「新社会兵庫」 6月9日号
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- 5月最後の週の中頃からは電車の中でもマスク姿がめっきり減った。学校の休校措置も月末までにはすべて解除され、とにかく街ににぎわいや笑顔が戻ってきた。何よりである▼もちろん、新型インフルエンザの感染がなくなったわけでもなく、秋ともいわれる「第2派」へのさまざまな教訓化や備えなど、対策の緩みはあってはならない▼だが、それにしても、マスクがまちを席巻≠オたかのようなあの光景には、異様さどころか、ある種の恐ささえ感じた。「白いファシズム」と呼んだ人もいる。人にうつさないということでは効果はあっても、通常のマスクでは感染防止にはならないということが医者からも提起されている。それでも、電車内や室内でマスクを着用していないと、周囲からまるで犯罪者でも見るかのような視線を浴びたという話はよく聞き、自身もそれに近い経験をした。世界で日本だけが「マスクだらけ」の国になった▼これは何を物語るのか。政府・行政の対応のあり方、マスコミの報道のあり方…。勤務先の命令≠ニいう要素も強い。しかし、多くの人がそれに従う社会があった▼今回の「騒動」は、経済への影響だけでなく、人権面での影響も大いに検証の必要があろう。
- 政権交代の意義は大衆の政治力自覚の促進にある
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目前に迫った総選挙で政権獲得を果たすための必要なプロセスと判断し、民主党は代表交代に踏みきった。鳩山由紀夫を新代表に選出したが、ことが民主党の思惑どおりに運べば、やがて鳩山首相が実現することになる。
そうなれば、わが国の政治に他国に例をみない珍事が現出する。3年前の安倍晋三(岸信介元首相の孫)に始まって、1年ごとに福田康夫(福田赳夫元首相の子)、麻生太郎(吉田茂元首相の孫)、鳩山由紀夫(鳩山一郎元首相の孫)と、元首相を祖父や親にもつ政権が4代つづくことになる。普通の議会制民主主義の国では考えられない政治現象である。
折りしも国政選挙における世襲立候補を党(自民党、民主党の話であるが)として自粛、制限しようとする動きが話題になっている。国民の多くが憂えてやまない今日の政治の腐敗、劣化をもたらしている要因の一つになっている世襲の弊害、世襲のはびこりに、その上にアグラをかいてきたはずの勢力でさえ目をつむっているわけにはいかなくなったということであろう。
もちろん、世襲による政治の劣化は遺伝学の問題ではなく、社会的、政治的条件の問題である。必要な辛酸をなめることも、試練に耐えることも、能力を研磨することも、世襲候補は世襲がもたらす条件ゆえにフリーパスであったであろう。今の言葉で言えば、多くは審査・検査ぬきの偽装品まがいであろう。劣化・退化は当然である。世襲政権の連続という現象も、このようなぬかるみの中の出来事である。鳩山政権ができたとしても、このぬかるみから足を抜くことはできないだろう。
理念も哲学も溶解し、緊張も活力も喪失した弛緩した政治の現状は、もっぱら世襲によってもたらされたものであったかと言えば、いちがいにそうは言えないであろう。世襲がそういった状況に棹を差し、加速をもたらしたとしても、根本的な要因は他に求めなければならず、ここ20年間ほどの政治、経済、社会の中に探さねばならないであろう。
現れた最も顕著な変化は、政治の場に作用する国民大衆の力である。大衆の力を弱め、集中的に働かないようにする作業がすすめられるとともに、大衆を政治参加の場から観客席に追い込む工作も執拗であった。総評に代わった連合のもとで、労働者の巨大なエネルギーは解き放たれる可能性を著しく弱めた。小選挙区制の導入によって選挙という政治闘争は勤労国民にとって、意思を政治に反映させる積極的なものから、選択を強いられるだけの消極的なものになった。
磁力が著しく弱まった政治という磁場は弛緩し退廃せざるをえない。さらに格差社会の進展、弱肉強食の是認による社会の崩壊などが重なったのである。
政権交代は、本来、政治の転換でなければならない。ここ20年進められた政治が民主党政権の実現によって転換するであろうか。民主党は、この間の政治の変化に対して自民党とほとんど変わることのない役割を果たしてきた。勤労者を元気づけ、勤労者の政治参加を促すような担い手になることはできないだろう。デパートでいえば、商品の並び方が多少変わったり、セールスポイントが変わったりするに過ぎないだろう。われわれが期待したいのは、包装が変わるだけでなく、商品そのものが変わることであるが、民主党製品の製造工程からして、それは無理であろう。
しかし、われわれは、与えられた条件によって、それに適応しつつ、追求すべきもの、つまり勤労大衆が自らの政治的力に気づき、積極性をとり戻すような政治の実現を見据えながら、自分たちの進路を定める義務がある。
政権交代が実現したとしても大きな政治の変化は期待できないであろうし、そのような幻想を抱かせるべきではない。しかし、政権交代によってもたらされるであろう小さな変化が、大衆が政治についていま以上に積極的に考えるきっかけになりうるなら、それらは見逃されてはならない。
政権交代の可能性は、われわれに大衆との接触、結びつきを強めよと命じている。
今村 稔(労働大学副学長)
- インフルエンザ騒動
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5月16日、新型インフルエンザの初の国内感染が神戸で分かり、東灘、灘、中央が休校。土曜の夜には兵庫、長田、北と休校は広がり、「日曜の朝、緊急職員会議を開く」という連絡があった。それから、雨の中を全職員で休校のお知らせを配った。風邪をひいて、このあと2日間休んだ人もいる。また、妊娠6ヵ月の人がいて、「雨の中を配らせてはいけない」と他の教職員が代わりに行った。
この後、月曜に家庭学習のプリント、健康管理のプリントなどを配布、水曜は健康確認、金曜には再開のお知らせを学級担任が配布した。
日曜の出勤など勤務について、代わりの休日と日ごろの超過勤務の回復となる割り振りを管理職にも要請、分会ニュースで呼びかけていたが、組合執行部や教育委員会からも同様の文書が入った。実際には、行事の変更などでなかなか休めなかったのだが…。
しかし、市教委、県教委、大元の政府の全校休校という大枠が大変だった。本当は発生した学級、学年だけでよく、一律に休校措置を押し付けられるのは、どこの学校も大変だ。休校すれば再開の手続きも必要になる。「状況や程度が分からなかったから」といわれるが、何か別の狙いを感じてしまった。
マスクの強制や入院の強制など、マスコミも含めて異常な反応だった。
このおかげで、保護者は仕事を休まざるを得なくなり、「生活面でも困る」という声や、「遠くても祖父母宅に預ける」「祖父母に来てもらう」という対応も聞いた。保育所も学童保育も休みでは働いている親にとって深刻な問題だ。
子どもたちも生活のリズムが崩れ、せっかく学校に慣れ始めていた1年生など、また母子分離ができずに登校を渋っていた子は元に戻るなあ、といったこともある。
弱者への対応も問題だ。妊娠している人について、この1週間は守れても、再開すればどうするのかという方策がない。ずいぶん前に風疹が流行ったときにも同じ心配をしたが、改善されていない。糖尿病など持病のある人にも対応できていない。非正規の労働者にとっても対応できないことがあるかもしれない。
また、「優先的にタミフルを服用すると良い。副作用もない」という報道もあるが、タミフルについては、日本消費者連盟事務局長の山浦康明さんの文章(5月28日)では、「タミフルの毒性が妊婦や新生児にも悪影響を与える。タミフルは、インフルエンザ脳症を予防するものではない。タミフル服用時にはすでに病態形成が進行しており、服用する意味がない。新生児の発達を阻害する可能性もある…」とある。産婦人科医も「個人の問題。自分で判断するしかない」というのでは、妊娠している人にとってはますます不安はつのるばかりだ。
デイサービスや高齢者へのお食事会への誘いや配食サービスもストップさせられたそうだ。やはり、こういう際の命を守る対策は必要である。
今後は、「新型インフルエンザ感染者が1名出れば学級閉鎖7日間」という目安も出された。しかし今回、子どもたちや保護者、教職員の受けた影響は大きなものだ。
95年の震災のときにも思ったが、こういうときに本当に必要なのは、「危機管理体制」ではなく、正しい情報と人手と命と人権を本気で守る労働組合である。
(神戸T・K)
- 「派遣切り」で労働審判申立て
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岡山駅前の大通りは「桃太郎通り」と呼ばれ、人通りも多く、路面電車も走るメインストリートである。この通りに面してそびえ立つ、派遣会社グロップの自社ビルに向かって、「派遣労働者を路頭に迷わすな!」の声が響き渡る。
グロップは、岡山に本社があり、全国に営業所を持つ派遣会社である。明石営業所に登録し、製造業で働いている二人から相談を受けたのは、今年の2月のことである。「2月から4月末までの派遣契約を結んだばかりなのに、2月4日に解雇を通告された」という相談であった。
「派遣切り」が社会問題化するなかで、厚生労働省は、「派遣先会社と派遣会社の契約(派遣契約)が切れても、派遣労働者と派遣会社の労働契約は継続しており賃金を支払う必要がある」との通達を出している。
ユニオンは、雇用期間満了までの賃金の支払いを求め交渉を行ったが、グロップは「払わない」と居直るのである。それに、労基署から指導されても一向に態度を変えないのである。
そこで、岡山での抗議行動を取り組むとともに、5月1日に神戸地裁へ労働審判の申立てを行った。
申立て後の記者発表で、二人は「派遣ということで、正社員よりもきつい仕事をこなしてきたのに、いきなりクビ。派遣会社は自分たちのことを守ってくれなかったし、謝罪の言葉もない」「お金が欲しいのではなく、派遣という形態で働く人たちに正当な補償がなされるように申立てた」と話していた。
先日も、岡山で2回目の抗議行動を行った。のぼり旗を持ち、首から看板をぶら下げ、そして黄色のユニオンジャケットで身を包み、鬼退治≠ナある。毎回、岡山地区労の皆さんに協力していただいているが、見ず知らずの地での応援は、組合員をとても励ましてくれている。行動のたびに、マイクを握り訴える声が、大きく、そして力強くなっている。
西山和宏(あかし地域ユニオン委員長))
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