「新社会兵庫」 11月10日号
 ちょうど50年前の「日米安保条約は違憲」という伊達判決に関して、外務省、法務省、内閣府、最高裁に対して公文書開示請求の運動が起こっていると、東京の旧友に聞いた▼東京地裁の伊達判決は59年3月で、時あたかも60年安保改定反対闘争がスタートした時である。日米両政府の周章てぶりは察するに余りある。この判決を葬り去ろうとする、恥も外聞もない強引な仕様は権力の本当の姿を露わにした。最高裁に跳躍上告という禁じ手を敢えて使って、伊達判決の否定を迫った▼僅か9ヵ月後の12月、最高裁は司法で取扱う事柄ではないとして伊達判決を否定した。最高裁は司法の独立と権威を自ら否定し、執行権力の下僕であることをさらけだしてしまった▼60年安保闘争の大きな盛り上がりのきっかけをつくったのは5月20日の強行採決という暴挙であったが、最高裁のこのていたらくもその一端を担ったであろう▼50年経ったいま、開示されたアメリカ側の情報によって、判決直後に駐日大使が最高裁や日本政府にさかんに折衝したことが明らかになりつつあるという。日本側の情報をぜひとも開示させなければならない。開示させ、真相を明らかにすることは、民主主義の鍵となる。
今こそ憲法を生かす憲法運動の展開を
鳩山政権下の憲法闘争
 先の衆議院総選挙は自公両党が大敗を喫し、野党・民主党の地滑り的大勝という結果に終わった。そして、民主党は悲願の政権交代を実現させた。政権交代の背景・要因については様々な視点からの分析がなされているが、概ね指摘されている点としては、@貧困問題・格差の拡大が極限に達したこと、A改憲強行状況の破たんなどがあげられている。端的に言えば、こうした状況に対して、民主党が社会保障の充実など国民のニーズをうまく掴みとり、さらに小選挙区制という二大政党までは極めて有利な制度下で野党第一党として政権交代にとってたいへん有利な立ち位置にいたということが指摘できるであろう。
 私たちの生活を疲弊させ、さらに生存の危機にまでさらした自公政権の退場は当然の帰結であるが、誤解を恐れず言うと、確かに民主党への風は選挙で吹いたが「巨大与党」にまで膨張させるものではなかった。比例区得票を完全に比例配分し直した議席数では民主・社民・国民・その他はわずかに過半数には届いていない。その意味では今回の総選挙が比例制度ならば与野党伯仲という、全く別の状況になっていることを申し上げたい。鳩山新政権がいかなる政策を展開していくか注視していくことが求められる。
 私は、その視点はまさに「憲法」そのもの、あるいは憲法を生かすための「憲法具現化政策」にあると思う。そこで、民主党・社民党・国民新党の3党連立政権が、憲法政策についてどのように取り組んでいくのかが問われる。連立政権樹立にあたっての「政策合意書」によれば、憲法3原則の遵守(平和主義・国民主権・基本的人権の尊重)を確認し、憲法の保障する諸権利の実現を第一とし生活再建に全力を挙げるとしている。憲法25条(生存権)をベースに国民の諸権利を保障していこうとする「姿勢」は見受けられ、一定の評価は与えられるべきものと捉えられる。
 他方、平和主義については、遵守すべき平和主義の中身が十分詰められていない。自公政権下の「平和主義」の踏襲・補正に留まるものなのか、解釈改憲で歪められてきた平和主義を是正していく姿勢なのか、まさにこの政権の平和政策の根幹が問われてくるのではないか。「普天間飛行場移設問題」一つとっても、辺野古移設(北澤防衛相)、嘉手納統合(岡田外相)など県内移設やむなしの見解が飛び出し、福島消費者相(社民党首)が猛反発、鳩山首相も「閣僚の個人的見解で内閣として検討していく」と対応、閣内の迷走ぶりが早くも生じている。
 諸権利充実も同様に、生活保護「母子加算」に見られる迷走ぶりで世論の猛反発によって、ようやく「今年度限定」(藤井財務相見解)で復活している。
 これらのことから、私たちは何をなすべきなのか?それは抵抗型憲法運動から政治を動かしていく憲法運動への取り組みであると思う。9条明文改憲が大幅に遠のいた今こそ、腰を据えた「護憲・生かす」運動を構築すべきである。「普天間飛行場移設問題」解決は、9条・平和主義の体現、住民の生活権保障そのものである。社会保障政策も世論の支持を背景に政治が動かされている。このような課題を憲法運動の一環として広く訴え、共感の輪を広げていくことこそが運動する私たちのスケールアップにつながると考える。
 こういう目に見える、私たちの暮らしの中にあるテーマを憲法運動に取り込み、運動に結びつけることを今こそやらなければいつやるのかと指摘しなくてはならない。その意味では私たち自身もまさに問われているのではないかと思う。明文改憲はもちろんのこと、改憲機運を煽るような政治状況をつくらせない、そのような政治的余裕すら与えない日常の運動を展開していくことが重要になってくる。私たち「護憲勢力」もゆったりした状況からそろそろ脱却して一層の前進のための歩みを進めていかねばならないと考える。与野党にまたがる改憲勢力、それを支える様々な組織を軽視してはならないということを最後に申し上げたい。
鈴田 渉
孫と過ごした夏
 今年の初めに娘から「2人目が出来た」と聞かされ、「わー大変!」、次の言葉が「どないしょう」と、思わず「おめでとう」よりも先に娘に言ってしまった。上の孫が1歳になったばかりだったのでつい出てしまったのだが、後で娘にはかわいそうな事をしたと反省。あわてて「大丈夫。まかせとき」と胸をたたいた。
 と言っても行事に終われ、年間多くても5日位しか休みを取らない(このことはいつもみんなから「どうして休まないの。仲間も休みにくいやん」と言われ続けている)私なので、出産日が行事前ということもあってどうしようかと心配だった。
 でも職場の人に話をすると、「そんな時は休んだらな。頼りはお母さんなんやで。安心して出産できるようにしたらな」と後押しをしてもらい、休みを取った。
 休みが取れることになったら、次の心配は、上の孫が泣かずに過ごせるかだった。普段からよく遊びに行き泊まることもあるのだが、一緒に寝るのはいつも拒否。母親としか寝ることが出来ない孫なので、私と一緒に泣かずに寝ることが出来るかが大きな問題だった。
 「そんなもん心配せんでいいわ。大丈夫や。なんとかなる」と妹には言われていたが、内心ドキドキもの。予定日より遅れること4日。陣痛が始まり夫と病院に向かう娘を送り出し、いよいよ孫と2人きりに。ところが私の心配をよそに、本を読み「寝るよ」と声をかけると、孫はさっさと横に来て「おやすみ」と言うとそのままグーグー。「拍子抜けとはこのことやわ」と思うほどあっさりと寝てしまった孫の顔を見てホッと胸をなでおろしたのは言うまでもない。
 でも心配性の私はまたまた心配になった。「寝るのは大丈夫だったけど、病院に行って娘に会ったら泣くんと違うかな」と。ところがこれも拍子抜け。生まれた妹の顔は見るものの、母親とは目を合わさず知らん顔。あげくには、はよ帰ろうと言わんばかりに私の手を引っ張ってドアを開けようとする始末(これには娘のほうがショックを受けていた)。
 こうして私の心配は取り越し苦労に終わり、毎日、孫と楽しい日を過ごすことになった。朝は早くから起きて(いやいや起こされ)、朝ごはんを食べると公園へ。たっぷり砂場や滑り台を楽しみ、汗をかきかき追いかけっこをし、ジュースを飲み、昼からは2人で昼寝をし、一緒に夕食の準備をし(孫は主にいたずらだが)、お風呂に入りと楽しい日があっという間に過ぎていった。娘もそんな様子を聞き、入院中はのんびりと出来たようだ。
 その後、退院した可愛い2人目の孫とも1ヵ月を過ごし、いよいよ帰る日に。私は複雑な気持ちだったが、孫のほうはあっさりしたもの。バイバーイと手を振って帰っていった。残されたのは孫がいつも滑っていた滑り台だけ。こうして私の楽しい夏が終った(ちなみに母親が退院してからは、私と寝るのは拒否。孫なりに入院中は我慢していたのかな)。 
(芦屋T)
あかし地域ユニオンの3つの裁判闘争
 あかし地域ユニオンは9月12日、いまユニオンが抱える3件の裁判闘争を支援する集いを開催した。
 現在たたかわれている叶フーズ(東播水産)に対する未払い賃金請求裁判に続いて、派遣会社グロップに対する契約中途解除に対する未払い賃金の支払いを求める裁判(神戸地裁・労働審判では勝利したが会社が異議申し立てして本訴に)、さらにキャタピラージャパンの下請け会社である伸成工業に対する解雇無効を求める裁判と、相次いで提訴が続いている。 これまでも、あかし地域ユニオンとして数件の裁判闘争を経験してきたが、同時に3件の裁判闘争を抱えるのは初めてのことであり、労働組合としての闘う体制を確立するとともに、原告を励ますために企画、開催したものである。
 いずれの裁判も本来は労使交渉で解決できる内容であり、会社側の不誠実きわまる対応が背景にある。また、「サービス残業の強要」「派遣切り」「偽装請負」など、いずれも昨今の労働問題を象徴する事案であって、ユニオンとしては絶対に譲ることができない課題だ。  当日は、事情がある2人を除く5人の原告と、裁判を担当していただく上原康夫弁護士、そして組合員と支援者たち約30人が集まり、改めて勝利への決意を固めた。
闘いの場は裁判所ではあるが、会社や市民に訴える行動を結合することで勝利を勝ち取ることができると確信する。
 この間も、叶フーズの裁判期日に合わせ毎回本社前での抗議行動を行っており、県下のユニオンと北播のメンバーにも協力をいただいている。
また、派遣会社グロップと伸成工業への抗議行動も展開しており、社会的な包囲網を構築することが裁判勝利への道である。あかし地域ユニオンの抱える3つの裁判闘争へのさらなる支援をお願いしたい。
西山和宏(あかし地域ユニオン委員長)