「新社会兵庫」 10月28日号
- 民主党にすべては託せない
新テロ法延長を事実上容認
上野恵司(新社会党兵庫県本部副委員長)
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街中で見る総選挙向けの政党ポスターから「生活」という文字が眼に飛び込んでくる。「生活を守るのは、○○党です」「国民の生活が第一。」――それだけ国民の生活が厳しく、生活破壊が国民を襲っている今日の情勢がそのまま表われている。しかし、与党がそれを言うのは、日常会話では「お前が言うかよ!」とツッコミを入れたくなる類のもので、誰が国民の生活をここまで追い詰め、破壊してきたのか。すべての元凶は、その破綻がいま世界的に露呈してきた新自由主義であり、その政策的な展開であった「小泉構造改革」を推進してきた自公政権ではないか。今度の総選挙ではそうした自公政権を倒し、それに代わる政権をつくるべきなのは言うまでもない。その意味で、新自由主義、小泉構造改革に国民が審判を下す選挙である。
と同時に、争点の主軸に座るべきもう一つの課題は、来年1月に期限が切れる新テロ対策特措法(洋上給油新法)の延長を許すのか、それとも延長を図る同法改正案を廃案にして自衛隊を帰還させるのかを国民が選択することであるはずだ。
海上自衛隊によるインド洋での給油活動は、米国ブッシュ政権が起こしたアフガン戦争を当時の小泉政権がただちに支持し、米軍を中心とする多国籍軍に給油することから始まり、その後のイラク戦争でイラクを攻撃する米艦船にも給油は続いた。明らかな戦争加担行為であり、憲法違反そのものである。
その選択は、根本的には憲法9条、改憲問題に対する政党の態度を問うことでもある。
しかしいま、この争点が総選挙からなくされようとしている。解散までの国会運営で、この法の延長が決まってしまいそうな国会情勢だ。解散を急がせるあまり、民主党はとんでもない過ちを国会のなかで犯した。新テロ対策特措法改正案には反対はするが、採決には早期に応じるという態度を取ったことである。これによって衆院での再可決は可能となり、同法改正案は10月中には成立する見込みとなってしまった。これは事実上、給油活動の延長を容認すること以外のなにものでもなく、総選挙での大きな争点を自ら取り下げてしまうことになる。「解散のため」という言い分は、本末転倒だ。
延長を図ろうとする与党を許せないのは言うまでもないが、解散のための取り引き≠ナ採決に応じるとした民主党も同じく責任が問われる。その態度次第で同法改正法案を廃案に持ち込むことは十分に可能だからである。
1年前のテロ対策特措法の延長の審議をめぐって、民主党は対案を提出しながら徹底的に抵抗したのは何だったのか。もちろん、私たちは給油活動の延長を許さないために、民主党に対して、徹底対決で廃案に持ち込むよう国会運営の態度を改めることを期待したい。しかし、この問題は、あらためて民主党の何たるかを国民に示したものであり、民主党にすべてを託すことができない、ということを明らかにした一つだろう。例のツッコミで言うなら、「やっぱり、お前もかよ!」ということになる。
改憲政党、民主党の一端が見えた。05年には自衛隊が「国連多国籍軍」への参加を可能にする「憲法提言」を行ない、昨年の参院選ではこの案をもとに論議を進めるとし、軍事利用を可能にする宇宙基本法に賛成した。そして、継続審議となっていま、新テロ対策特措法改正案と同時に審議されている民主党の対案(「テロ根絶法案」)は、ISAFを容認、アフガニスタンへの自衛隊派遣を可能にし、派兵恒久法の検討さえ盛り込まれた代物で、自民党はむしろ、これをうまく利用して自らの政策として実行したいくらいの内容であることを私たちは忘れてはならない。
総選挙で自公政権が交代したとしても民主党にはすべてを、とくに憲法9条を守ろうとする立場からは、託せないのである。
政策的に大差がない2大政党ではなく、平和憲法を守り生かす「第3極」、つまり真の対極づくりが切に求められている。今度の選挙はその力を大きくするための選挙でもある。
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- 「教育委員はお飾りに」「委員ではなく事務局が好き勝手に意見を言うのは暴走だ。(旧日本軍の)関東軍と同じだ」、全国学力テストの結果公表に消極的な地教委を「くそ教育委員会が…」。橋下大阪府知事の暴言は止まるところを知らない。その意図するところは、現憲法体制下の自治体での知事部局・市長部局とは一呼吸措いて行われるのが建前である教育行政の在り方をぶっ壊したい≠ニいうことだろう▼現在の教育委員会は、事実上文科省の下請け機関であり、すこぶる評判が悪い。橋下の暴言も案外マスコミ受けしているのだ▼この制度を戦後日本に持ち込んだアメリカ。新自由主義改革の進展のなか、ニューヨーク州では非効率的な官僚制教育システムを打破するとして、メイヨラル・コントロール≠ニよばれる市長直々の教育行政が展開され、教育委員会制度はほとんど形骸化されてしまっているという▼日本における新自由主義教育改革も、一方で日の丸・君が代強制などの管理強化の一面とともに、グローバル化した経済を担う人材養成には「戦後教育は桎梏」とばかり、その改変の一つに旧来の教育委員会制度をターゲットにしている。橋下知事はその露払いを演じているのだ。
- 社会保険の仲間へ
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今夜も10時半を過ぎても社会保険事務所の明かりがついている。すべての問題がそこで働いてきた職員と労働組合の責任にされて、毎日非難の声を浴びながら仕事を続けている姿が目に浮かぶ。心身の不調に苦しむ職員が増えているという。
社会保険庁がオンラインシステムによって一括管理している国民年金、厚生年金各保険制度に係わる被保険者と年金受給者の膨大な名簿。保険料納付を義務づけられた40年という長い間には住所や名前や勤務先が変わる人が少なくない。そのつど被保険者番号も変わると、よほど念を入れた点検を定期的に行わねば同一人の記録が他人のものとして分散、また、その逆も起こりうる。管理する量が多ければ多いほど間違いが起こりやすい。
社会保険事務所も市町村も紙の個人台帳をもとに保険料記録管理を行っていた時代は定期的に台帳の記録突合が行われていた。不明や食い違いが発見されればすぐに調査ができた。
「オンラインシステムを導入して年金記録を中央集中一元管理する」ということは厚生省(当時)社会保険庁の至上命題であった。戦費調達を目的として出発した年金保険制度は敗戦後、憲法25条に規定される国民の生活を保障するための国の責務に位置付けられ再出発を果たしたが、集められて運営される保険料はその時々の国の政策遂行を支える資金となった。
労働組合は、職員の身分も行政の在り方も、より被保険者に近い自治体が主体になるべきだと要求した。二度と国が年金資金を恣意的に軍事費にまわす時代が来ないよう地方自治(民主主義)の強化を目的にした。それに対し国は、職員の身分も行政システムも年金資金管理もいっそう中央集権体制を強めようとしたのだ。
導入を急いだ結果、問題になっている記録の不備は詳細に検証されないまま入力されたに違いない。ひとりの人間の記録は基本的には40年経って年金受給を請求する際に確認するのだから、オンラインシステム導入のすべてに責任を持つと大見得切った社会保険庁は、後で調べれば済むとおそらく高をくくっていたのであろう。そのツケを今、現場の職員がすべて負わされている。そして国が狙った「システムと身分の中央管理体制」は、年金から介護保険料や後期高齢者医療保険料を天引きするという「魔法」を可能にし、国の恣意がまかり通ることとなった。
現場は苦しんでいる。しかし、職員の怠慢は組合が生んだサボリ病という宣伝の影で進む、国の「年金制度=国民の生活保障への責務」の放棄を指弾する力まで失ってほしくない。それは現場で働く人間のプライドを守る事でもあるのだから。
(岡崎)
- セーフティネットとは・・・
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神戸ワーカーズユニオンは今年、結成20周年を迎えた。いま、20周年企画として、働く者のセーフティネットについて取り組もうとしている。
今年5月、「助けてください。…お金が無く…ご飯食べてません。身寄りも無く親しい人も無く…給料前借り出来ないので、どうしようも無く路頭にさまよっています」というメールが入った。
このメール以降、相談内容が少しずつ変わった。37歳男性。自動車部品の運搬で手取り18万円。社会保険や労働保険に加入してもらえない。お金がないから無保険、無年金。「病気になって働けなくなったら、死ぬしかないですね」と言う。将来に希望を持てず、生きるか死ぬかの戦場の中のような生活に疲れ切っているように感じられ、すごくショックだった。
ひと月前の相談では、20代の女性派遣労働者が直接雇用を希望していた。派遣先正社員と同じ仕事をしているのに、なぜ直接雇用してもらえないのかと、不安と不満を漏らした。彼女は「私の人権はどこにあるんですか」と言った。恥かしい話だが、私は彼女の問いかけに満足に応えることができなかった。使い捨ての派遣労働が人権侵害をされていることを感じながら、何もできていないことを突かれたようで、心が痛かった。
ワーカーズの事務所から東へ5分ほど歩くと、賀川豊彦記念館がある。賀川豊彦は神戸の貧民救済活動をしていた人。弱者とともに歩んだ彼の勉強をしながら、セーフティネットとは何か、どのようなものが必要なのか、生活保護や雇用保険・社会保険についても勉強しようと計画している。
雇用保険に加入してもらえない労働者は、解雇された次の日から路頭に迷う。そんな相談は少なくない。ワーキングプア、ネットカフェ難民と問題になっているが、救済制度はほとんどない。セーフティネットはユニオンだけで作れるものではない。専門分野の知識を持った人、作ろうと熱意のある人たちが必要だ。弱者とともに歩んでいけるユニオンになるために、がんばってみようと思う。
木村文貴子(神戸ワーカーズユニオン書記長)
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