉を使っている」と本音も出た。
 「戦闘行為」を「武力衝突」と言い換えるのはなぜか。戦闘行為があったことを認めれば、紛争当事者間の停戦合意などのPKO参加5原則が崩れ、自衛隊は撤収することになる。また、戦闘行為に巻き込まれれば9条が禁止する海外での武力行使につながることになる。
 政府は、戦闘行為を「国家または国家に準ずる組織(国準)の間において生ずる武力を用いた紛争の一環として行われる人を殺傷し、または物を破壊する行 為」と定義している。南スーダンの反政府勢力(前副大統領派)は「国準」には当たらないから大規模な戦闘が起こっても戦闘行為ではないというのが政府の言 い分である。派兵ありきの政府の手前勝手で独善的な解釈というしかない。
 政府は、現場の陸自部隊が「戦闘」と認めている事実を、「衝突」と言い換えて国民を欺くべきでない。稲田防衛相は「戦闘」を認め、速やかに自衛隊を撤収すべきだ。
(中)
2017年2月14日号
■改憲項目の絞り込みにイライラ 安倍首相
安倍首相は、衆参憲法審査会における具体的な改憲項目の絞り込みを各党に促す国会答弁を繰り返している。1月27日の衆院予算委員会では「最終的に決める のは国民だ。国会において議論を進めずに、(国民の)権利行使に対してふたを閉めていいのか」(朝日)と、まるで野党を恫喝するかのような答弁をするに 至った。  世論はどうか。毎日の全国世論調査によれば、国会で改正の議論を「急ぐ必要はない」との回答が56%で、「急ぐべきだ」の35%を上回っている。 安倍 内閣支持層でも「急ぐ必要はない」(48%)は「急ぐべきだ」(44%)よりやや多い。
■共謀罪=テロ等準備罪
名前を変えてもその本質は変わらない 国会提出を許すな  安倍政権は国民と野党の反発で過去3回廃案となった「共謀罪」の名前を「テロ等準備罪」に変えて今国会への提出をねらっている。 政府は、名前を変更し、構成要件を改めるなど「新たな法律を用意している」と強弁している。また、「国際組織犯罪防止条約を締結するための国内法整備だ」 としており、安倍首相は「条約を締結できなければ東京五輪・パラリンピックを開けない」とうそぶいている。 国会論戦を紹介しておこう。民進党の山尾議員は、「『準備罪』という新しい衣装や、『テロ等』という新しい帽子をかぶせているが、本質的な議論をごまかさ ずに、本当にこれが必要なのかどうか議論すべきだ。テロのためとか、オリンピックのためとか目的をすり替え、共謀罪から目をそらして国民をだまそうという ひきょうなやり方はやめるべきだ」(民進党HP)と政府を鋭く追及した。 山尾氏は、実行行為より前段階での処罰規定として現行法上、予備罪が37、準備罪が8あり、さらに共謀罪が13、陰謀罪が8あることをパネルで示し、これ には組織犯罪に関連する重大犯罪も含まれていると説明。  日弁連は「合意により成立する犯罪を未遂に至らない段階で取り締まることができる規定が既に整備されており、新たな立法を要することなく、国際組織犯罪 防止条約を批准することは可能である」―との見解を出している。  この日の予算委員会では、ハイジャックテロを具体例に議論が交わされたが、安倍首相は、テロを計画した10人のうち1人が航空券を予約すれば(準備行 為)とみなし、残り9人もテロ等準備罪で「一網打尽にできる」「そうでなければテロを未然に防ぐことができない」と本音が出た。山尾氏は、一人の行為で計 画のみにかかわった残り9人全員が適用対象になり「本質は変わらず、共謀罪のままだ」と指摘(東京新聞)。  共謀罪は現代版「治安維持法」とも呼ばれる。明治から昭和にかけた戦争は、「秘密保護」と国民弾圧の法規(治安維持法など)で準備されてきた歴史があ る。いま、安倍・自公政権は、戦争法の本格的な具体化を加速している。「戦争する国」づくりを止めなければならない。
(中)
2017年1月24日号
■安倍首相 「新しい国づくり」宣言 年頭会見
 今年5月、憲法施行70年を迎える。 安倍首相は年頭の記者会見で、施行70年に触れ、「次なる70年を見すえながら、未来に向かって、今こそ新しい国づくりを進めるときだ」と宣言。
 「新しい国づくり」の柱が、改憲を成し遂げたいとの意欲をにじませたものであることは容易に想像がつく。年頭会見の翌日(5日)には「70年の節目の年。新しい時代にふさわしい憲法をつくっていく年にしたい」と、自民党の会合で明文改憲に意欲満々のあいさつ。
 安倍政権は憲法解釈を変えて、歴代政権が禁じてきた集団的自衛権の行使を容認した。しかし、それは「戦力の不保持」「交戦権の否認」を規定する9条に よってあくまで「限定的」である。ちなみに首相は、一昨年の戦争法案審議の際に「集団的自衛権の解釈変更は、これが限界だ」と繰り返し答弁している。全面 的な集団的自衛権行使は9条改憲によるしかないとの認識である。9条改憲による自衛隊の国軍化=「戦争する国づくり」は首相の悲願である。
 解散・総選挙も想定される施行70年の今年、改憲の攻防戦の正念場が待ち受けている。
■2016年―主な改憲の動き(下)
〈7月〉 ・10日 参院選投開票、改憲与党3分の2議席確保
・22日 政府、辺野古埋め立て承認取り消しの是正指示に従わない翁長知事を福岡高裁那覇支部に提訴
 高江ヘリパッド建設工事を強行開始
〈8月〉
・1日 第191臨時国会開会
・3日 第3次安倍再改造内閣発足
・15日 戦争法は憲法違反として全国の女性106人が東京地裁に提訴
〈9月〉
・12日 安倍首相、防衛省の自衛隊高級幹部合同で「制度は整った。あとは、これらを血の通ったものにする。必要なのは新しい防衛省、自衛隊による実行だ」と訓示
・16日 辺野古埋め立て承認取り消しをめぐり、福岡高裁那覇支部は国の主張を全面的に認める判決を下す
・26日 第192臨時国会開会
・27日 衆院本会議で、野田民進党幹事長が自民党改憲草案の撤回を迫るが、安倍首相は拒否
・30日 安倍首相は衆院予算委で、憲法改正について「自民党草案をベースに議論してほしい」との考えを示す
〈10月〉
・27日 国連総会第1委員会(軍縮)、核兵器禁止条約制定交渉を2017年から開始する決議案を賛成多数で採択。日本政府は反対
〈11月〉
・15日 政府、閣議で南スーダンPKOに派兵する陸上自衛隊に「駆け付け警護」の新任務を付与すると決定
・16日 参院憲法審査会、16年2月以来、9カ月ぶりに議論再開
・17日 衆院憲法審査会、約1年5カ月ぶりに審議再開
・18日 稲田防衛相、南スーダンPKOに派兵する陸自部隊に「駆け付け警護」と「宿営地共同防衛」を付与する命令を出す
・24日 衆院憲法審査会、「立憲主義」をテーマに議論
〈12月〉
・12日 南スーダンPKO、陸自の10次隊から?次隊に交代。新任務の運用開始
・13日 オスプレイが名護市の浅瀬に墜落
・20日 辺野古埋め立て承認取り消しで最高裁は沖縄県の上告を退ける
・26日 沖縄県、埋め立て承認の取り消し処分を取り消した文書を沖縄防衛局に送付
・27日 沖縄防衛局、辺野古新基地建設工事の再開強行
(中)
2016年12月27日号
■南スーダン政府軍がPKO攻撃 自衛隊の「駆け付け警護」 海外での武力行使の危険
 2016年12月12日から戦争法に基づく「駆け付け警護」などの新任務の実施が可能となった。
 12月7日の党首討論で、共産党の志位和夫委員長は、3つの国連報告書を示しながら政府を追及した。
 いま、南スーダンでは、国連報告書によると政府軍によるPKOへの敵対行為が続発し、恒常的に任務遂行を妨害していることを明らかにしている。このよう な事態のもとで、自衛隊が「駆け付け警護」を行えば、政府軍に対する武器使用となる。政府はこれまで、自衛隊が海外で「国または国に準ずる組織」に対して 武器を使用した場合、9条が禁止する武力の行使にあたる恐れがあるとする憲法解釈をとってきた。自衛隊が「駆け付け警護」を行えば南スーダン政府軍と交戦 になる危険があり、憲法違反の武力行使につながる。
 答弁を求められた安倍首相は、「政府も反対派も自衛隊を歓迎している」というだけで、まともな答えはなかった。
 安倍内閣は、海外での武力行使につながる「駆け付け警護」を撤回し、自衛隊を即刻撤退させるべきである。
■2016年―主な改憲の動き(上)
〈1月〉
・1日 安倍首相、年頭所感で「挑戦、挑戦、そして挑戦あるのみ」と決意を表明
・4日 第190通常国会開会
 安倍首相、年頭の記者会見で夏の参院選で改憲を争点にすると明言
・10日 NHKの日曜討論で、安倍首相は夏の参院選で自公やおおさか維新の会などで改憲発議に必要な3分の2の議席の確保を目指すと発言
・21日 安倍首相、参院決算委で改憲について「いよいよどの条項を改正するかという新たな現実的な段階に議論も移ってきた」と強調
〈2月〉
・3日 衆院予算委で安倍首相は憲法9条2項改正に言及
・19日 野党5党(民主、共産、維新、社民、生活)、戦争法廃止法案を衆院に共同提出
〈3月〉
・1日 安倍首相、衆院予算委で憲法を改正し集団的自衛権を全面的に認める必要性に言及
・2日 安倍首相、衆院予算委で改憲を「在任中に成し遂げたい」と明言
・7日 安倍首相は参院予算委で、9条改憲について「まだまだ国民的な理解、支持が広がっている状況にはない」と発言
・25日 おおさか維新の会、党大会で教育の無償化や統治機構改革などを柱とする改憲案を決定
・27日 民主党と維新の党が合流した新党「民進党」が結党大会
・29日 集団的自衛権の行使を柱とする戦争法施行
〈4月〉
・12日 保岡衆院憲法審査会長、夏の参院選までに改憲項目の絞り込みは難しいとの認識を示す
・26日 戦争法は憲法違反だとして、市民509人が東京地裁に提訴(以降各地で違憲訴訟)
〈5月〉
・3日 憲法記念日
・20日 日本学術会議は、軍事目的の科学研究を否定する大原則の見直しを行うことを決定
・31日 衆院憲法審査会は幹事懇談会で参院選後に改憲をめぐる論議を再開する方針を確認
〈6月〉
・1日 第190通常国会閉会
・5日 沖縄県議選、県政与党が議席を伸ばし、過半数を確保
・7日 野党4党(民進、共産、社民、生活)と「安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合」が、参院選に向け政策協定締結
・22日 参院選公示
(中)
2016年12月13日号
■許すな明文改憲! 衆参憲法審査会が始動
 改憲原案の発議を審査する権限をもつ憲法審査会は衆参3回にわたる議論を行った(参院11月16日・衆院11月17、24日)。議論で明らかになったのは自衛権の明記による9条改憲などの改憲項目の絞り込みに前のめりな自民党の姿勢が目立ったことであろう。
 野党会派は戦争法の廃止や自民党改憲草案批判と撤回、立憲主義に対する考え方―などで足並みがそろった。
 民進党の枝野幸男氏は、自民党の憲法改憲草案について「立憲主義に反し、憲法を統治の道具であるかのごとく考えている」と批判し、「同草案は立憲主義を 踏まえたものと認識しているのか。そうだとすれば、立憲主義についての認識が180度違うと言わざるを得ず、建設的議論は困難である」と強調した。
 共産党の大平喜信氏は、「安保法制ほど立憲主義を踏みにじったものはない。安倍政権は、これまで歴代内閣によって9条の下で集団的自衛権の行使は認められないとされてきた憲法解釈を、一内閣の閣議決定によって容認へと変更した」と強く批判し、撤回を求めた。
 社民党の照屋寛徳氏は、「立憲主義とは、憲法によって権力を制限し、憲法を権力者に遵守させ、国家の統治を憲法に基づき行うという原理である。安倍総理の言動に立憲主義の危機と国家の危機を強く感じる」と安倍政治の暴走を指摘した。
 自民党の中谷元氏は、「自民党の憲法改正草案は、立憲主義の考え方を否定するものではない」と説明。同党の平沢勝栄氏は、「自衛隊の存在を憲法に明記することが立憲主義にかなっている」と主張した。(発言の要旨はいずれも「衆院審査会ニュース」)
 自民党が改憲の根拠とする「押し付け憲法」について、公明党の北側一雄氏は「占領下で作られた『押し付け憲法』であり、自主憲法の制定が必要との意見が あるが、賛同できない」と否定し、自民党の見解と一線を画した。その根拠として「何よりも日本国憲法はこの70年、国民に広く浸透し支持されてきた。『押 し付け憲法』という主張自体、今や意味がない」と述べ、制定過程において国会で「数多くの修正がなされ、それぞれ圧倒的多数で新憲法改正案が可決、成立し た」との見解を示した。
 「現行憲法に著しい不備があり、国民の間から改正を求める意見が澎湃(ほうはい)と湧き上がっているのならまだしも、そうした状況でないにもかかわらず、改憲を強引に推し進めるのなら『改憲ありき』との誹(そし)りは免れまい」(東京新聞社説)。
■戦争法で初の派兵 「殺し、殺される」危険現実に
多くの国民の反対の声を踏みにじって安倍・自公政権は、「駆け付け警護」などを付与した自衛隊を南スーダンに派兵した(11月20日)。戦争法に基づく初の派兵となる。
 政府が矢継ぎ早に自衛隊の海外任務を拡大し、戦地に派兵する背景には、9条改憲への布石づくりがある。
(中)
2016年11月22日号
■明文改憲へ 衆・参の憲法審査会が動きだす
 改憲がかつてなく現実味を帯びる中で、憲法公布70年を迎えた。
 衆参両院に設けられた憲法審査会は、改憲原案を審議する権限を持っている(国民投票法)。その審査会が衆院では1年5カ月ぶりに17日から改憲項目の絞り込み(改憲原案づくり)に向けて動き出す。参院の審査会も今年2月以降行われていなかった審議を16日に再開。
 7月の参院選で改憲勢力が衆参両院で3分の2以上に達したが、その参院選の翌日、安倍首相は「わが党の改憲草案をベースにして、どう3分の2を構築していくかが政治の技術だ」と強気の構えを見せた。
 だが、自民党の改憲草案は改憲論議のベースになり得る内容ではないと一蹴する「信濃毎日新聞」(11月3日付)の社説を少し長くなるが紹介しておきたい。
 「憲法13条は、すべて国民は『個人として』尊重される、と定める。草案はこれを『人として』に改めた。わずかな違いのようだが、根本的な隔たりがあ る。多様な個人をかけがえのない存在として尊重する。それが人権保障の大前提だ。個ではない『人』と捉えるのでは、人権を守る憲法の核心が失われる。
 草案に鮮明なのは、『公益、公の秩序』を個人の権利に優先させ、国家を重視する姿勢である。憲法の前文が「日本国民は」で始まるのに対し、草案は『日本国は』で始まる。基本的人権は永久に侵すことができないと宣言した97条は、丸ごと削除している。
 国民主権、平和主義、基本的人権の尊重―。憲法の3原則を草案はことごとく覆しかねない。9条2項『戦力不保持』の規定は削り、『国防軍』を明記した。天皇を『元首』とし、日本は『天皇を戴く国家』と位置づけている」
 自民党は、野党から「改憲草案の撤回」を迫られ、草案を審査会に出さないことを決定し、事実上封印したが撤回したわけではない。自民党が草案に沿って改憲を目指すことに変わりはない。
 「改憲へ向けて一歩一歩進んでいることは間違いない。『いつか来た道』を阻止するため、国民が今こそ声を上げねば、取り返しのつかないことになる」(11月4日付「琉球新報」社説)]
■いよいよ戦争法発動 南スーダンPKO
 自民、公明両党は11月8日、それぞれの国防部会などの合同会議で、南スーダンPKOに派兵する陸上自衛隊に、戦争法に基づく「駆け付け警護」の新任務を付与する政府の実施計画変更案を了承した。
 これによって、安倍政権は「駆け付け警護」の新任務を11月20日から派兵が始まる第11次隊=陸自第9師団(青森市)に付与する。
 南スーダンでは、内戦状態が悪化し、停戦合意などのPKO参加5原則は完全に崩壊している。自衛隊は即刻撤退すべきである。新任務の付与によって政府軍との武力行使(戦闘)も想定される新たな派兵は断じて許されない。
(中)
2016年11月08日号
■戦争法の具体化と発動へ 南スーダン派兵・日米共同訓練
 戦争法に基づく集団的自衛権の行使や戦闘地域での米軍への兵たん支援、改定PKO法による「駆け付け警護」と「宿営地の共同防衛」など安倍政権の「戦争する国」づくりが、急ピッチで進んでいる。
 安倍首相は10月23日に行われた自衛隊観閲式で「平和安全法制によって、諸君には新しい任務が与えられることになる」(官邸HP)と述べ、安保法制(戦争法)に基づく「駆け付け警護」や「宿営地の共同防衛」などの新任務の付与を明言した。
 同日、稲田防衛相は南スーダンに派兵される陸自部隊による駆け付け警護などの訓練を視察した。また、陸上自衛隊は10月24日、岩手県の岩手山演習場で 新任務の訓練を報道陣に公開した。公開は初めて。この訓練で想定された状況は、南スーダンの現実とはかけ離れている。また、国民の批判を恐れて武器使用の 場面は完全非公開とした。
 政府は新任務の付与について、11月中旬の閣議で決定する見通し。
 以下、前田哲男さん(軍事評論家)の話(要旨)。
 現地の情勢は混とん、流動的でPKO参加5原則が成り立たない事態だ。現地で支援活動を行ってきたNGOの報告によれば「政府軍には給与が払われていな いことから、政府軍が略奪行為をくりかえしており、ヘリコプターや戦車、爆弾利用の武力行使が行われている。自衛隊が駆け付け警護をやるとしたら、政府軍 との戦闘になるだろう」と指摘している。安倍総理や稲田防衛相は現地での武力衝突を戦闘行為ではなく単なる衝突だと言い切っているが、これは、戦闘行為と 認めると、PKO参加5原則が崩れることになり現地から撤退せざるを得なくなるからだ。政権としては、この南スーダンの例を武器使用基準を変えるためのテ ストケースにして、さらに武器使用基準を拡大していくつもりなので、引くに引けないのだ(「1000人委員会」ニュースより)。
 戦争法の一つである「重要影響事態法」を踏まえた日米共同統合演習(キーン・ソード)が10月30日から始まっている。演習期間は11月11日まで。戦争法に基づく訓練を他国と実施するのは初めてであり、安倍首相が自衛隊観閲式で訓示した「新しい任務」の一環である。
 戦争法では、日本が直接武力攻撃されていなくても、政府が「日本の平和と安全に重要な影響を与える事態」(重要影響事態)と判断すれば、自衛隊が地球規模で米軍に対する補給や輸送などの後方支援活動(兵たん)や捜索救助活動などの軍事支援を行うことを定めている。
 初の共同訓練は、遭難した米軍機の搭乗員を自衛隊と米軍が共同で捜索、救助することを想定したもの。自衛隊から約2万5千人、米軍から約1万1千人が参 加する大規模な軍事演習である。集団的自衛権の行使については「準備が整っていない」として今回の訓練には含まれていない。
 戦争法廃止の闘いを広げ、強化することが喫緊の課題である。
(中)
2016年10月25日号
■首相 南スーダン「衝突あったが戦闘行為にはあたらず」(NHK)、「戦闘行為ではなく衝突」ジュバの大規模戦闘(朝日)
 10月12日付のNHKと朝日の見出しである。
 10月11日の参院予算委員会で、民進党の大野元裕議員が、「駆け付け警護」などの新任務の付与に関連して「南スーダンでは今年7月に首都ジュバで大規 模な武力衝突事案が起きたが、これは『戦闘』ではないのか。新たな任務を付与するのか」と質したのに対し、安倍首相は「戦闘行為ではなかった」との認識を 示した。
 ジュバでは7月の戦闘で、市民数百人が殺害され、中国のPKO隊員2人も殺されている。稲田防衛相と安倍首相の答弁を「朝日」より引用する。
 稲田氏―「法的な意味における戦闘行為ではなく、衝突だ」「戦闘行為とは、国際的な武力紛争の一環として行われる人を殺傷し、またはモノを破壊する行為だ。こういった意味における戦闘行為ではないと思う」
 安倍氏―「武器をつかって殺傷、あるいはモノを破壊する行為はあった。大野さんの解釈として『戦闘』で捉えられるだろうと思うが、我々はいわば勢力と勢力がぶつかったという表現を使っている」
 7月の武力衝突が戦闘行為でなければいったい何が戦闘行為なのだろうか。稲田氏の解釈に従えば、国際紛争ではない内戦やテロ組織の行動は戦闘行為ではないということになってしまう。
 「戦闘」を「衝突」と言い換えるのはなぜか。国同士の武力衝突―戦争以外は「戦闘」でなく「衝突」だと言いたいのか。命を落とす可能性がある戦闘地帯でも、「衝突」だと言って「自衛隊には南スーダンで活動してもらう」という意図が透けて見える。
 また、PKO参加5原則は「紛争当事者の間で停戦合意が成立していること」などを定めている。「戦闘」を認めれば、PKO法に反し、PKOが成立しなくなる。国会論戦でも南スーダンではPKO5原則が崩壊していることが明らかになっている。
 新任務によって「殺し殺される危険」が現実になってくる。自衛隊を撤退させ、非軍事の人道支援を強化すべきだ。
■治安は安定、リスクは高まらない―稲田防衛相が国会答弁
 稲田防衛相は10月8日、南スーダン(首都ジュバ)を視察した。野党からは「滞在時間なんと7時間。駆け付け警護任務を付与するためのアリバイづくりだ」(日経)と批判。
 10月11日の参院予算委員会で「ジュバは落ち着いている」と強調し、新任務の付与について「緊張感を持って政府全体として判断したい」(東京)と答弁。また、「駆け付け警護」などの新任務を付与した場合も「リスクは高まることはない」と述べた。
 しかし、南スーダンでは各地で戦闘が散発しており、ジュバでも不安定な治安状況が続いている。 稲田氏は10月8日にジュバを訪問し「市内は落ち着いている」と語ったばかりだが、そのジュバ近郊で8日、市民を乗せたトラック4台が攻撃され、21人が殺害された。
(中)
2016年10月11日号
■「戦争の道、力強く、前へ」 改憲案の提示にまで踏み込む 首相所信表明演説
 第192臨時国会が始まっている。
 安倍首相は所信表明演説で「憲法はどうあるべきか……それを決めるのは国民である。そして、その案を国民に提示するのは、私たち国会議員の責任である」と強調し、「与野党の立場を超え、憲法審査会での議論を深めていこう」と呼びかけた。
 首相演説で改憲案の提示にまで踏み込んだのは初めてであろう。
 安倍首相は、所信表明で改憲の中身にはふれていないが、参院選直後の記者会見で、「自民党改憲草案を軸に、衆参の憲法審査会で改憲項目について議論し、 収れんする」と公言している。自民党改憲案をベースに審査会の議論を始めるということであれば、野党は到底応じられない。
 立憲主義を否定し、現行憲法の根底を成す基本原則(国民主権・非武装平和主義・基本的人権の尊重)をことごとく掘り崩しているような自民党の改憲案は論議のベースになり得ない。
 「96条の定める手続きによって現行憲法を否定するような憲法の変更(=現行憲法の廃棄と新憲法の制定)をおこなうことは、改正権の濫用であり、許され ない」(浦部法穂・神戸大学名誉教授著『憲法の本』)。96条2項は憲法改正が成立したときは天皇が「この憲法と一体を成すものとして」公布する、と規定 している(同)。
 安倍首相は、衆参両院の代表質問で野党が自民党改憲案の撤回を迫ったが、「撤回しなければ議論できないという主張は理解に苦しむ」と明確に拒否。自民党 案をベースに議論する方針を否定しなかった。衆参両院で発議要件を獲得し、悲願である「改憲を実現する好機」ととらえている強気の表れだ。
 いま、国民の中に改憲を求める声が湧き上っているわけではない。報道各社の世論調査をみても「改憲反対」が依然として過半数を占めている。国民世論に依拠し、その輪をさらに広げ、安倍首相の野望を阻止しよう。
■米軍支援を拡大 日米両政府 物品役務相互提供協定に署名
 日米両政府は、戦争法に基づいて、自衛隊が米軍に対し地球規模での兵たん活動(軍事支援)を可能にする物品役務相互提供協定(ACSA・アクサ)の改定に署名した(9月26日)。政府は、開会中の臨時国会で承認を求める。
 新ACSAでは、戦争法の中の「国際平和支援法」や「重要影響事態法」によって、いつでも、どこでも、どんな戦争にも自衛隊が米軍に軍事支援を行うこと になる。「イラク特措法」などでは「非戦闘地域」でしか活動できないという縛りがあったが、戦争法によって削除されており、戦闘地域でも活動が可能になっ ている。
 米軍支援の中身も拡大し、禁止されていた弾薬の提供や戦闘作戦行動のために発進準備中の戦闘機への給油・整備も含まれている。
 日米の軍事一体化がさらに加速する。
(中)
2016年9月27日号
■戦争法 「仕組みはできた、制度は整った」「今こそ実行の時だ」 安倍最高指揮官 自衛隊に号令
 自衛隊は9月12日、「自衛隊高級幹部合同」を開催し、最高指揮官である安倍首相と稲田防衛大臣が訓示した。
 安倍氏は、「限定的な集団的自衛権の行使容認を含む平和安全法制が成立し、これと軌を一にして、新たな日米ガイドラインも策定した」(首相官邸HP)こ となど憲法破壊の数々をあげながら、「仕組みは出来た。制度は整った。後は、これらを、血の通ったものとする。必要なことは、新しい防衛省・自衛隊による 『実行』だ」と強調し、「積極的平和主義の旗を高く掲げ……今こそ、『実行の時』である」(同)と号令を発した。戦争法に基づく本格的な運用を自衛隊に強 く求め、戦争する国へアクセルをいっそう踏みこんだ。
 一方、稲田氏は、戦争法に基づく新たな任務について「様々な任務の遂行のための能力を高め、あらゆる事態に適切に対応できるよう、万全を期して いく」(防衛省HP)と決意を述べ、沖縄の民意を押しつぶす米軍ヘリパッド建設や辺野古新基地建設についても言及。「北部訓練場の過半の返還のための着陸 帯移設工事や、普天間飛行場の移設・返還などの各種取り組みを引き続きしっかり行う」と強調した。
■防衛省 軍事研究助成予算は一気に18倍 6億→110億円 札束で産・学に軍事研究促す
 防衛省は、過去最大となる5兆1685億円に上る2017年度予算の概算要求をだしている。16年度当初予算比2・3%増となり、3月の戦争法施行後初めてとなる今回の要求は、文字通り戦争法の本格運用―戦争する国づくりをいっそう推進する軍拡要求である。
 このうち、大学や民間企業に対して研究資金を助成する「安全保障技術研究推進制度」予算として110億円を計上した。16年度の6億円から、一気に18倍に増額している。ちなみに15年度は3億円。産・学に対し札束で軍事研究を促すものだ。安倍政権の野望が見えてくる。
 一方、日本の科学者らで組織する「日本学術会議」は、「安全保障と学術に関する検討委員会」を設置し(5月)、「戦争を目的とする科学の研究は絶対にこれを行わない」(67年の総会決議)とする大原則を検討している。
 これまで多くの大学が「軍事研究の禁止」を唱えてきたが、改めて67年決議などを再確認する動きも出ている。こうした動きの中で、「研究推進制度」が新設された「15年度の応募数は109件(9件が採用)だったが、16年度は44件に減少、10件が採用」(東京新聞)。
 応募が減った背景について同紙によると、「主に大学での軍事研究の拡大に対する研究者の警戒があるとみられる。新潟大学は昨年、学内の科学者の 倫理行動規範に『軍事への寄与を目的とする研究は行わない』と明記。京都大は今年、学長らでつくる部局長会議が、軍事研究に関する資金援助は受けない従来 の指針を再確認した」。
(中)
2016年9月13日号
■戦争法の具体化へ 断じて許されぬ海外での武力行使の訓練開始
 安倍政権は8月24日、昨年9月に強行成立させた戦争法に基づき、集団的自衛権の行使を含めた自衛隊の新任務の訓練を全面的に開始させると表明した。
 訓練を開始する主な新任務は、集団的自衛権の行使にあたる、攻撃を受けている米艦の防護や戦闘地域での米軍などへの兵たん支援、改定PKO法に基づく「駆け付け警護」と「宿営地の共同防衛」などである。
 集団的自衛権行使のための訓練は、日米共同訓練の場で行う。防衛省は10月に実施する日米共同統合演習「キーン・ソード」(グアム周辺)で、米艦防護や 発進準備中の戦闘機への給油などの訓練を想定している。また、11月には共同指揮所演習「ヤマサクラ」を実施する。  「駆け付け警護」や「宿営地の共同防衛」の新任務は、11月の交代で南スーダンのPKOに派兵される部隊(第11次隊)から付与される予定だ。第11次 隊は、東北方面隊の第9師団(青森市)を中心に編成される。同師団の第5普通科連隊の約40人は、5月にモンゴルで実施されたアメリカ軍やモンゴル軍など 20ヵ国が参加するPKOの共同訓練に参加し、新任務に近い訓練をすでに実施・視察している。同隊や、海外派兵を任務とする中央即応集団の各部隊が主力に なるとみられている。
 「駆け付け警護」は、自衛隊から離れた場所で、他国軍や国連職員などが襲撃された際、自衛隊が現場に駆け付け、武器を使って救出する任務であり、まさに 戦闘任務そのものである。海外派兵された自衛隊員の武器使用は、「自己保存型」―正当防衛と武器防護のために限られている。戦争法では、「任務遂行のため の武器使用」を認めるなど武器使用が著しく拡大されており、武力行使に至る危険が格段に高まる。
 「戦後1発の銃弾も撃っていない自衛隊が、安倍政権のもとで未知の領域へ踏み込む」(毎日)。
 いま、南スーダンは深刻な内戦状態にある。停戦合意の成立など「PKO参加5原則」は崩れている。新任務が加われば、戦後初めて海外で「殺し、殺される」事態を招き、自衛隊員の戦闘による犠牲者を出しかねない。
■またぞろ「共謀罪」 名称変えても「国民弾圧法」の本質は変わらない
 犯罪行為がなくても、2人以上が話し合い、合意するだけで犯罪とされる共謀罪。小泉政権時代に3回も廃案になった最悪の国民弾圧法である。
 今度は安倍政権が2020年の東京五輪やテロ対策を口実に、装いを変えて9月の臨時国会に4度目の提出を目論んでいる。先の参院選で政権与党は共謀罪導入を公約していない。昨年の戦争法やかつての特定秘密保護法でみせた手口と同じである。
 政府案は、組織犯罪処罰法を改定し、罪名や構成要件を変えている。共謀罪の罪名に「テロ」を冠して「テロ等組織犯罪準備罪」に罪名を変更し、テロ対策で あることを強調している。過去に廃案となった法案では、適用対象を単に「団体」としていたが、労働組合や市民団体の猛反発にあったため、政府案では対象を 「組織的犯罪集団」に変えている。
 また、犯罪の構成要件として、犯罪の計画を話し合うだけでなく、実行するための資金確保などの「準備行為」を加えている。
 共謀罪が適用される犯罪の範囲は、廃案になった法案と同様で「法定刑が4年以上の懲役・禁錮の罪」としている。道路交通法や公職選挙法違反なども含めて600を超えるとみられている。
 「組織的犯罪集団」や「準備行為」などの定義が極めてあいまいであるため、捜査当局の解釈次第で際限なく拡大される。
(中)
2016年8月30日号
■「戦争放棄」の発案者は幣原首相 新資料=マッカーサーの書簡発掘
 8月12日付の東 京新聞は、現行憲法の成立過程について、「戦争の放棄をうたった9条は、幣原喜重郎(しではらきじゅうろう)首相(当時、以下同じ)が連合国軍総司令部 (GHQ)側に提案したという学説を補強する新たな史料を堀尾輝久・東大名誉教授が見つけた」と報道した。堀尾氏は国会図書館に眠っていた「憲法調査会関 係資料」から掘り起こした。
 新資料とは、1958年12月15日付「マッカーサーから高柳賢三・憲法調査会長宛の書簡」のこと。この書簡に、「戦争を禁止する条項を憲法に入れるよ うにという提案は、幣原首相が行ったのです。…… 提案に驚きましたが、わたくしも心から賛成であると言うと、首相は、明らかに安どの表情を示されました」と明記されている。高柳氏は57年に岸内閣の下で 議論が始まった憲法調査会の会長を務めている。
堀尾氏のインタビューに対する明快な回答を紹介しておきたい。
―なぜ、書簡を探したのか。
 安倍政権は、戦争放棄の条文化を発意したのはマッカーサーという見解をベースに改憲を訴えている。マッカーサー連合国軍総司令部(GHQ)最高司令官が 高柳賢三・憲法調査会長の質問に文書で回答したのは知っていたが、何月何日に回答が来て、どういう文脈だったのか分かっておらず、往復書簡そのものを探し 出そうと思った。
―書簡発見の意義は。
 マッカーサーは同じような証言を米上院や回想録でもしているが、質問に文書で明確に回答したこの書簡は、重みがある。
―2項も、幣原の発案と考えていいのか。
 1項だけでは(1928年に締結され戦争放棄を宣言した)パリ不戦条約そのもの。往復書簡の『9条は幣原首相の先見の明と英知』、幣原の帝国議会での 『夢と考える人があるかもしれぬが、世界は早晩、戦争の惨禍に目を覚まし、後方から付いてくる』などの発言を考えると、2項も含めて幣原提案とみるのが正 しいのではないか。
―幣原がそうした提案をした社会的背景は。
 日本にはもともと中江兆民、田中正造、内村鑑三らの平和思想があり、戦争中は治安維持法で押しつぶされていたが、終戦を機に表に出た。民衆も『もう戦争 は嫌だ』と平和への願いを共有するようになっていた。国際的にも、パリ不戦条約に結実したように、戦争を違法なものと認識する思想運動が起きていた。そう した平和への大きなうねりが、先駆的な9条に結実したと考えていい。
―今秋から国会の憲法審査会が動きだしそうだ。
 「憲法は押しつけられた」という言い方もされてきたが、もはやそういう雰囲気で議論がなされるべきではない。世界に9条を広げる方向でこそ、検討しなければならない。  新資料よって、「現行憲法は極めて短期間にGHQによって作られたもの」とする改憲勢力の「押しつけ憲法」論は色あせ、9条の幣原発案を否定する理由は失われた。
■戦争法によって「危険高まった」が55・9%
 時事通信の戦争法に関連する8月の世論調査で、海外での紛争に巻き込まれる危険が「高まったと思う」は55・9%で、「高まったとは思わない」の答えは27・1%。
 戦争法への理解が「進んだとは思わない」は76・0%に上り、「進んだと思う」は9・0%。
 戦争法に対する国民の疑念や廃止の声が依然として根強い実態が浮き彫りとなった。
■女性が集団提訴
 敗戦記念日の15日、全国の女性106人が、「戦争法は違憲」と東京地裁に集団提訴した。
(中)
2016年8月09日号
■野党と市民の共闘を発展させ、戦争法の廃止と立憲主義の回復を
 7月26日、野党4党(民進、共産、生活、社民)は幹事長・書記局長会談を開き、10月に予定される衆院補欠選挙や今後の総選挙で「できる限りの協力をしていく」(時事)ことを確認した。
 一方、参議院選挙を4野党共闘とともに戦った「安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合」も同日、「来るべき衆議院選挙における小選挙区での野 党共闘の取り組みを後押しするとともに、個人の尊厳を擁護する政治をいっそう具体化していくために立憲野党との政策協議を積みかさねていく」ことなどを柱 とした今後の活動方針を明らかにした。
 野党4党会談の中で、民進党の枝野幸男幹事長は「わが党は(9月に)代表選があるが、4党間で合意・確認したことは引き続き尊重していく」と表明(時 事)。会談後、記者団に「代表選後にがらっと変わることは他党との信義上あり得ない」と強調した(同)。9月の代表選挙に向け、同党内の野党共闘に批判的 (消極的)なグループ(改憲には積極的)の動向が注目される。
 市民連合の活動方針では「参議院選挙期間中、自公連立与党が『憲法改正は主要な争点ではない』と繰り返していたにもかかわらず、安倍政権やその影響下に あるメディアは選挙後にわかに、あたかも憲法改正が既定路線であるかのように有権者をあざむいている」と指摘。「各種世論調査を見ても明らかなように、主 権者たる国民は憲法改正を喫緊の課題とはとらえておらず、改憲論議を勝手に進めていくことを国会議員に委任したとは到底言えない」として、「改憲そのもの を自己目的化するような倒錯した思考を拒絶し、個人の尊厳を擁護する政治の実現をめざして、ひきつづき安保法制の廃止と立憲主義の回復を求めていく」と決 意を披歴している。
■辺野古提訴・高江工事強行 沖縄の民意踏みにじる蛮行に抗議
 政府は7月22日、辺野古新基地建設に関し、翁長知事が埋め立て承認取り消しの是正指示に従わないのは違法として翁長知事を福岡高裁那覇支部に提訴した。
 同じ日、東村高江では全国から動員された500人の機動隊が投入され、生活道路を封鎖し、工事に反対する住民、県民を排除してヘリコプター(オスプレイ)離着陸帯(ヘリパッド)の建設工事を強行した。
 「米軍占領下の『銃剣とブルドーザー』による軍用地強制接収をも想起させる」(琉球新報・社説)。ヘリパッドは、オスプレイの配備予定の辺野古新基地と一体的な施設である。
先の参院選では、「辺野古・高江」工事強行に反対する伊波洋一氏が現職閣僚に大差をつけて勝利。県議選でも翁長与党が過半数を制した。また、県議会は抗議と建設中止の意見書を採択している。  選挙で示された沖縄の民意を完全に踏みにじる政府の強権発動は断じて許されるものではない。
(中)
2016年7月26日号
決意新たに戦争法廃止・改憲阻止の戦線を大きく広げよう
 7月10日投開票で行われた参 議院選挙で、自民党や公明党、おおさか維新、日本のこころの改憲勢力は77議席を獲得。改憲派無所属議員4人を含む非改選(88議席)と合わせると、戦後 初めて、参院の3分の2(162議席)を超える議席を占める事態となった。これによって衆参両院で改憲案の発議が可能になり、憲法は1946年の公布から 70年、いま、重大な岐路にある。
 しかし、選挙における民意を最もよく反映する比例代表を見ると「改憲4党」の全有権者に占める比率(絶対得票率)は31・61%にすぎない。選挙結果 は、安倍改憲に国民が信任を与えたものではない。しかも安倍首相自らが、最大の争点であった改憲問題を封印してしまったからである。
 野党共闘と市民の共同によって闘われた今回の参院選は、国政選挙史上初めてであり、画期的なことであった。野党共闘と候補者の一本化に努力した「安保法 制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合」は「市民が主権者として連帯して野党の統一を促し、市民が政治を変える試みが実現したことの意義は大きい」と 高く評価、「ひきつづき安保法制の廃止と立憲主義の回復を求めて」いこうと呼びかけている。
 野党4党が32の1人区すべてで統一候補を実現し、結果は11勝21敗(野党がばらばらに戦った前回は2勝)。11の選挙区で激戦を制し自民党候補に勝 利したことは大きな成果である。新聞各紙も「共闘に効果あり」「共闘『足し算』以上」などと報じている。東北6県のブロック紙「河北新報」は「東北は野党 共闘圧倒」の見出しを掲げ、沖縄の「琉球新報」は「衆参6議席全て辺野古反対 安倍政権に異議再び」の見出しで選挙結果を報じた。
 野党共闘と市民の共同について、民進党の岡田代表は「日本の民主主義にとって新しい動きで、さらに大きくなっていくことが期待される」(朝日)と評価した。
 国民は本当に改憲を望んでいるのか。報道各社が出口調査を実施しているが、共同通信では改憲反対が50%を占め、賛成の39・8%を大きく上回っている ように、どの出口調査でも改憲反対の国民の意思が鮮明に示されている。世論(民意)と国会議席数との「ねじれ」は大きい。
 衆参両院で発議要件を獲得した安倍首相は11日の記者会見で、自民党改憲草案を軸に、衆参の憲法審査会で改憲項目について議論し、収れんさせる意向を表明した。
 臨時国会に向けて野党と市民の共闘をいっそう発展させることが求められている。
 首都決戦(都知事選)でも野党共闘が引き継がれ、激戦が展開されている。さらに、野党4党は12日の幹事長・書記局長会談で、4党が引き続き国会活動での協力を強め、参院選に続いて次期総選挙の協議も進めていくことを確認した。
 参院選で「3分の2」を阻止できなかったことは残念であるが、決意を新たにして戦争法廃止・改憲阻止の戦線を拡大するために汗を流そう。
■戦前の密告社会? 自民党が「学校教育の政治的中立性調査」
 自民党はホームページで「学校教育における政治的中立性についての実態調査」を行っている。「中立性を逸脱する先生がいる」「偏向教育を危惧している」として協力を呼びかけている。
 ホームページ上の調査フォームには回答者の氏名や年齢、職業などを記入させ、「政治的中立を逸脱するような不適切な事例を具体的(いつ、どこで、だれが、何を、どのように)に記入」することを求めている。
(中)
2016年7月12日号
■改憲阻止の戦線を広げ、強めていこう
 執筆時点では参院選の結果はでていない。いずれの結果にせよ、今後、改憲をめぐる激しい攻防が展開されるであろう。
 野党共闘、市民との共同を大切にし、改憲阻止の戦線をいっそう広げ、強めていかねばならない。
 攻防戦に備え、各党の憲法公約(要旨)をあらためて確認しておこう。
《自由民主党》
・憲法改正においては、現行憲法の国民主権、基本的人権の尊重、平和主義の3つの基本原理は堅持します。
・衆議院・参議院の憲法審査会における議論を進め、各党との連携を図り、あわせて国民の合意形成に努め、憲法改正を目指します。
《公明党》
 (記載なし)
《おおさか維新の会》
 身近な政策のための憲法改正―教育の無償化、地域主権改革、憲法裁判所設置
《日本のこころ》
・日本人の手による自主憲法の制定を目指す。
・憲法上の天皇の位置付けを検討
・国家緊急権に関する規定の整備
・自衛のための戦力保持
・発議要件の緩和
《民進党》
・昨年成立した安保法制の白紙撤回を求めます。
・平和主義を脅かす憲法9条の改正に反対します。
・9条を変えて、制約のない集団的自衛権の行使を憲法上認めることは許されません。平和主義を断固として守ります。
・未来志向の憲法を国民とともに構想します。
《共産党》
・憲法違反の安保法制=戦争法を廃止し、立憲主義を取り戻します。
・集団的自衛権行使を容認した閣議決定を撤回し、立憲主義を回復します。
・安倍政権による憲法改悪を許しません。
・日本国憲法の前文を含む全条項を守り、平和的民主的条項の完全実施をすすめます。
・憲法9条にたった平和の外交戦略を提唱します。
《社民党》
・平和憲法の理念に沿った「戦争をしない国」をめざします。
・日本国憲法の「平和主義」、「国民主権」、「基本的人権の尊重」の3原則を遵守し、平和憲法を変えさせません。
・集団的自衛権の行使を容認した「7・1閣議決定」を撤回し「戦争法」を廃止します。
・平和憲法の理念に基づく安全保障政策を実現するために、「平和創造基本法」を制定します。自衛隊の活動を「専守防衛」の水準に引き戻します。
《生活の党》
・国民主権、基本的人権の尊重、平和主義、国際協調の4原則のもと、憲法の理念を尊重します。
・野党4党と「市民連合」の政策要望書(政策協定)(憲法にかかわる部分)
 安全保障関連法の廃止と立憲主義の回復(集団的自衛権行使容認の閣議決定の撤回を含む)を実現すること、そのための最低限の前提として、参議院において与党および改憲勢力が3分の2の議席を獲得し、憲法改正へと動くことを何としても阻止することを望みます。
(中)
2016年6月28日号
■自民―改憲隠し 野党―憲法破壊が大争点
 「選挙になると自民党の(改憲)草案は風呂敷に包まれて倉庫に隠される。この夏は(争点として)しっかり表に引きずり出す(民進党・山尾志桜里政調会長)」(時事)。日本の命運がかかった参院選の火ブタが切られた。
 戦争法制定にばく進し、年明け早々から国会答弁や記者会見で先頭に立って改憲をあおりたて、参院選で改憲の争点化を明言していた安倍首相が、参院選が近 づくにつれて改憲や戦争法についてほとんど語らなくなった。マスメディアでさえ「争点隠し」だと報じた。
 もう一度あの手を使うつもりであろう。自民党が大勝した2013年の前回参院選と14年の総選挙における政治手法のことである。選挙ではアベノミクスを訴え、選挙に勝てば民意も憲法も無視して憲法破壊政治をすすめた。
 13年の参院選の公約には「集団的自衛権」の文言はなかった。14年の総選挙でも違憲の戦争法は、政策集でわずかに触れているだけだった。
 いずれも選挙が終われば、13年には国民の知る権利を侵害する秘密保護法を強行し、14年には歴代政権が違憲とした集団的自衛権を一内閣の解釈改憲で容認し、翌15年、戦争法へと突進したのは、記憶に新しい。
 そして、今回の参院選。安倍首相は「アベノミクスを加速させるか、後戻りさせるかが最大の争点だ」と力説しており、「自民党の改憲草案は倉庫に隠され る」。公約では改憲を正面から掲げず、公約23ページのうち末尾で「衆参両院憲法審査会で議論を進め憲法改正を目指す」と明記している。
 3度目の安倍政権の政治手法を通用させるようなことがあってはならない。改憲勢力が3分の2以上の議席を確保するようなことになれば、安倍政権は「改憲の牙」をますますむきだし、明文改憲の動きを加速させてくる。
 前述のとおり安倍政権は憲法を破壊する政治を続けてきた。なんとしても安倍暴走政治にストップをかけようと「安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市 民連合」と野党4党は、安保法制廃止と立憲主義の回復、改憲阻止などを柱とする政策要望書(政策協定)を交わし、野党共闘を前進させている。「野合」攻撃 はあたらない。
 一大政治決戦、創意工夫をこらし、県本部方針を具体化しよう。

■安保法制は違憲 関西でも市民ら700人余が集団提訴
 弁護士らでつくる「戦争法違憲訴訟の会」の呼びかけに応じた関西の市民らが6月8日、安保法制(戦争法)によって平和的生存権が侵害されたとして、自衛 隊出動の差し止めと1人1万円の国家賠償を求める2つの訴訟を大阪地裁に起こした。東京や福島、高知に続くもの。訴えたのは戦争体験者やその家族、宗教 者、医師ら713人。
 一方、この日は長崎県の被爆者ら118人も長崎地裁に同様の訴えを起こした。今後も岡山や長野、札幌、広島などで予定されている。
(中)
2016年6月14日号
■日本学術会議  「軍事研究の解禁」を検討 「戦争する国」づくりへあらゆる分野で戦前回帰か
 日本の科学者らで組織する日本学術会議(内閣府の特別機関)は、5月20日の幹事会で、軍事目的の科学研究を否定する大原則の見直しを検討する「安全保障と学術に関する検討委員会」の設置を決定した。年内に見解をまとめる見通し。
 学術会議の大西隆会長は記者会見で「声明の見直しも議論の対象」と明言。「戦争を目的とした科学研究は行うべきでないとの考え方は堅持すべきだが、自衛のための研究までは否定されてない」(毎日)と話している。
 学術会議は1949年の設立にあたって、科学者が侵略戦争に協力した反省から「(科学が)わが国の平和的復興と人類の福祉増進のために貢献せんことを誓 う」と宣言。翌50年の総会で「戦争を目的とする科学の研究には、今後絶対に従わない」とする声明を決議。また、国内大学への米軍の研究資金供与が発覚し た67年の総会でも改めて「戦争を目的とする科学の研究は絶対にこれを行わない」とする声明を決議し、多くの大学が「軍事研究の禁止」を確認してきた。
 ところが、昨年度から防衛省は兵器開発につながるテーマで、大学や研究機関から公募し資金を提供する「安全保障技術研究推進制度」を新設した。初年度は109件(うち大学が58件を占めている)の応募があり、9件が採択されている。
 この中には、学術会議の会長である大西隆氏が学長を務める豊橋技術科学大学の研究も採用されている。
 毎日新聞のアンケート調査によると、「国内の主要大学の6割以上が、軍事研究を禁止・制限する研究指針や倫理規定などを策定していない」ことが分かった。
 同制度の今年度予算は6億円に倍増されている。ちなみに、自民党の国防部会は、同予算を100億円規模に増額する提言をまとめている。
 戦争法の成立・施行によって戦争への道が開かれたが、戦争遂行の態勢づくりがあらゆる分野で進行している。
■戦争法の新任務適用検討 南スーダンPKO
 3月の戦争法施行後も、南スーダンPKOでの「駆け付け警護」や「安全確保業務」(治安維持活動)などの危険な任務の追加は参院選後に先送りされてい る。政府は、11月に派兵を予定している第11次隊に「安全保障関連法に基づく『駆け付け警護』などの新任務を初めて付与することを検討している」(共 同)。第11次隊は陸自第5普通科連隊(青森市)を中心とする部隊で調整している。
 この部隊はモンゴルで、アメリカ軍やモンゴル軍など20ヵ国が参加するPKOの訓練に参加している。戦争法で可能となった新任務の訓練参加は見送ってい るが、訓練を担当している幹部は「視察のみとしている。(新任務の)訓練については、自衛隊が今後どのような訓練を行っていくか考えるための材料として活 用していきたい」(NHK)と話している。
(中)
2016年5月24日号
■安保法制は違憲 市民700人余が初の集団提訴 東京と福島、高知で
 安保法制(戦争 法)は憲法違反―平和的生存権が侵害されたとして、市民509人が4月26日、損害賠償を求め東京地裁に提訴した。提訴は、@安保法制にもとづく自衛隊の 出動を許さないとする差し止めを求める訴訟(差し止め訴訟)、A安保法制によって平和的生存権、人格権及び憲法改正・決定権が侵害され、精神的に傷ついた のでその損害を賠償してほしいと請求する国家賠償訴訟(「国賠訴訟」)の2つ。
 弁護士らでつくる「安保法制違憲訴訟の会」が呼びかけた集団訴訟の第1弾で、代理人弁護士には621人が名を連ねている。同日は福島地裁いわき支部でも 約200人が国家賠償を求めて提訴しており、5月6日には大学教授や学生ら32人が、1人当たり10万円の損害賠償を求める訴えを高知地裁に起こした。3 件目。
 「違憲訴訟の会」によると原告希望者は2千人にのぼるといわれており、全国15地裁で同様の訴訟が予定されている。
 これまで、裁判では法律自体の憲法判断はできず、具体的な権利の侵害が起こること(「事件性」)が必要とされており、原告には戦争被害者や基地周辺住民、自衛隊関係者なども加わっている。
 「違憲訴訟の会」は「(『戦争法廃止2000万人署名』など全国に広がっている)国民運動の一環として、多くの国民とともに司法を通じて声を上げ」、 「立憲主義を無視する暴挙は決して許さないという市民の意思を強く示すことが必要」であるとし、違憲立法を司法が座視するようなことがあれば、立憲主義が 完全に崩壊すると集団提訴の意義を訴えている。
■またぞろ 熊本地震に乗じて緊急事態条項
 「現在の災害関連の法律はさまざまな権限を市町村長に与えている。これらを駆使すれば今の憲法を改正しなくても緊急事態に対応できる」(NHK)―日本 弁護士連合会が開いた(4月30日)シンポジウム「大規模災害と法制度」における福島県浪江町・馬場町長の発言である。
 浪江町は東日本大震災で津波の被害に加え、原発事故で町の全域が避難区域に指定された。
 日弁連は被災した自治体にアンケートした結果を公表した。回答があった24市町村のうち19市町村が災害時の国と市町村の役割分担について、「市町村主 導」と答え、23の市町村が「憲法は災害対応への障害にならない」と回答。1町のみが障害になったと答えた。
 4月14日以来の熊本地震が続くなか、菅官房長官は緊急事態条項について記者会見で、「今回のような緊急時に国家、そして国民自らがどんな役割を果たすべきかを憲法に位置づけることは、極めて重く、大切な課題だと思う」(毎日)と強調。
 官房長官は浪江町長の声を聴くべきである。戦争法を強行した安倍・自公政権は、緊急事態条項のネライがどこにあるかを多くの国民は見抜いていることを知るべきである。
■安倍改憲に危機感
 「改憲反対の声」高まる
 各メディアが世論調査の結果を発表した。改憲反対の声が増えている(カッコ内は昨年)。
 朝日(3〜4月・郵送)では、改憲反対が55%(48%)、賛成は37%(43%)。9条の改憲も反対が68%(63%)、賛成は27%(29%)。
 NHKでも、改憲反対が31%(25%)、賛成は27%(28%)。改憲反対は、この5年間で、今回が最も多くなったとしている。9条改憲は反対が40%、賛成22%。
 共同通信は、6月末までに18、19歳になる新有権者を対象に実施(郵送方式)。改憲反対が58%、賛成は40%。投票で政治に影響を「与えることができる」は59%、「できない」は41%。
(中)
2016年4月26日号
■普天間返還合意20年―沖縄のメッセージ
 日米両政府が米軍普天間飛行場(基地)の返還で合意してから20年となった4月12日、「辺野古新基地を造らせないオール沖縄会議」は県庁前で県民集会を開いた。
 集会で稲嶺進名護市長は「普天間が1ミリも動かなかったのは、日米が合意した県内移設は県民に受け入れられないでたらめな計画だからだ」(沖縄タイム ス)と訴える。また、集会では「県民は何度もゆるぎない(県内移設反対の)民意を示し続けてきた。20年間埋め立て工事に着手できていない現実を日米両政 府は認識するべきだ」とし、@普天間飛行場の5年以内の運用停止、早期の閉鎖・撤去、Aオスプレイの配備撤回、B辺野古新基地建設の断念―を求める集会決 議を採択した。
 さらに、琉球新報と沖縄タイムスの「社説」(12日付)から沖縄のメッセージを読む。
 まず琉球新報は、「普天間は(20年間)1ミリも動いていない」ことが「政策の方向が誤りだったことの何よりの証左だ」と指摘する。その上で、「なぜ間 違えたのか。言うまでもなく、代替の基地をあくまで沖縄県内に求めようとしたからだ。そもそも合意は沖縄の基地負担軽減が出発点だった。沖縄の負担を軽減 するのに、新たに沖縄に負担させる計画が『軽減』のはずはない」と厳しく批判し、「両政府は県内に固執した過ちを正面から見据えるべきだ」と、日米両政府 に強く迫っている。
 沖縄タイムスも「問題は当初から明らかだった。県内移設の条件が付いていたからである」と問題点を指摘し、「紆余曲折を経て現在、日米両政府が名護市辺 野古で進めようとしているのは、普天間代替などではなく、滑走路2本、強襲揚陸艦が接岸できる軍港機能、弾薬搭載エリアなど普天間にはない機能を備えた新 基地である」と辺野古新基地建設の核心をついている。そして「新基地は沖縄でなければならない軍事的根拠はない」「構造的沖縄差別である」ことを明らかに し、「本土側も沖縄に基地を集中させる安全保障体制から脱すべきだ」と問題提起する。
 だが政府はかたくなまでに「辺野古移設が唯一の解決策」とする姿勢を取り続けている。沖縄に犠牲を押し付けるだけの姿勢では、1ミリも動かぬ「不毛の20年」を繰り返すことになる。日米両政府は沖縄の民意をなによりも尊重し、従うべきである。
■施行後の今でも根強い「戦争法反対」の世論
 戦争法が施行された今でも、直近の朝日新聞とNHKの世論調査から戦争法「反対」や「評価しない」の国民世論が根強いことがわかった。
 朝日新聞の調査によると「集団的自衛権を使えるようにしたり、自衛隊の海外活動を拡げたりする安全保障関連法に賛成か、反対か」の質問では、「賛成」35%に対し、「反対」46%が上回った。
 安保関連法への評価を尋ねているNHKの調査でも、「評価する」42%に対し、「評価しない」48%が上回った。
(中)
2016年4月12日号
■戦争法強行施行 「危険任務」先送り 廃止法案は数の力で棚ざらし
 3月29日、政府は戦争法の施行を強行した。
 戦争法の施行によって、集団的自衛権の行使が可能となり、自衛隊が戦後初めて「殺し、殺される」事態を引き起こす危険が現実のものとなってきた。
 戦争法廃止の世論は、さらに広がりを見せている。「2000万人署名」は500万筆を突破(3月19日現在)。マスメディアの世論調査でも戦争法を「評価しない」声が、「評価する」を上回っている。
 しかも、5野党が共同提出した(2月19日)廃止法案は国会で全く審議されていない。参院選での争点になることを避けるためであり、南スーダンPKOでの「駆け付け警護」や「安全確保業務」などの危険任務の追加は参院選後に先送りする。
 安倍首相は自民党大会(3月13日)で、「平和安全法制を廃止したら、せっかく国民を守るために強化された日米同盟の絆は、大きく損なわれてしまう」と述べ、廃止を求める国民の声をあくまで無視する姿勢を貫いている。
 ちなみに、年明けから先頭にたって明文改憲を煽りたてていた安倍首相。大会あいさつでは改憲に一言も言及しなかった。首相の考えが変わるはずがない。安 倍政権の常とう手段である。「選挙が近づくと『ブレーキ』を踏むように発言や公約での表現を抑制。選挙で勝利すると、白紙委任を得たかのように一気に進め るやり方だ」(朝日)。2013年参院選では公約に明記しなかった秘密保護法の制定を強行し(同年)、14年総選挙でも公約でわずかにしか触れていない安 保法制(戦争法制)を昨年9月に強行成立させた。
 参院選を前に安倍自公政権は、「安保法が必要で『合憲』とするなら、正面から野党の挑む論戦を受けて立つべきだ」(高知新聞社説)。正々堂々と。
■報道各社の世論調査
〈日本世論調査会〉(2月27、28日実施)
・9条改憲「反対」57%、「賛成」38%。
・夏の参院選で、改憲発議に必要な3分の2議席以上を「望む」44%、「望まない」47%。
〈毎日新聞〉(3月5、6日実施)
・安保関連法の制定を「評価しない」49%、「評価する」37%。
〈NHK〉(3月11日〜13日実施)
・安倍首相の「在任中改憲」発言を「評価する」40%、「評価しない」54%。
〈朝日新聞〉(3月12、 13日実施)
・安倍首相の「在任中改憲」発言を「評価する」38%、「評価しない」49%。
・参院選で「野党統一候補を立てるほうがよい」47%、「そうは思わない」32%。
〈読売新聞〉(郵送方式)
・参院選の投票先で「憲法への考え方を判断材料にする」67%、「判断材料にしない」31%。
・改憲「賛成」49%、「反対」50%。
・集団的自衛権の行使「評価する」49%、「評価しない」49%。
〈共同通信〉(3月26、27日実施)
・安保関連法の制定を「評価しない」49・9%、「評価する」39・0%。
(中)
2016年3月22日号
■「在任中に改憲」 ますますエスカレートするアベ発言
 年明けから安倍首相の明文改憲発言がエスカレートしていたが、極め付きともいえる発言が飛び出した。3月2日の参院予算委員会での答弁である。 各紙が大きく報道した。
 朝日新聞。「18年9月までを念頭」の見出しを付け、「安倍晋三首相は2日の参院予算委員会で、憲法改正について『私の在任中に成し遂げたいと考えてい る』と述べ、強い意欲を示した。夏の参院選で改憲勢力が3分の2を確保し、2018年9月までの自民党総裁任期を念頭に国会発議と国民投票による実現をめ ざす考えを示したものだ」。
 毎日新聞は「参院選争点化確実に」「衆院と同日選も視野」の見出しを打ち、「安倍晋三首相が3月2日、『在任中』の憲法改正を目指す考えを表明し、夏の 参院選での争点化が確実となった。首相は衆参同日選も視野に、参院で改憲発議に必要な3分の2の議席を確保する考えで、結果次第では改憲が現実的な政策課 題となる」。
 また安倍首相は3月1日の衆院予算委員会で、9条改憲について「日本国民の命を守り抜いていくために必要な国際法上持っている権利は行使できるとの考え 方の下に、自民党草案を示している」(共同通信)と、他国を武力で守る集団的自衛権の行使を全面的に認める必要性を強調した。戦争法では9条が障害物(歯 止め)となって「限定容認」とされている。
 自民党改憲草案は現行の9条2項を削除し、新たに「前項(戦争放棄)の規定は、自衛権の発動を妨げるものではない」と明記している(自衛権には個別的自衛権や集団的自衛権も含む)。
 安倍首相は改憲スケジュールについて、「在任中」―2018年9月までと明言した。改憲への執念と「ヤル気」をむき出しにしてきたのである。「在任中改 憲」の発言は首相の焦りの表れであろう。9条が、とりわけ「戦力の不保持」「交戦権の否認」を規定している2項が存在する限り戦争法は憲法違反であり続 け、集団的自衛権の行使は「限定的」とされているからである。首相は昨年の戦争法案審議の際に「集団的自衛権の解釈変更は、これが限界だ」と繰り返し答弁 していた。  9条を目の敵にする安倍首相vs 9条に象徴される徹底した平和主義。夏の参院選で9条と戦争法の是非が重大な争点となる。
 安倍首相の一連の改憲発言は、第1次内閣だった2007年の時と同じだ。年頭所感で「新しい時代にふさわしい憲法を今こそ私たちの手で書き上げていくべ きだ」と任期中の改憲への意欲をみなぎらせ、年頭記者会見では「改憲を参院選の争点にする」と踏み込んだ(小欄07年1月7日付)。自民党は参院選の公約 に「2010年の国会において憲法改正案の発議をめざす」ことを掲げた。まだ記憶に新しい。この選挙で自民党は惨敗し、安倍首相は退陣に追い込まれた。
 「憲法の尊重擁護義務」を定めた99条をもてあそぶ安倍政権に、再び鉄槌を打ち込もう。
(中)
2016年3月8日号
■5野党が合意 戦争法廃止や国政選挙協力
 2000万人署名で大衆運動を盛りあげよう
 安倍自公政権が憲法に真っ向から背く戦争法を質問権も、採決権も奪い、暴力的なやり方で強行成立させてから、ちょうど5カ月になる2月19日、民主、共産、維新、社民、生活の野党5党が党首会談を開き、戦争法の廃止や国政選挙での協力など4項目で合意した。
 また、会談で共産党は政権構想(戦争法廃止の国民連合政府)について「横において―保留して、まず選挙協力の協議に入る」、参院選1人区の候補者調整については「思い切った対応を行う」と表明した。
 会談の確認を受け同日、5党は戦争法を廃止する2法案―武力攻撃事態法など10本を一括した「平和安全法制整備法廃止法案」と「国際平和支援法廃止法案」―を衆議院に共同提出した。
 5野党合意の内容は、安倍暴走政治を止めたいという国民の切実な願いに応えたものである。
 安倍政権は今月末にも戦争法の施行をねらっている。参院選を前に国会論戦を避けたいのが政府・与党の本音であろう。自公の数の力による廃止法案の棚上げ は断じて許されない。その成否は、参院選に向かってこれまで積み上げている総がかり行動や2000万人署名活動のさらなる盛り上げにかかっている。それが 野党共闘の成功と参院選勝利のカギでもある。
〈党首会談の合意事項〉
 @安保関連法の廃止と集団的自衛権の行使を容認する閣議決定の撤回を共通目標にする
 A安倍政権の打倒を目指す
 B国政選挙で現与党とその補完勢力を少数に追い込む
 C国会での対応や国政選挙などあらゆる場面でできる限りの協力を行う

 「(廃止)法案審議を通じ、改めて問題点を徹底的に正さなくてはならない」(信濃毎日新聞)、「政府は安保法が必要で『合憲』とするなら、正面から野党の挑む論戦を受けて立つべきだろう」(高知新聞)など、地方紙の社説は、違憲法制を正す議論を求める論調が目立つ。
「見出し」だけになるが主なものを紹介する。
・与党は逃げずに論戦を(北海道新聞)
・違憲立法を問い直さねば(信濃毎日新聞)
・安保の根幹 正さねば(中日新聞)
・あらためて深く議論を(京都新聞)
・国会で問題点を明らかに(神戸新聞)
・議論を根本的にやり直すべきだ(愛媛新聞)
・「違憲立法」に焦点を(高知新聞)
・速やかな審議入りが筋だ(西日本新聞)
・あらためて根本から議論を(宮崎日日新聞)
・今こそ根本の議論深めよ(熊本日日新聞)
・正面から論戦に応じよ(南日本新聞)
・「違憲」の疑い再論議を(沖縄タイムス)

(中)
2016年2月23日号
イケイケドンドン―安倍首相ますます増長 9条2項の明文改憲に踏み込む
 「時代にそぐわない典型的な条文は9条だ」―政治家・安倍氏の持論である。
 年頭から安倍首相が先頭に立って改憲を煽りたてている。首相と全閣僚が出席する16年度予算案の基本的質疑(衆院予算委2月3日〜5日)で、異常なまでにヒートアップする発言ぶりを新聞報道から拾ってみる。

〈3日〉
・「(憲法は)占領時代に作られ、時代にそぐわないものもある」(毎日)
・「現実に合わなくなっている9条2項をこのままにしておくことこそが立憲主義の空洞化だ」(東京)
・「7割の憲法学者が自衛隊に憲法違反の疑いを持っている状況をなくすべきだとの考え方もあり、私たちの手で変えていくべきだとの考えの下で自民党の憲法改正草案を発表した」 (共同)
〈4日〉
・「自民党の憲法改正草案がある。9条についても示している。2項は変えていくと示している。『天から降ってきたから、もう変えられない』ということではならない」(朝日)
・「指一本触れてはならないと考えて思考停止になるのはいけない」(日経)
〈5日〉
・「(9条2項についての考えは)わが党は変えるという憲法改正草案を出している。(首相でもある)自民党総裁としては同じ考え方だ」(時事)

 「戦後レジームからの脱却」への凄まじい 執念である。ここまで露骨に、しかも国会の場で本音を吐き出す首相は、これまでいなかった。かつては自民党政権の首相であっても、憲法99条に規定されて いる「憲法の尊重擁護義務」を念頭に、「任期中の憲法改正を控える」という良識があった。右翼的イデオロギーが濃厚な安倍首相にはその良識のかけらすらも ない。
 解釈改憲による集団的自衛権行使容認から、今度は参院選を視野に、戦争法の障害物である改憲の本丸=9条明文改憲の条件づくりに踏みだしてきた。戦争法廃止の大衆運動とあわせ、9条改憲の策動阻止が急務である。 最近の世論調査(「毎日」、昨年10〜12月・郵便による調査)でも9条の1項改憲反対57%(賛成17%)、2項改憲反対46%(賛成23%)など、国民は9条を支持している。
■アベ改憲発言―手厳しい地方紙の社説
 手厳しく批判する地方紙の社説を紹介しよう。
 北海道新聞は、「9条改定となれば戦後日本の平和主義が空洞化しかねない。安易な改定論は認めがたい」と強調し、「9条の改定を急ぐ理由があるのか」と訴える。
 信濃毎日新聞は、戦力の不保持と交戦権の否認を規定する2項の「歯止めを取り払う改憲論は、国会で積み上げてきた議論をあまりに軽視している」と9条改憲の核心を突く。
 琉球新報は、「憲法違反の疑いがもたれる状況に憲法を合わせることは本末転倒だ」と批判し、「憲法の根幹である9条改正は断じて容認できない」と警鐘を鳴らす。
(中)
2016年2月9日号
■「緊急事態条項」―立憲主義を破壊する劇薬
 前号に続いて「緊急事態条項」を取り上げる。
 解釈改憲にとどまらず憲法の条文そのものを変える明文改憲の突破口として憲法に「緊急事態条項」を盛り込む動きが浮上している。
 「緊急事態条項」の議論が活発になったのは、2011年3月の東日本大震災後である。衆院・参院の任期満了選挙が災害と重なった場合、「政治空白」が生 まれる。国会議員の任期延長を認める緊急事態条項を憲法に盛り込むべきだ―というのが自民党などの言い分である。
 自民党が2012年に発表した改憲草案を見てみよう。「緊急事態」の章(第9章)を新たに起こしている。条文のさわりは次のとおり。
 第98条1項 内閣総理大臣は、我が国に対する外部からの武力攻撃、内乱などによる社会秩序の混乱、地震などによる大規模な自然災害その他の法律で定め る緊急事態において、特に必要があると認めるときは、法律の定めるところにより、閣議にかけて、緊急事態の宣言を発することができる。
 第99条1項 緊急事態の宣言が発せられたときは、法律の定めるところにより、内閣は法律と同一の効力を有する政令を制定することができるほか、内閣総理大臣は財政上必要な支出その他の処分を行い、地方自治体の長に対して必要な指示をすることができる。
 第99条3項 緊急事態の宣言が発せられた場合には、何人も、……国その他公の機関の指示に従わなければならない。
 見てのとおり、災害対策に名を借りて、戦時への備えを進める意図が明らかである。戒厳令そのものである。また、非常事態への対処を理由に、政府が国会の 立法権をはく奪し、権力を内閣に集中させることによって人権制限を容易にし、立憲主義を破壊する。事実上の憲法停止である。
 さらに、国民は緊急事態指示に従わなければならない義務規定まで盛り込んでおり、緊急事態の定義があいまいなため「法律の定めるところ」により政府の裁量でどこまでも広がっていく。
 参院の予算委員会で社民党の福島みずほ議員は「ナチスの授権法(全権委任法)と全く一緒だ」と追及。安倍首相は「諸外国にも多くの例がある。限度を超えた批判だ。そうした批判は慎んでもらいたい」と、批判を封じようとする答弁をした。
 悪名高いヒトラー・ナチスの全権委任法(授権法)の第1条「ドイツ国の法律は、憲法に規定されている手続き以外に、ドイツ政府によっても制定されうる」 と、自民党改憲草案の第99条1項にある「内閣は法律と同一の効力を有する政令を制定することができる」とは、まるでそっくりではないか。
 安倍首相は「いよいよどの条項を改正すべきかという現実的な段階に移ってきた」と語るようになった(1月21日参院決算委員会答弁)。
 戦争法具体化の動きとともに、緊急事態条項を突破口とする明文改憲の諸策動は断じて許容できない。
(中)
2016年1月26日号
■「アベ暴走車」にストップを 明文改憲の突破口が「緊急事態条項」
 「本年は、挑戦、挑戦、そして、挑戦あるのみ」(安倍首相の年頭所感)。なにに挑戦するのか?年頭の記者会見では夏の参院選で「改憲を争点にする」と意気込んだ(4日)。
 さらに、8日の衆院予算委員会で憲法に規定がない「緊急事態条項」の創設について「緊急時に、国家、国民自らがどんな役割を果たすべきかを憲法にどう位置付けるかは、極めて重く大切な課題だ」と踏み込んだ。
 さらに、さらに、10日のNHK番組で、自・公とおおさか維新で3分の2議席を目指すと明言。
 昨年の衆院憲法審査会で共産、社民党を除く各党が「緊急事態条項」の必要性に言及している。
 自民党の改憲草案(2012年)では、首相が緊急事態(外部からの武力攻撃や大規模な自然災害など)を宣言すれば、「内閣は法律と同一の効力を有する政 令」を制定することができ、国民は国の指示に従わなければならない義務規定が盛り込まれている。首相の権限強化と国民の権利制限である。
 ヒトラー・ナチスの全権委任法を彷彿させる。
 戦争法廃止・立憲主義の回復やくらしを守る闘いの前進とともに、明文改憲を見据えた「緊急事態条項」の創設を断じて許してはならない。参院選が大きな試練となる。
■2015年―主な改憲の動き(下)
〈7月〉
・13日 衆院特別委、中央公聴会を強行
・15日 自民、公明党、戦争法案を強行採決
・16日 本会議で強行可決
・20日 「安全保障関連法案に反対する学者の会」が「立憲主義と民主主義の破壊だ」と、抗議声明
・24日 参院本会議、平和安全法制特別委員会を設置
・27日 戦争法案、参院本会議で審議入り
〈8月〉
・5日 中谷防衛相、核兵器の運搬を「法文上排除してない」と答弁
・14日 安倍首相の戦後70年談話を閣議決定
・26日 中谷防衛相は参院特別委で、集団的自衛権行使の代表例としていた米艦防護について「邦人が乗っているかどうかは条件ではない」と答弁
・30日 国会包囲デモ、12万人が「戦争法案廃案」の声あげる
〈9月〉
・1日 山口繁・元最高裁長官が、「集団的自衛権の行使を認める立法は違憲だ」と発言
・8日 参院特別委の参考人質疑で大森政輔・元内閣法制局長官は「憲法違反」と明言。
・ 14日 安倍首相、参院特別委で集団的自衛権行使の代表例として繰り返し主張したホルムズ海峡の機雷掃海を自ら否定
・18日 自・公は戦争法案を質問権と採決権を奪い、暴力的な手法で特別委で強行採決
・19日 未明に本会議で強行成立
・20日 「学者の会」は「憲法9条のもとで68年間持続してきた平和主義を捨て去る暴挙である」 との声明を発表
〈10月〉
・1日 武器の輸出や購入などを一元的に担う防衛省の外局「防衛装備庁」が発足
・7日 第3次安倍改造内閣発足
・13日 翁長沖縄県知事、辺野古沿岸部の埋め立て承認を取り消す
・19日 戦争法成立から1カ月。国会前をはじめ全国各地で「戦争法」廃止の声あがる
〈11月〉
・11日 安倍首相、参院予算委で憲法に規定がない「緊急事態条項」の創設について言及
〈12月〉
・ 20日 16年夏の参院選で戦争法廃止を掲げる候補を支援する「安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合」結成
・21日 「安保法制違憲訴訟の会」、来春、大規模な訴訟を起こす方針
(中)