「新社会兵庫」 12月23日号
 NHK大河ドラマ「篤姫」が高視聴率で終了した。歴史ものは苦手で、今回も1回も見なかった。見た周りの人に、どこが面白いの?と聞いてみた。「女性の視点で描かれてるから」。そんな感想だった。「女性による脚本で、言葉づかいが平易だったこと、薩摩時代から大奥に入ってからも、『家族・親子・夫婦の絆』が主題だったことも視聴者の気持ちに合ったのだろう」―そんな批評家のコメントもあった▼ところで、世相を1字で表す「今年の漢字」が「変」に決まった。“チェンジ”を掲げて当選したアメリカのオバマ次期大統領、株価やガソリンの価格の変動など生活に直結する「変」が選ばせたようだとある▼しかし、オバマに変わってもアメリカは戦争を止めないだろう。イラクから撤退して、新たな戦場をめざすオバマとアメリカ。アメリカの戦費縮小のため、日本には自衛隊海外派兵恒久法が要請されているのに。そんなことはテレビでは言わない▼不況になると「家族の絆」が、テレビでも強調される気がするが、穿った見方だろうか。「家ご飯」しかり。外食ができない家計は我が家も同じ。結局、コタツでテレビが安上がりということだ。来年はテレビ漬けの生活を“チェンジ”したい。
精神保健福祉士の仕事
 去年1年間、夜間の専門学校に通い国家試験にパスし、精神保健福祉士なる免許を取った。
 もともと認知症のお年寄りが暮らすグループホームに、縁あって週2日働いていたので、精神保健の仕事をすぐする気はなかったのだが…。これも縁だろうか、実習先の施設長から「人を探してるんや。それも若い人じゃなく、ある程度年配の人が良いんやな」という話をもらった。なんで年配?と思ったけど、その人を信頼していたので二つ返事でOKした。週3日なら、これまでやっている仕事にも迷惑をかけないし、家から近いし、面白そうとワクワクした。
 人の長所と欠点は表裏一体のもの。私は興味が多くてあれもこれもやってみたい。よく言えば意欲的、行動的? でも、裏を返せば飽きっぽい。ある程度わかってくると飽きてくる。だから、その仕事なり責任を果たすためには、別に興味を持てるものとバランスを取っていくのが私のやり方だ。これしかできないのだから仕方がない。物事を深く追求していくことができる人はすごいなと、本当に尊敬する。
 さて、ほとんど何もわからずOKして、いざ面接の日。軽い気持ちで行ったら、法人理事長、施設長、課長、人事担当者の4人も目の前にいて、内心焦った。1時間ほどあれこれ聞かれて。でも、そこは経験、落ち着いた振りをして難なくOK。
 仕事は、相談支援員である。救護施設の通所支援を担当している。ご存じのように介護保険施行後、お年寄りは施設から在宅へ、自己負担へとの流れが進んできた。精神障害者も同様で、社会的入院といわれる3万人以上の人を退院させる施策が進められている。たとえば県立のK病院は現在精神科救急の拠点として整備し、慢性期開放病棟の閉鎖が進んでいる。どういうことか。20〜30年も入院していた人たちを退院させるのだ。なぜ長期間入院せざるを得なかったのか、それを考えると、退院が自宅やアパート暮らしに直結するとは考えにくい。退院後は介護施設、民間の精神科病院、その他施設へ移らざるを得ないだろう。
 私の働いている救護施設は9割が精神障害者だが、病院から入所希望がどんどん来る。受けるには、入所者を退所させなくてはならない。退所者を原則2年間支援するのが通所支援事業だが、アパート探しから生活が安定するまでつきっきりの相談、支援が続く。引越しの準備、布団や家具など生活品の購入に始まり、電話の取り付けなどで一息。その後、生活費の管理、服薬の管理、通院支援、家賃や公共料金などの振込み、掃除、洗濯、買い物、生活全般にわたる。だから生活経験のある人が良いのだと今わかる。大変だがアパートで活き活きしていく姿を見ると嬉しくなる。
 一方で、退所で病状が悪化し再入院という事態もある。施設より地域で暮らせれば、その方がよいのだが、地域生活を支援するには、もっとマンパワーが必要だと思う日々である。
(Y)
深刻な人手不足と経営の介護現場
 少し前の新聞に「介護職不足」「離職率が2割を超える」という字が躍っていた。それもそのはず、「平均賃金が全産業労働者の6〜7割」なのだから当然で、「90%越えの訪問介護事業所が人手不足」の現状である。実際、私の所属する事業所も人員は足らず、経営は厳しい。3年に一度の介護報酬の見直しで、全体で03年にはマイナス2・3%、06年にはマイナス2・4%と報酬減が続き、つぶれてしまった事業所もある。介護職不足は結局、高齢者、利用者が必要な介護を受けられない状況を生んでいる。
 この場に及んで厚生労働省もようやくそのことに気づき、10月30日に09年の見直しでは全体で3%の報酬引き上げを決めた。初年度は介護保険料負担増を緩和するために国費1200億円を充てる方針らしい。そして常勤介護職の平均賃金を2万円アップさせ、全国で10万人の介護職員増をめざすそうだ。
 一見、解決策のように見えるが、現場からすれば、赤字額はすでに大きく、焼け石に水で信憑性がない。例えば、訪問時間が1カ月1千時間程度のヘルパー事務所だと月報酬は300万円程度、単純計算3%増で月9万円増だが、それだけの訪問時間をこなそうと思うと、利用者宅への移動時間や報告記録時間等を含めると1日6時間訪問・25日営業で、常勤換算7人くらいの人員が必要である。この計算だけでも2万円増は不可能である。
 さらに介護保険制度では、サービス利用料は報酬の1割と決められているので、報酬アップは利用料アップにつながり、乏しい年金生活者は利用の自粛を始めてしまう。つまり、「現在の週3日のヘルパー利用を週2日で我慢」ということだ。
 また、「ケアプラン見直し事業」という介護保険制度の締め付けで、「サービス提供責任者」に課せられた会議や記録作業ばかりが増えるが、この仕事には1円の報酬も付かない仕組みになっている。
 利用者の入院やショートステイ利用などで月によって賃金の額に差があり、不安定な収入であること、豊かな生活経験や専門的な知識で1人でこなさなければならない仕事であること、利用者によっては昔のお女中扱い≠ウれることなどの精神的ストレスなどがあり、ヘルパー職を求める人は少なく、厚労省の思惑通りに事が進むとは全く考えられない現状である。   
菊地真千子(ヘルパーユニオン)