「新社会兵庫」 3月9日号
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- 「2月16日」―。4年前のこの日、多くの市民の反対や疑問の声を押し切って神戸空港が開港した。その後毎年、この日の昼に市民運動団体が集まって市役所前で検証・抗議の集会を持ってきた。今年も約100人が集まった。多くは、98年の空港建設の是非を問う住民投票を求める運動に取り組んだ面々で、同窓会のような雰囲気さえ漂う。空港ができた以上は、反対ではなく空港の発展を考えようと、戦列から抜けていった市会会派もあるが…▼もうひとつの「2月16日」―。国鉄分割・民営化で、所属組合の故の差別を受け、7628人がJRへの不採用を通知されたのが87年のこの日だ。そして、その3年後には1047人が解雇。すでに23年を超えて闘い続けられてきた国鉄闘争の解決の道は、この間、鉄建公団訴訟を軸とした闘いが切り拓いてきた▼そうした不屈の闘争の積み上げの上に、政治解決への具体的な兆しが今、ようやく見えようとしている。一部の新聞で報道された、与党3党と公明党による解決案のたたき台。さまざまな思いがあろう。まだ政府案がどうなるのか、予断を許さないが、当事者が納得できるものでなければならない。まさに闘争は最終局面に入った。
- JR採用差別の政治解決へ気を引き締めて闘い抜こう
- 2月24日の神戸新聞と毎日新聞の朝刊は、1面でJR不採用問題での与党和解案を報道した。民主、社民、国民新党の与党と公明党の担当者が23日の会合で、国鉄の債権と債務を引き継いだ鉄道建設・運輸施設整備支援機構に対し、裁判中の原告約900人に計約270億円の解決金を支払うとともに、JR各社に230人分の雇用確保を要請するとの和解案のたたき台をまとめた、とのことだ。政府が同機構に不採用者1人当たり年金1300万円、解決金1650万円の計2950万円の支払いを求めた上で、不採用者が自活するために設立した18事業会社に計18億円の支援金の拠出、JRなどに就職を希望する55歳以下の組合員役230人の雇用もJRに要請する内容だ。個人的には「やった!」という思いが強い。
国鉄分割民営化とは何であったのか。JR採用差別事件の解決を求める国鉄闘争とは何であったのか。当時の中曽根総理は、臨調・行革断行を前に、生長の家青年部の講演会で「行政改革でお座敷をきれいにし、立派な憲法を安置する。これがわれわれのコースだ」と力説した。分割民営化後も、同氏は国鉄分割民営化の意図が赤字の国鉄再建にあるのではなく、国労つぶしによる護憲勢力の総評・社会党ブロックを解体することにあったと述べている。国家的不当労働行為による国労組合員の首切りと国労つぶしは、憲法改悪の手段でもあった。
被解雇者が数多く出た北海道、九州で組織された国労闘争団は、国家的不当労働行為を許さず、不当に解雇された国鉄労働者とその家族の生活や労働者の尊厳を奪われたことへの満身の怒りから23年間、不当解雇問題の解決に向けて血のにじむような苦しい闘いを続けてきた。
2000年には裁判の取り下げによる和解という「4党合意」での国鉄闘争の幕引きという動向もあったが、国労内部の混乱はありながらも、「仮に不当労働行為があったとすれば、その責任は旧国鉄にある」という最高裁判決内容を論拠に、旧国鉄の継承組織である鉄道建設公団に対し02年1月、国労闘争団員等283人の勇気ある決断で解雇無効と地位確認を求めた訴訟が行われた。この鉄建公団訴訟がなければ、今回の政治解決の道すじは実現できていない。
兵庫県では「4党合意」問題で国鉄闘争支援共闘会議が機能しなくなり、鉄建公団提訴後は佐賀の鉄建公団訴訟原告団員の大串潤二さんが02年秋から兵庫に常駐し、労働者・労働組合によって「兵庫県国労闘争団を守る会」が結成され、各地域で集会や街頭宣伝活動など取り組まれた。
不当な採用差別から20年目の07年2月16日には国鉄闘争勝利兵庫県集会が、自治労兵庫県本部、全港湾神戸支部、ひょうごユニオン、「守る会」などにより開催された。これらの労組・団体によって国鉄闘争支援兵庫県実行委員会が結成された。同実行委員会は、08年2月に48時間ハンガーストライキ行動、08年6〜12月に丹波、加古川、淡路、豊岡、宝塚、神戸、加西での集会、09年3月に尼崎、三ノ宮、明石、加古川での座り込み行動、今月8日〜15日にJR神戸線、宝塚線の22箇所の主要駅で駅頭宣伝行動に取り組んできた。
今回の政治解決案を引き出した条件は新自由主義をめぐる次の2点にあるだろう。
ひとつは、新自由主義の始まりによる国家的不当労働行為を許さず、解雇された労働者とその家族の尊厳を守るために自活により闘い続けてきた国労闘争団の努力、特に「4党合意」を乗り越えて鉄建公団訴訟に踏み切った闘争団員の英断、そして心ある労働者・労働組合の支援である。
ふたつは、新自由主義に基づく小泉構造改革がつくり出した格差社会・貧困社会への国民的批判である。この新自由主義への国民的批判が、昨年8月の解散総選挙で民主党政権を誕生させた。この政権交代によってようやく今回の与党3党と公明党の政治解決案のたたき台が用意されたといえよう。
この与党案が今後どんな政府案として反映されるのか、国鉄闘争の政治解決の最終局面を目前にして、気を引き締めて当事者が納得する政治解決を実現しなければならない。
また、ポスト国鉄闘争のあり方を考える段階にも立っている。国鉄闘争の性格から想定される今後の課題は、日本労働運動の階級的な再生であり、護憲の政治戦線の拡大強化であると確信している。
菊地憲之(ひょうごユニオン運営委員)
- 落語の楽しみ方
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私は、落語が好きだが寄席に通うほどの暇はないので、夜寝る時にCDで聞くとか、デジタルウォークマンに録音した噺を徒歩通勤の際に聞く程度だが、笑うのは心をリラックスさせてくれるから良い。枝雀や米朝の上方落語の噺が主に多い。
落語の楽しみのひとつは、昔の庶民の暮らしぶりが出てくるところがなんともいえず心豊かにさせてくれることである。
米朝の「貧乏花見」の噺に貧乏長屋「釜が崎」が出てくるくだりがある。「今はあいりん地区としゃれた名ぁで呼んでますが…。あさ、仕事に行こうというんですが、一文もないんで、世帯道具を皆、質屋へ放り込みましてな、電車賃やら煙草銭くらいを持って仕事に行って、ほいで一日の日当を持って帰ってきて、一番先に飯を炊かんならんさかい、とりあえず質屋へ行って釜だけ先に出して来い、ちゅうわけで、『釜が先』やというのは、こっから起こったということやそうでして…」。
「この貧乏長屋に住んでる連中の商売というのが(中略・いろんな仕事を紹介)、立ちん坊ってなのがおりましてね、引き縄を一本持ってまんねん。荷車なんかを引っ張る引き綱を。逢坂、今の動物園の横手、合邦ヶ辻やあの辺が、今はもう目立たんようになりましたが、昔は人がぎょうさん行きかう大きな坂だったらしい。その坂を荷車を引いて上るのに苦しんでる人に『引いたろうか』と用意してた引き縄を車にガッとかけ、自分の肩から首へかけて、グーッ、グーッと坂のてっぺんまで引っ張って手伝うてやると『おおきに』てなもんで、一銭か二銭を貰うわけです。そしてまた、坂の下へ降りて待ってる。こうして朝から晩まで立って、これで二十銭か三十銭の稼ぎになるわけですなぁ。『おかぁはん、お腹がへった』、『何をいうてんのや、今日はまだお父っつぁん、朝からいっぺんも首に縄がかかってないのやさかい、我慢しなはれ』―ものすごいせりふがあるもんでございます」。
「くよくよしてたんでは生きて行かれへんさかい、なんとなく陽気でございまして…」。長屋の連中の会話があって、貧しくても陽気に「花見」に出かけようと、長屋の連中が、話し合うくだりも笑える。
たまたま今日、「貧困を考えよう」(教育労働講座)の講演会に行き、「野宿者ネットワーク」の生田武志さんの話を聞きながら、落語によく出て来る貧乏長屋の助け合いや人情話を思い出していた。
落語の世界には、「ひきこもり」も「孤独死」も「うつ病」もない。ほとんどの噺の中で、昔の人々の生活習慣がうかがえるし、暮らしの知恵もいっぱい出てきて、笑いながら学べるのも、私は好きだ。
(紀)
- 介護職の仲間よ、物申していこう
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介護現場を描いた『ヘルプマン』というコミック漫画がある。認知症や虐待問題やらをリアルに扱っていて、12巻目が介護職の労働条件を取り上げている。のうてんきだけど高齢者が大好きな若い男性が主人公なのだが、合コンの時、自分の職業を口にしたとたん女の子たちに逃げられてしまい、仲間たちに「なんで自分からハンディをばらしてしまうのか!」と非難される場面がある。
介護職は婚活では“ハンディ”なのだ!それだけ世間に「介護職はキツくて低賃金。家庭を持って生活していけない」という認識が広がっているのだろう。だからこの不況に介護職だけ人手不足で求人が求職を上回るという現実がある。
先般ようやく「介護職員処遇改善交付金」というのが、施設やデイやヘルパーのサービス事業所に介護報酬の数%増しという形で支給されるようにはなった。が、わずかな額で赤字補填にもならず、なかなか介護職員の“ハンディ”を取り除くには至っていない。しかも政治情勢によりいつまで支給されるのかも分からないので、ベースアップにはならず一時金支給にとどまっている事業所が多い。
仕事内容はきつく、頚肩腕症候群に罹患したデイ職員やパワハラに泣くケアマネージャーなどからの相談がユニオンに寄せられている。その中には、先の介護職員待遇改善交付金の一時金支給の裏で月給が引き下げられる等の実態もあった。
相談の中から垣間見えるのは、この仕事が好きなのに(!)、身体を壊されたり、あるいは強圧的な上司に嫌気がさしてしまう物言わぬ介護労働者の実態だ。こんなやり方が介護職離れを呼び、自分達の老後を看る人材がいなくなることを経営者は早く気付くべきだろう。
そして介護職の仲間の皆さん!この業界、幸か不幸か、今は売り手市場なのだから、職場を渡り歩くのは止めて、今の職場を少しでも改善していくために物申して行こうではないか!
菊地真千子(ヘルパーユニオン)
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