「新社会兵庫」1月24日号
 新しい年の初め、この国の現状ときちんと向き合い、これからが希望を持って語れる年にしなければ。伝えることのできる言葉で希望をもって語り合いたい。そんなことを思っています。
 たくさんの課題を抱え、また年が改まりました。時が解決しそうな事は何もなく、より深刻な、避けることのできない事態へと動きは強まっています。不安をいっぱい抱えながらもずるずるとみんなでこのような事態へと引きずられて行く、そう思えて仕方ありません。引っ張っているのは誰なのか、その正体は? 実はもう一人の自分かも知れない…。
 昨年9月、私は総選挙を再び候補者として闘いました。小泉政治は批判の材料に事欠きません。「改革」という言葉が発せられるたびに、確実に私たちの暮らしの負担が増えてきたこと、競争こそが社会の活力の源だと弱者を切り捨て、格差の広がりをもたらしていること、靖国参拝問題での裁判所の違憲判決を無視していること、自衛隊をイラクに派遣していること……、憲法違反だと言うのなら憲法を変えればいいじゃないかという総理大臣です。残念ながら、このような現状に向き合った政策を戦わせる選挙にはなりませんでした。
 「時代の流れ」だから仕方ないねと、何とかしないといけない現状から逃げ出せば、考えることも、言葉で伝え合うこともなくなってしまいます。もうどうしようもないとあきらめてしまう前に、その努力がどんなに徒労に終わろうとも、何とかしたい思いを伝え合う努力をしなくてはならない、お互いに伝わる言葉を探さなくてはならない。そのために現状ときちんと向き合うこと。そうすれば踏ん張ることも、もう一度私たちの願いの方へ引き戻すことも、可能になるのではないかと思えるのです。
 昨年末には勇気と元気の出ることが二つばかりありました。一つは、2004年4月の小泉首相の靖国参拝に違憲という判決を下した福岡地裁の亀川清長裁判長は前日遺書をしたためて判決にのぞんだというお話を聞いたこと。そして、ある方から「憲法の勉強会をどんどんやりなさい。必要な経費はワシが持つ。ワシを破産させてみい」と激励をいただいたことです。
 一人一人の勇気と努力が、点から線に、面になる時、政治は私たちの願っている方向を目指すはずです。 今年は新社会党が結党して10年の年。原点を忘れず皆さんと共にがんばります。今年もどうぞよろしくお願いします。

新社会党兵庫県本部委員長 原 和美
 不安と格差の拡大
 阪神・淡路大震災から11年。超高層マンションや再開発ビルが建ち並び、外面的には復興は順調に見えても、格差が拡大し、その内情は「復興」とは程遠い現実が続いている。県内の復興公営住宅では65歳以上の高齢化率は43.8%と、県平均17.7%を大きく越え、入居世帯の3分の1が単身高齢者世帯である。
 国・自治体が被災者に貸付けた災害援護資金の返済も、不況や破産者の増加で進んでいない。
 行政は震災10年を区切りに、復興住宅の家賃軽減策など被災者支援施策の打ち切りを進めた。しかし、震災10年を前に「被災地生活実態調査委員会」が復興住宅約2千世帯を対象に行った調査では、震災前と比較した家計状況では「回復不可能」「減少」が合わせて8割以上を占めている。

「支援法」の抜本的見直しを
 阪神・淡路大震災の経験や運動で「被災者生活再建支援法」がつくられたが、支援金は住宅解体費用や家財道具購入費などが対象で、住宅本体の建築・補修費は対象外のままである。しかも年収・年齢・使途に厳しい制限があるため、04年の台風23号で兵庫県内で支援金が支給されたのは全半壊世帯のうちの40%以下、新潟県中越地震では30%以下にとどまっている。
 自治体は独自の制度を設け被災者の公的支援に立ち上がっているが、国は自治体の救済策に依存すべきではない。「住まい」は生活基盤回復の基礎である。「支援法」の抜本的な見直しが必要だ。  地球温暖化で自然大災害が相次ぎ、また今後30年以内に南海・東南海地震が50〜60%の確立で起こると予想されている。どこが次の「被災地」になってもおかしくない状況で、将来の大災害に備えるためにも、今こそ大震災の教訓を生かして、住宅再建支援制度などすべての被災者の生活基盤回復のための法律を国は早急につくるべきである。

 「国民保護計画」より自然災害対策優先を
 いま全国の自治体では「有事」に備えた国民保護計画づくりが進んでいる。外交努力で防げ、起こる可能性の極めて少ない戦争に備えるより、近い将来必ず起こり避けることのできない地震・津波などの自然災害対策の強化・充実こそ国や自治体の当面する責務である。阪神・淡路大震災をはじめ、JR福知山線事故、アスベスト問題、耐震偽造事件など日本の安全神話がことごとく崩れさろうとしている今、国民の安心・安全を守る立場から、「有事」よりもこれらへの対応をより早急に強化すべきである。
   新社会党は、今後も人間のくらしや生活が最優先される「復興」をめざし、「被災者生活再建支援法」の抜本的な見直しを求め、国の責任を明確にした被災者の公的支援強化を求める運動の先頭に立つ決意である。

2006年1月17日
新社会党兵庫県本部
新社会党県本部が兵庫県に申し入れ
兵庫県に申入れを行う前田・芦屋市議、原委員長、都築・尼崎市議、浜崎県議(左から)=12月19日、兵庫県庁  アスベスト問題の広がりに対して、政府が健康被害者の救済のための新法の制定などを準備しているなか、新社会党兵庫県本部(原和美委員長)と新社会党兵庫県自治体議員団会議(浜崎利澄議長=県議)は12月19日、兵庫県に対し、「アスベスト健康被害対策等に関する申し入れ」を行った。
 これまでに明らかにされている政府の「石綿による健康被害の救済に関する法律大綱」の内容では不十分であり、県としても政府に強く働きかけるよう求めた。また、阪神・淡路大震災のなかで大量の石綿飛散を経験し環境曝露の恐れの強い兵庫県民にとっては、とくに十分な被害対策・補償と抜本的な防止対策は不可欠であるという認識から県独自の取り組み強化をも強く求めた。
 申し入れの主な内容は要旨次の通り。
 @新法で、環境曝露による健康被害者、労災時効による補償失効者及び遺族に労災補償と同等の補償が行われるよう政府等に働きかけることA大気汚染防止法で定められているアスベスト製品製造敷地境界濃度基準値(10本/g)を大幅に引き下げ、アスベストの環境基準値として定めるよう政府等に働きかけることBアスベスト問題の相談体制を継続し、強化すること。各市町においても同様の体制が実施されるよう援助と指導を行うことCアスベスト製品製造事業所周辺住民に対するアスベスト健康診断を無料で実施することD市民健康診断等でアスベスト検診を引き続き実施すること。また、検診で経過観察の所見のある者については定期継続的な検診が実施できるよう各市町と協議、支援することE労働安全衛生法に基づく「石綿に関する健康管理手帳」の交付は、交付要件を改め関連作業従事者全員に早期交付を行うことF新たな被害を出さないため、建築物等に残る吹付けアスベストの完全除去に向け、住宅、商業施設、工場等をはじめ、公的・民間が行う調査・分析及び処理に対する費用に助成制度を創設すること、などの10項目。
新社会党が西日本規模で交流会
交流会では湯浅一郎さんが在日米軍再編問題について講演=12月18日、岡山市民会館  憲法闘争を強めるとともに、米軍基地再編・日米軍事一体化の重大な環である岩国基地強化反対運動を西日本規模で強めようと新社会党は12月18日、西日本ブロック憲法闘争交流会を岡山市内で開き、12府県本部から40数名が参加した。
 交流会では「ピースリンク広島・呉・岩国」の湯浅一郎さんから「米軍再編に伴う基地強化の現状」と題する講演を受けた後、各県からの運動の報告と交流を行った。
 講演で湯浅さんは、世界の主要国が軍事費を減らしている中で日本だけが増加の一途をたどっていると指摘。米軍再編問題ついてはたんなる在日米軍の再編ではなく、戦後の最大規模の軍事的「変革」であり、日米同盟の根本的な変質を打ち出したものだとして、@在日米軍の再編・強化で安保条約を空洞化、世界規模での運用を図ること沖合の滑走路建設工事が進む岩国基地A自衛隊と米軍の一体化・融合化をすすめ、司令部機能の統合など、日米防衛協力の飛躍的拡大を図ることB自衛隊の海外での作戦を本務にさせる法の整備を急ぎ、ひいてはそれを憲法9条を変える基本的な原動力とすることなどに狙いがあると分析した。また、岩国基地をめぐる状況については、現在は地元自治体も反対の立場をとっており、住民も一緒になって運動が進められており、全国的な連携でがんばれば、展望はあると述べた。
新自由主義反対は世界の労働者の共通課題
非正規職差別撤廃への暑い思い
 新社会党は昨年11月、韓国の全国労働者大会にあわせて、栗原君子委員長ら11人の交流団を『第4回韓国労働運動に学ぶ旅』に派遣、友党である民主労働党や民主労総らと交流を深めた。兵庫から参加した門永秀次さん(垂水総支部)にその報告をしてもらった。【編集部】
非正規職差別撤廃へ熱意示した大会
 04年につづいての参加となった韓国・全国労働者大会。今回は民主労総が創立されて10年、現在の韓国労働運動の契機となった全泰壹(チョン・テイル)焼身自殺から35年の節目の大会だった。したがって大会のメインスローガンには全泰壹精神の継承が大きく掲げられ、「次の10年」の韓国労働運動の展望がつよく意識されていた。
 労働者大会は11月13日、ソウル光化門前の鐘路の大通りを完全に交通遮断して行われ、全国から少なくとも3万人を超える労働者が参加。大会直前に民主労総指導部が総辞職するなど少し心配した大会だったが懸念は無用、日本では考えられない規模で、韓国労働者の熱意は十分に伝わってくる。大会では、非正規職の権利保障立法をかちとるために12月1日からのゼネスト突入を宣言し、釜山で予定されていたAPEC首脳会談阻止闘争や新自由主義のもとでの社会両極化などに反対する韓国労働者の意気込みがみなぎっていた。日本でも格差拡大や非正規職差別はたいへん大きな問題だが、これらが全労働者の統一的な課題になっているとは言い難い。“ピジョンギュシク チャピョル チョルペ(非正規職差別撤廃)”は韓国労働者共通の言葉となっている。
 労働者大会を挟んでいくつかの“闘争現場”とよばれる労働者たちのテントを訪ねる機会があった。そのうちの一つ、印刷労働組合の分会との交流では、一人の労働者が「組合をつくって社会の見方が変わった。労働者がいまより大きな力を持てば希望はある」と語った。やはり、たたかいは人を変える。われわれにとっては当たり前のことを、あらためて確認させられたという意味でたいへん印象的な交流でもあった。
日常の党活動についても意欲的に交流
韓国・民主労働党の地区組織の若い党員たちとの交流  今回の新社会党の交流団は、もう一つの目的が民主労働党との交流。それも下部の活動家と日常の党活動を交流してみたいということだった。訪ねたのはソウル市党麻浦区委員会。党大会で表彰を受けた優秀な組織だ。約800人の党員を有し、委員長はまだ40歳にもなっていない。定数24人の麻浦区議会には議員を1人、国会議席をもつ前の選挙だったが選挙費用は1人800万ウォン(約80万円)。民主労総とは労働者候補を出すために1年前から協議をはじめる。区党の専従は5人。中央からの配置は1人だけで4人は区党が負担している。党員は新社会党でいう支部にあたる「部会」に所属し活動するが、20の部会を運営している。学生は100人ほどで2部会、女性党員は30%前後とのこと。党費は学生・無職は5千ウォン(約500円)、その他が1万ウォン(約千円)以上で自分で決める。日常の活動は、いまは労組、市民団体、学生等で構成する最賃共同対策委の活動が柱で、これを党が指導する。地域で未組織の労働者たちの待遇改善に力を入れているとのことだった。その他には党中央の政策、たとえば無償医療・無償教育について地域の実情にあわせてのキャンペーンをはる。朴正熙大統領記念建設用地にこども図書館をつくれという要求は、こどもたちの親からはずいぶん歓迎されているらしい。
 入党は月平均5、6人。党の活動を見て自ら入党してくるとのことだったが、同党が国会に議席をもつ前の2002年には党員は100人ほど。当時事務局長だった現委員長は、たとえば党員のところに行って昼食を一緒にするなど当たり前の努力はきちんとなされている。
 彼らからの質問は、日本は地方議会にも革新政党が多くの議席をもっているのにどうして現在の右傾化を阻止できないのかということ。いずれにしてもたいへん若い党で、ヴェテラン党員が多い新社会党は彼らからは大いにうらやましがられたのだが、今後は課題ごとの交流なども約束した。
 短い時間での労働者大会参加や民主労働党との交流だったが、新自由主義反対は日韓のみならず世界の労働者の共通の課題であることをあらためて感じ、いままだ韓国労働者運動との交流は非常に刺激的であることを再確認した「韓国労働運動にまなぶ旅」だった。
門永秀次