2008-2009 2006-2007
2010年3月9日号
■内閣の憲法解釈「私が判断」―枝野刷新相
 政府・与党は、野党の反発を押し切って今通常国会から政府特別補佐人から内閣法制局長官を外し、国会答弁を禁じてしまった。自民党政権すらやらなかった重大な変更である。
 ところが、法令や憲法解釈担当の平野官房長官が、たびたび答弁に窮する場面があったため、鳩山首相は、枝野刷新相を担当に指名した。
 枝野氏は2月19日の閣僚懇談会で内閣の憲法・法令解釈について「内閣法制局の意見は大事だが、判断するのは担当大臣の私であり、最終的には閣議だ」(読売)との考えを示した。会見では内閣の憲法解釈ついて「今後は政治の主導的な判断で、誤りがあったら正すし、新たな問題については対応していく」と強調(時事)。
 枝野氏は、05年に民主党の憲法調査会長として「憲法提言」をまとめた御仁。「提言」の9条関連では「制約された 自衛権を明確にする」など9条の明文改憲を打ち出している。
■改憲同盟 改憲手続き法施行にらみ活動再開
 改憲派議員らでつくる新憲法制定議員同盟が、改憲手続き法の施行を前に定例会の開催や4月には改憲推進大会を予定するなど活動を再開する。
 改憲同盟は、昨年8月の総選挙で所属する現職議員が激減。特に、中山太郎会長代理や愛知和男幹事長など「大物議員」が相次いで落選し、活動を事実上休止していた。
 自民党は、昨年12月に憲法改正推進本部をスタートさせ、改憲論議の活発化と「新憲法草案」見直しに取り組んでいる。
■「海にも陸にも基地は造らせない」 名護市長
 琉球新報によると、1月の名護市長選挙で当選した稲嶺進新市長は2月23日、当選後初めての臨時議会の就任あいさつで、「辺野古の海にも陸上にも新しい基地は造らせない」と訴えた。
 また、名護市の辺野古区は22日、普天間代替施設等対策特別委員会を開き、米軍キャンプ・シュワブ陸上案反対を全会一致で決定。隣接する豊原、久志の両区の了解も得た。日米が合意した移設先の辺野古区が反対意思を表明するのは初めて。
 地元の3区は、「国策として決定しても反対の実力行動も辞さない」などの要請文を25日、沖縄防衛局に提出した。
■迷走発言 もういいかげんにしてくれ
 普天間基地問題をめぐる関係閣僚の迷走発言や閣内不一致にはうんざりさせられる。発言の一部を再録しておこう。
  • 平野官房長官「常にベストを求めていくが、ベターになるかもしれない」(2月20日、「県外がベスト」とする仲井真沖縄知事との会談で・時事)。鳩山首相「ベターではなく、私どもはベストを探す」(同日記者団に・読売)
  • 北澤防衛相「(移設案を)2月中にまとめる」(20日、岩国市長との会談で・朝日)。平野官房長官「今月内に(結論を)出すと決めているわけではない」(22日、会見で・共同)。
  • 岡田外相「(移設問題が)日米間で合意できないと、(海兵隊グアム移転などに)影響が及ぶ可能性は否定できない」。鳩山首相「5月末までに必ず決着させる」(22日、衆院予算委・読売)
  • ■県民の意思は明確
     沖縄県議会は24日、「日米両政府が普天間飛行場を早期に閉鎖・返還するとともに、県内移設を断念され、国外・県外に移設されるよう強く要請する」との意見書を全会一致で可決、政府に「県民の意思」を突きつけた。県議会が「県外・国外移設」の決議・意見書を可決したのは初めて。
     政府は、移設先をアレコレ探す前に、まず「世界で最も危険な普天間基地の即時閉鎖・返還」(11・8県民大会)のための米政府との本腰を入れた交渉を行うべきである。
    (中)
    2010年2月23日号
    ■岡田外相発言 沖縄県民の心もてあそぶな
     「県民や首相の意思に背反する自らの理不尽さを恥じず、外交トップが米政府、米軍の言いなりになる。その姿を見る県民の落胆は大きい」―琉球新報3日付社説の冒頭部分である。
     普天間基地の「移設」問題で「普天間のほかになければ今のままということもあり得る」(1日)と、述べた岡田外相のことだ。先の名護市長選で辺野古新基地建設を拒否した民意を「斟酌しなければならない理由はない」と言い放った平野官房長官に続く常軌を逸した発言である。
     鳩山首相は、3日の参院本会議で「(普天間)飛行場が固定化することは何としても避けたい。(移設先が決まらず)最終的に元に戻って来ることはしない」(読売)と答弁。閣内不一致も甚だしい。
     沖縄タイムスによれば、「県議会与党最大会派の自民は4日、議員総会を開き、米軍普天間飛行場の県外移設を求める意見書・決議案を10日開会の2月定例会に提案することを全会一致で決めた」。
     名護市長に当選した稲嶺氏は6日、朝日新聞のインタビューに応じ、普天間基地の辺野古への移設について「約束を守れないときは、自分が(職を)降りる」と述べ、移設反対の公約を市長の職をかけて貫く考えを強調した。
    ■ハイチPKO 中央即応連隊が先遣隊で
     政府はPKO法に基づき、大地震で被害を受けたハイチに陸自の施設部隊350人を派遣するが、海外派兵の中核部隊である中央即応連隊などの第1陣(約160人)が6日、出発した。期間は11月末までの約10カ月間。
     陸自は、仮設住宅の用地造成やがれき除去、道路整備などを行うとしている。武器は拳銃、小銃、機関銃を携行。すでに参加している医療部隊は丸腰である。
     海外派兵が主任務である中央即応連隊が乗り込み、海外の実戦任務で空中給油機が初めて投入されることは重大である。
    ■自民党 今国会に恒久法案提出へ
     時事通信によると自民党は5日、「一般法(恒久法)に関するプロジェクトチーム」(中谷元座長)の初会合を開き、月末をめどに恒久法案を取りまとめることを決めた。武器使用基準の緩和などを議論し、単独で今国会への提出をめざす。
     また、自民党は4日、インド洋での給油支援活動を復活させる特措法案を議員立法で参院に提出した。法案の内容は、1月15日に失効した新テロ特措法と同様のもの。
    ■「真保守研」が名称変更 「創世日本」がスタート
     保守勢力の再結集を掲げる自民党国会議員を中心とした「真・保守政策研究会」は5日の総会で、会の名称を「創世『日本』」に変更することを決めた。
     安倍晋三会長はあいさつで「誇りある国を創りたいという願いを込めて、創生日本と名称を変更した」(同氏HP)と述べ、研究会にとどまらず、今後は全国運動を展開することが目的だと強調。
     運動方針では、政権奪回や戦後レジームからの脱却をめざすことなどが盛り込まれている。
    (中)
    2010年2月9日号
    ■安保改定50年 民主党政権の安保・核政策
     安保条約は1月19日、改定から50周年を迎えた。鳩山首相は談話を、日米安保協議委員会(両国の外務・防衛閣僚)は共同声明を発表した。
     「談話」は「日米安保体制を中核とする日米同盟」を深化させる両国政府の共同作業の成果を年内に示すことを表明している。
     また、「北朝鮮脅威論」を全面に押し出して「日米安保体制に基づく米軍の(核)抑止力」の役割を強調し、自公政権の安保・核政策を踏襲している。
     「共同声明」では、「この地域(東アジア)における最も重要な共通戦略目標は、日本の安全を保障し、この地域の平和と安定を維持することである」、そのため「日本と米国は、これらの目標を脅かしうる事態に対処する能力を強化し続ける」、さらに「閣僚は、グローバルな文脈における日米同盟の重要性を認識し、さまざまなグローバルな脅威に対処していく上で、緊密に協力していく決意である」ことなどが確認されている。
     自公政権が推進してきた日米軍事同盟の再編・強化路線を継承するものであり、安保政策における民主党と自民党との違いがほとんどないことが改めて明らかになった。
    ■民意は辺野古新基地ノー 政府は腰を据えよ
     名護市長選で辺野古新基地建設を拒否する民意が示された。
     「鳩山政権は示された民意をしっかりと受け止め、迷うことなく、間違いのない決断をしてほしい」(琉球新報社説)。ところが政府は民意をしっかりと受け止めるどころか混迷の度を深めようとしている。民主党は稲嶺氏を推薦した。政府は稲嶺氏の勝利を苦々しく思っているのだろうか。
     政府・与党の「沖縄基地問題検討委員会」の責任者である平野官房長官にいたっては、会見で「一つの民意の答えとしてはあるだろうが、検討していく上では、しん酌しなければいけないという理由はない」(同紙)と述べ、民意を無視する暴言を吐く始末である。
     さらに鳩山首相は記者団に「市長選結果は一つの意思と受け止めるが、ゼロベースで臨む」と語るにとどまり、辺野古案を選択肢から外そうとしない。
     「普天間の『県外・国外』移設を求める機運は選挙結果を受けますます高まっている。県内容認派だった自民、公明も方針転換し、県議会は県外・国外決議を検討している」「沖縄基地を固定化する『抑止論』『地理的優位性』といった言葉はもはや空虚だ」(沖縄タイムス社説)。
    ■自民大会 新綱領採択新憲法2次草案策定へ
     自民党は1月24日の党大会で、05年に改定して以来となる新綱領を採択した。「政策の基本的考え」(7項目)の冒頭に「新憲法の制定」を明記。
     運動方針では「立党50年党大会(05年)で公表した『新憲法草案』を精査・推敲し、早期の憲法改正を実現」するとして、第2次草案の策定を示している。
    ■新テロ特措法失効 海自インド洋から撤退
     新テロ特措法が1月15日失効し、2001年9月のアメリカ同時テロ以降、一時中断をはさんで8年にわたってインド洋で米艦船などに給油支援を行ってきた海上自衛隊が撤退した。
     自公政権は、アフガニスタン領土での武力行使ではないから憲法違反ではないと、給油活動を正当化したが、現に戦争を行っている軍隊の活動を支援したことは明らか。給油支援によって米艦船のアフガン空爆を支え、罪のないアフガンの人々の殺りくに手を貸し、憲法を踏みにじったことは重大である。
     撤退は、憲法違反の派兵に反対する世論と運動の力である。しかし、アフリカ東部ソマリア沖には、まだ陸海空3自衛隊が派兵されている。
    (中)
    2010年1月19日号
    ■大衆運動の強化へ
     「国会改革」法案、「普天間基地」問題
     連立与党3党は年末の28日、幹事長・国会対策委員長会談を開き、官僚答弁の禁止を柱とした「国会審議の活性化のための国会法等の一部改正について(骨子案)」を了承した。3党は通常国会に提出、成立させる方針。
     法案骨子は、@政府参考人制度を廃止して官僚答弁を禁止するA各委員会で官僚らから意見を聞く必要がある場合には、法案審議とは別に「意見聴取会」を開くB内閣法制局長官を「政府特別補佐人」から除外し、国会答弁を禁止するなど。内閣の憲法解釈を担当してきた法制局長官の発言を封じ、憲法解釈を「政治判断」で行うことになれば、いよいよ解釈改憲の拡大につながっていく。
     鳩山首相の首尾一貫しない態度によって普天間基地「移設」問題が混迷を続けていたが、年末の28日に政府・与党の「沖縄基地問題検討委員会」が発足した。「検討委員会」は、1月中に各党の候補地案を持ち寄り、5月をメドに結論を出す方針を確認した。
     事実上の9条改憲につながる「国会改革」法案阻止、普天間撤去・辺野古新基地建設阻止の大衆運動の強化が問われる。
    ■2009年―主な改憲の動き(下)
    〈7月〉
     17日 防衛省、09年度防衛白書発表
     21日 衆院解散
    〈8月〉
     4日 「安全保障と防衛力に関する懇談会」が麻生首相に報告書提出
     30日 総選挙、民主党圧勝・自民党惨敗
    〈9月〉
     16日 第172特別国会召集 鳩山内閣発足(民主・社民・国民新3党連立)
     17日 岡田外相、日米の核密約について外務省内にある資料を調査するよう指示
    〈10月〉
      7日 民主党の小沢幹事長、会見で政府の憲法解釈を担当してきた内閣法制局長官の国会答弁禁止の考えを示す
     20日 政府、安全保障会議で「防衛計画の大綱」の策定を来年末まで先送りする方針を確認
     ゲーツ米国防長官来日、「シュワブ沿岸への移設が唯一の道」と、普天間基地問題で足並みの乱れが続いている鳩山内閣を恫喝
     26日 第173臨時国会召集
    〈11月〉
     4日 鳩山首相、衆院予算委で集団的自衛権について「憲法9条の解釈をこの内閣で、現在のところ変えるつもりはない」と答弁
     平野官房長官、会見で憲法解釈について、過去の内閣法制局長官の答弁にしばられず、政治主導で判断していくとの見解を示す
     13日 オバマ米大統領初来日 首脳会談で鳩山首相、「信頼して」と発言
     16日 民主党役員会、「官僚答弁の禁止」などを柱とする5項目の国会審議活性化案を了承
    〈12月〉
     15日 鳩山内閣の基本政策閣僚委員会、連立3党で作業部会を設置し、普天間基地の「移設先」を再検討することを決める
     26日 鳩山首相、憲法改正について、まず民主党内で議論を再開すると表明
     28日 政府・与党、普天間基地の「移設先」を検討する「沖縄基地問題検討委員会」の初会合で、来年1月中に各党の候補地案を持ち寄って検討に入り、5月をメドに結論を出すことを確認
     与党3党、幹事長・国対委員長会談を開き、民主党が提示した「国会法等の一部改正について(骨子案)」を了承
     29日 民主党の小沢幹事長、与党3党の幹事長・国対委員長の会合で、普天間基地の「移転先」について下地島(沖縄県宮古島市)を検討すべきだとの認識を示す
    (中)