「新社会兵庫」 7月28日号
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- 24万3692。昨年4月1日時点の「被爆者手帳」保有者数である。毎年6月にはこの数が発表されるのだが、今年は厚労省が忙しくて手が回らないのか、まだ発表されていないという。1年間に7〜8千人の被爆者の方々が亡くなっていく。不十分な被爆者援護や差別の苦しみをはじめ、高齢化する被爆者の切実な思いを訴えられた神戸市原爆被害者の会・会長のお話だ▼ヒロシマ、ナガサキの被爆から64年。そのヒロシマで今年8月6日、日本会議広島が「ヒロシマの平和を疑う」と題して、前航空幕僚長・田母神の講演会を開催するという。これに対し、秋葉広島市長は「8月6日は、被爆者や原爆死没者の遺族をはじめ世界中の人々にとって、原爆死没者の霊を慰め世界の恒久平和を祈念するかけがえのない日。心静かに原爆死没者の慰霊を行う被爆者や肉親を失った遺族の悲しみを、いやが上にも増す結果となりかねない。この日の開催は避けてほしい」と要請している(広島市のHPから)。しかし、主催者はこれに応えない▼このところ、市民の運動に挑戦的な右翼の行動が目立つ。表現の自由とはいえ、核武装や先制攻撃のことも平然と言い放てるようになった最近の風潮が不気味だ。
- 「改憲手続き法」を実施させない運動と戦線の拡大を
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先月11日、衆議院本会議は野党が反対する中、憲法改正国民投票法=「改憲手続き法」を始動させるための、与党が提出した衆院憲法審査会規程を強行採決した。「改憲手続き法」は07年5月、安倍内閣と与党によって強行成立させられ、3年間の凍結期間を経て来年5月に施行される。ところが「改憲手続き法」は、衆議院では審議不十分なまま強行採決され、参議院では18項目もの「附帯決議」がつけられて採決されたというほどの欠陥立法である。
「改憲手続き法」はその「附帯決議」によって、2010年5月の施行前に、@「国民投票の対象・範囲」について、意義と必要性について検討し、適切な措置を講ずるA成年年齢についての必要な法制上の措置を施行前に完了するB改憲案の「内容に関する関連性の判断」は適切かつ慎重にC最低投票率制度の意義・是非について施行までに検討D公務員等及び教育者の地位利用による国民投票運動の規制については、慎重な運用を図り、「禁止される行為と許容される行為」を明確化するEテレビ・ラジオの有料広告規制は本法施行までに必要な検討を加えるF凍結期間中に、憲法調査会で指摘された課題について十分な調査を行うなど、18項目の附則が定められている。これらについてこの2年間、政府・与党は一切実行せずに、衆院だけの審査会規程の強行を先行させたのである。
一方、総務省は「平成22年5月18日から『憲法改正国民投票法』が施行されます」などと題し、あたかも来年から「憲法改正国民投票」が始まるかのようなリーフレットを、莫大な予算を使って500万部を全自治体に配布した。さらに、全自治体に総額約46億円の投票人名簿システム構築交付金を交付した。神戸市でも今年度1億円の予算が計上されている。
「改憲手続き法」は、法律として不可欠の重要な問題を曖昧にしたり、先送りしたもので、法としての体をなしていない欠陥立法である。現在の衆議院の多数派は05年の小泉内閣当時の「郵政選挙」によって形成されたもので、その直後、改憲を掲げた自民党は参院選で大敗し、安倍内閣は退陣した。そして次の福田内閣、麻生内閣は民意の審判をまったく問うていない政権である。こうした政権与党が、憲法という最高法規の「改定」に関わる重大問題を単独で採決したのである。18項目の重大問題を不問に付したまま、まして衆院選を目前に控えた今日、民意を問うことなしに強行された衆議院憲法審査会規程は不当きわまりないものだ。
今、明示的な改憲勢力による攻勢は安倍内閣の崩壊とともに息を潜めているが、黙示的には着々と進行しているべきとみるべきではないか。派兵立法、一院制論議、道州制、北朝鮮核ミサイル問題に伴う敵基地攻撃論など、改憲不可避の世論作りに効果的な政策を掲げている。次期総選挙での政権交代や政界再編によって、9条改憲など露骨な改憲がたとえないとしても、改憲論議の必要性を指摘し、また小沢一郎流統治機構改変にみられる、国の仕組みを変えるという触れ込みから改憲機運の盛り上げを図る可能性もある。その意味では、現在、膠着状態にある改憲状況が衆院選後、一気に動く可能性がある。
また、新憲法制定議員同盟(会長・中曽根康弘元首相)の役員に昨年3月、民主党の鳩山代表が顧問、前原副代表は副会長に就任している。そもそも民主党は改憲政党であり、鳩山氏も05年に自ら改憲試案を作成しており、小沢一郎も立派な自衛隊派兵恒久法必要論者である。「改憲手続き法」にしても、民主党はたんに手続きの問題だけで反対したのである。
今年の5月には日本青年会議所を使った全国改憲キャンペーンも行われ、改憲派の「草の根運動」もつくられている。来年5月18日以降、改憲国民投票はいつでも実施可能になる。1年後の参議院選挙では改憲が大きな争点となる可能性も高い。「改憲手続き法」を実施させない一点での共同戦線づくりや運動の準備を、新社会党や憲法を生かす会が軸となり始めよう。
中村伸夫(憲法を生かす会・神戸)
- ずっと残したいもの
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昨年の初夏、ある新聞にホタルが見られる川が兵庫県でもあると載っていたので見に行ってきました。
2、3匹いればいいだろうと思って出かけました。
7時半を過ぎた頃でしょうか、辺りが暗くなりはじめると、数え切れないほどのホタルがフワフワと光を放っているではありませんか。高速道路のすぐ下を少し上流へ行っただけの所なのに、こんなにたくさんいるなんて…。日々、都会で暮らしている私にとって、驚きと感動と感謝でした。人間がこれだけ自然をつぶしていっているのに、私たちを癒してくれる虫たちは、静かに時を過ごしてくれている。きっと地元の方々の努力のおかげでこうしてきれいなホタルの光が観られるのは、やはり感謝だと思うのです。
昨年に続いて今年も、と思いましたが、温暖化が進んでいるので時期も気になり、少し早めに地元の役所に電話をさせてもらいました。すると、思いがけない返事だったのです。ホタルを見に来た人がゴミを捨てて帰るので、朝にはゴミの山となって地元の方が困っていると言うのです。もちろん、ていねいな口ぶりですが、あまり見に来てほしくない様子が伝わってきます。その方の自宅前も川なので、ホタルはもう飛んでいますと教えて下さったことが救いでした。
信じられませんでした。お花見やハイキングのハイカーが、ゴミを捨てるというのは聞いたことがありましたが、ホタルを見てゴミを残して帰る人がいるのは残念でした。
今年も同じ場所へ行ってみました。すると、工事の途中らしく、土砂が川へ流れこんでいます。もうダメだろうと諦めかけましたが、さらに上流へ行ってみました。
やはり7時半を過ぎた頃です。今年も、ちゃんとホタルはいました。場所は、昨年より上流でしたが、数えきれないほどのホタルは、フワフワと光を放っていました。感動と感謝の気持ちが蘇り、こんなにすぐそばで自然破壊が進んでも、強く生きてくれていたんだと、涙があふれました。
来年も、その次も、ずっと残ってほしい自然です。
(みわ)
- 労働基準監督署の視点はどこに?
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中国人実習生問題は、彼女たちの帰国後も続いている。
4月末、労働基準法違反の長時間労働と未払い残業代に対して責任を果たそうとしない川上(株)が倒産することがわかった。このままでは、会社は法違反したことを反省せず、遵守しなくてもいい実例をつくってしまう。私たちは、会社に刑罰に科すため「告発」を行った。
当初、労基法第32条(労働時間/週40時間制限)、第37条(残業手当の支払い)と最低賃金法第4条違反で告発する予定だった。5月26日、神戸西労働基準監督署に行ったところ、監督官2人が説明を聞いてくれたが、「今日は正式に受理せず、告発状のコピーを預かって精査させてほしい」と言われた。食い下がったが、「受理しないとは言ってない」ということで、資料の一部とコピーを渡して帰った。
6月1日、監督署から電話があり、精査した結果を報告するということで、監督署に出向いた。
結果は腹立たしいものだった。労基法32条に対しては「36協定が会社から提出されているから立件しにくい」。最賃法4条については「うるう年に1時間あたり2円下回っているが、故意でなければ刑罰にあたらない」と言い、「絶対にクロにしたければ、労基法37条に絞ってはどうか」というのが監督署の結論だ。
悔しかった。36協定の届出がされても協定以上に働いていれば労働基準法違反だ。最賃も故意か、故意でないのか、どのように判断するのか。これでは、法律違反で働かせた会社がトクになる。
監督署は、和解金も問題にして、和解金で残業手当を支払ったと判断されれば、立替払い制度を使えないと言う。和解は、協同組合とユニオンとの間で結んだもの。監督署がユニオンの活動にも介入するということか。
2日間、監督署で事情聴取を受けたが、監督署の電話が止むことはなかった。労働者だけでなく、会社からの相談もある。「どうすれば解雇できるのか」という会社の問いに、解雇は簡単にできないことを説明している反面、どうすれば解雇できるのかの指南になっているケースもある。
労働基準法は労働者を保護するためのもの。監督署は違反企業を指導するところ。監督署の視点が労働者に向かなければ、企業を指導することはできない。監督署の姿勢を正すようにさせることも労働組合の役割かもしれない。
木村文貴子(神戸ワーカーズユニオン書記長)
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