「新社会兵庫」 9月23日号
生活破壊の怒りの声くみ上げ訴え抜く
 国民不在の自民党総裁選がにぎやかに演出≠ウれ、その虚飾だけを頼りに、政局は一気に解散・総選挙へ動きつつある。臨時国会冒頭の解散が濃厚な見通しで、早期の総選挙が予想される。総選挙が2大保守政党による「政権交代」をめぐる攻防の構図一色に染められようとしているが、生活破壊の現実や生活危機に苦しむ者の切実な声が埋没させられてはならないと、原和美さんが兵庫1区に無所属で立候補する決意を表明した。

原 和美さん  原和美さんが03年の総選挙で護憲の共同候補として初の国政選挙を無所属で闘って以降、今回が5度目の闘いとなる。
 一貫しているのは、小泉、安倍政権のもとで改憲への動きが急速に強められてきたにもかかわらず国会議席では護憲政党がますます後退させられるなか、護憲勢力の総結集を呼びかけ、それを実現するための選挙闘争を闘ってきたことだ。その政治姿勢は今回もまったく変わらない。前回(05年)総選挙では近畿ブロックで新社会党、社民党、みどりの選挙協力が実現したが、今回も近畿ブロックでその再現に向けた協議が進行中だ。
 今回、原さんを決断させたもうひとつは、新自由主義の下でいっそう深刻になる高齢者、労働者、若者の生活苦への強い思いだ。増え続ける一途の非正規労働者。一生懸命働いても食べられないワーキング・プアがつくられ、貧困と差別が覆いがたい現実として社会に広がる。小説『蟹工船』に自分の姿を重ね合わせなければならない若者にはなかなか明るい未来が見えない。高齢者にはあいつぐ負担増の強制と「後期高齢者医療制度」に端的な社会的差別だ。
 「『もう我慢できない』――小さくても、あちこちから上がる、この怒りの声をくみ上げ、訴え抜く力にならなくてはいけない。政権交代劇≠ノこの声を埋もれてさせてはならない」。―総選挙への原さんの強い所信だ。
 兵庫1区の予想される顔ぶれは原さんのほか、自民(現)、共産(新)が名乗りを上げており、民主は第1次公認発表時では候補者は未定。
 前回は原さんと自民、民主、共産、保守無所属の6人で争い、原さんは共産を上回る票21844票(得票率9・80%)を獲得して3位だった。


●原和美さんプロフィール 1950年福井県生まれ。58歳。神戸市外国語大学卒業。71年から郵政省神戸貯金局(当時)に勤務。全逓兵庫地区本部婦人部長、県総評婦人部副部長などを歴任。83年神戸市会議員に初当選、以来5期連続当選。96年神戸大学大学院法学研究科修了。 03年、05年の衆院選(ともに兵庫1区)、04年参院選(兵庫選挙区)に護憲派の共同候補として無所属で立候補。07年参院選では9条ネット公認で兵庫選挙区に立候補した。現在、新社会党中央本部副委員長、同兵庫県本部委員長、戦争への道を許さない・兵庫おんなたちのネットワーク代表など。
武庫川ユニオン尼崎市役所分会の闘い
 競争入札に反対し雇用の安定を求めて、尼崎市の住民票入力業務に従事する5人の女性派遣労働者が今年3月、無期限ストライキに立ち上がり、全国から大きな支援と注目を集めた武庫川ユニオン尼崎市役所分会の闘争。2度の入札を不調に終わらせ、ついに4月14日から臨時職員ながら直接雇用として職場復帰を果たした。しかし、それも今年度末までの暫定的措置。継続的に嘱託職員としての直接雇用を実現するためにはさらなる闘争の強化が必要だ。
今年3月にはテントを活動拠点にひと月以上にわたってストで闘った  年内の決着に向け、いま闘争態勢の整備が図られ、具体的な活動が計画されている。軸になるのは「武庫川ユニオン尼崎市役所分会支援闘争委員会」。尼崎地区労、武庫川ユニオン、自治労兵庫県本部、尼崎市職労、尼崎市嘱託労、ひょうご地域労働運動連絡会、コミュニティ・ユニオン全国ネットワークが事務局団体となる(連絡先=尼崎地区労)。
 すでに尼崎市に対しては前5者の共同で安定雇用を求める申し入れをしたのをはじめ、10月25日にシンポジウムを開催、団体署名を集め、11月29日には市内4カ所の主要駅頭で地域への宣伝行動を行なう計画だ。
憲法を生かす須磨区の会
 山田洋次監督、吉永小百合主演の映画「母べえ」の上映会が8月30日、神戸市須磨区のパティオホールで開かれ、会場に入りきれないほどの約 420人が参加した。憲法を生かす須磨区の会が、「2008年夏 平和の集い」として開いたもの。
会場が満杯で入場できなかった人も出た「母べえ」の上映会=8月30日、須磨区内  同会ではこれまで毎年8月に戦争体験者から話を聞いたり、憲法学者の講演会を持つなど、憲法を守り、生かす運動に取り組んできた。しかし、参加者は50人前後で固定化し、なかなか思うように広がりが持てなかった。こうした経緯を踏まえて世話人会議で話し合い、今年は活動をより多くの市民に広めるため、誰でも気軽に参加しやすい映画会として、「母べえ」の上映会を持つことになった。
 会としてははじめての大きな取り組みであり、会計や参加者がどうなるのかと心配したが、当初の目標300人を大幅に超える420人の入場があり、多くの人に入場をお断りしなければならない盛況となった。
 これは、「映画が良かった」「上映協力金が安かった」「反戦気運とマッチした」ことなどもあるが、なんと言っても会員が積極的に周りの人に働きかけたことや、活発な宣伝活動に負うところが大きかったのではないかと考えている。
 この成果を今後の活動につなげていくために、会員の拡大を中心にして、いっそうねばり強く運動を積み上げていきたい。
(G)
解決への重要局面を迎え
 7月の鉄建公団訴訟控訴審で東京高裁・南裁判長が「ソフト・ランディング」を提案、法廷外での話し合い解決の方向を示唆し、当時の冬柴国交相も「誠心誠意努力する」との見解を表明するなど、22年を過ぎた国鉄闘争が話し合い解決への道を開くかどうかの重要な局面を迎えている。
 こうしたなか、兵庫県国労闘争団を守る会(松枝佳宏代表)は10月9日、第6回総会を開く。
 1047名JR不採用問題の解決に向けた闘いの現情勢と課題への認識を共有し、運動をさらに強めようと総会への参加を呼びかけている。
兵庫県国労闘争団を守る会・第6回総会
  • 10月9日(木)午後6時30分
  • 神戸市勤労会館308号
  • 記念講演=田中 博氏(国鉄闘争共闘会議事務局次長)他
  • ピースフェスティバル2008
     「東北アジアに平和を!」と掲げた「ピースフェスティバル2008」が9月14日、神戸市勤労会館で開催され、約300人が参加した。劇や舞踊、歌、楽器演奏など多彩な文化交流、草の根市民交流を通じ、アジアの平和実現への思いを一つにした。
     集いはまず、民族教育を守り抜いた阪神教育闘争60周年記念ビデオ「4・24の魂」の上映から始まり、実行委員会を代表して林同春さん(神戸華僑総会名誉会長)があいさつ。「いろんな民族が共に歩んでゆけるためにどんな次の世代をつくらねばならないか。一人ひとりの信念と努力にかかっている」と訴えた。
    神戸中華同文学校舞獅隊の生徒による中国獅子舞=9月14日、神戸市勤労会館  その後、宝塚で起きた在日の朝鮮人女生徒への差別・暴言事件を描いた劇「海を越えてつながる私たち」が劇団水曜日によって演じられ、朝鮮舞踊、中国獅子舞、歌とアピール、モンゴル馬頭琴の演奏、韓国伝統打楽器の演奏と舞踊など、盛りだくさんな出演が続いた。
     その間には「朝鮮への日本政府の経済制裁解除を求めるアピール」が日朝ネットの高橋秀典さんから行われた。
    市民発/九条を世界へ尼崎市民の会
     「市民発/九条を世界へ尼崎市民の会」は9月7日、「戦争遺跡を訪ねる〜伊丹空港建設の歴史から見えるもの」と銘打って伊丹市桑津(旧「中村地区」、95世帯約200人)のフィールドワークを行なった。
    @自治会長の朱さんから集会室でレクチャーを受けるA旧「中村地区」の現地を歩くB整備事業として新しく完成した市営桑津住宅  大阪国際空港の北西に接し、空港と猪名川に挟まれた地域が「中村地区」で、ほとんどが国有地にある。第2次大戦当時、軍用空港として大阪第二飛行場(現大阪国際空港)の建設、拡張工事が行なわれ、1千人を超える強制連行の朝鮮人らが工事に従事(伊丹市博物館に名簿が保存されている)、その住居として中村地区に飯場が作られた。終戦後も強制連行された朝鮮人、中国人らが寄り添うようにその地に集い住み、集落となった。しかし、空港用地内での居住となるため、「国有地の不法占拠状態」とされ、生活環境は法の保護の外に置かれて劣悪をきわめ、「立ち退き問題」が長く続いた。
     しかし、2001年7月以降、環境整備問題として協議・交渉が進められ、02年に確認書を締結、整備事業が始まっていく。昨年、今年と2期の市営桑津住宅が完成した。
     当日、地区の集会室で自治会長の朱さん、前自治会長の丹山さんから中村地区の歴史的経過や戦後の実情、さらに整備事業の経緯などをレクチャーしてもらったのち、朱さんの案内で現地をフィールドワークした。今は、新しい集合住宅への移転も終わり、これまでの集落の建物は解体・撤去され、その跡を残しているだけで当時の面影はほとんど残っていない。
    「神戸・南京をむすぶ会」訪中報告
     「神戸・南京をむすぶ会」(佐治孝典代表)は、97年以来、毎夏(ただしSARS騒動の03年は中止)、南京を中心に訪中。今年は8月13日〜20日、南京、瀋陽、長春を訪ね、かつて日本軍が攻撃した地をフィールドワークし、幸存者(生存者)、歴史研究者の話を聞いた。参加した小城智子さんの報告を2回に分けて掲載する。【編集部】

     南京市の「南京大虐殺遇難同胞紀念館」は、昨年12月に拡大してリニューアルオープンした。もともと長江沿いにあり1937年12月に虐殺された人々の万人坑跡地であり、工事のたびに銃剣の痕を残す遺骨等が出てくる場所にある。
     日本の「南京大虐殺はなかった」という人々の批判に答えるかのように、今回は資料の出展、収集元がかなり明示され、日本軍の残骸など現物もかなり展示された。国際安全区を作ったドイツ人ラーベやマギー、ヴォートリンらの活動や証言、フイルムや写真なども展示されている。また、子どもたちにも理解しやすいように現場の再現、模型なども多くなった。パソコンで見るものもある。2階は「14年戦争の歴史」「勝利の喜び」「未来にむけて平和への努力」となっている。資料が盛りだくさんで1日で全館を見るのは難しい。
     また、大虐殺を証言する人々の写真パネルがずいぶん増え、その証言を映像やテープで聞くことができるようになった。今回お話を伺った王さん姉妹の写真もあった。2年前に名乗り出たという。
     「紀念館」が今も幸存者を探し、証言を聞き取り確認し、当時の事物を保存しようとしている努力は大きい。ラーベの家が、南京市やドイツ・ジーメンス社の努力もあって、資料館として見学できるようにもなった。
     また、一個人が開館している「南京大虐殺資料館」がある。8月15日には家族づれや学生の来館者が多く、重慶から来た学生は「ぜひ見学したいと思っていたので」と話していた。半年あまりで300万人という数字は、南京市内だけではなく中国全土からやってくるのだと納得した。
    満州事変前後の経緯や抗日の戦いの歴史などを陳列する「9.18歴史博物館」  瀋陽市では、「9・18歴史博物館」を見学した。1931年9月18日に日本軍が柳条湖の満州鉄道を爆破、中国のせいだと張学良軍を攻撃して満州事変を起こした、この前後の経緯から抗日の戦い、解放までを陳列している。この資料館もリニューアルして大きくなり、現場の情景の復元などリアルになった。資料の引用などまだ大雑把な面もあり、韓国の地名が間違っているという指摘もあったが、正確にという努力が見られた。ここでも、中学生くらいの子どもたちが見学していた。
     同市内の皇姑屯事件といわれる張作霖を列車ごと爆破した「満州某重大事件」(1928年6月4日)の跡地も見学した。工事中で、線路脇の分かりにくいところに記念碑が建てられていた。戦後の東京裁判まで真相を日本国民は知らされなかった。この後、息子の張学良が国民政府の統治下に入り、東北地方を統治しようと満州鉄道に並行する鉄道を完成させ、貿易港を建設しようとする。それに対し日本は「満蒙は日本の生命線」と、陸軍を中心に、日本中に煽り広げる動きを強めて満蒙独立を訴え、1932年3月1日の「満州国建国宣言」へと進んでいく。
     張学良の屋敷跡も「2000年記念館」として整備され、公開されていた。それまでは研究者だけが入れたということで、中国の張作霖・張学良への再評価も大きかったと思われる。

    (小城智子)
    インフォメーション
    映画「シッコ」を見る会
    前売券 1,000円(当日1,200円) 高校生以下 500円
    • 10月13日(月・祝日)
      @10:40 講演 13:00〜14:00 A14:20
      六甲道勤労市民センター・5階大会議室
      「キューバ医療を訪ねて」村上正治氏(六甲医療生協理事長)

    • 10月17日(金)
      @10:40 講演 13:00〜14:00 A14:20 B14:20 B16:50 C19:10
      産業振興センター3階・ハーバーホール

    • 10月18日(土)
      @10:40 講演 13:00〜14:20 A14:40 B17:00
      県民小劇場(県庁西隣)

    • 10月20日(月)
      @10:00 A12:20 講演 14:40〜15:40 B16:00 C19:00
      ピフレホール(JR新長田駅・南)
    • ※17日、18日、19日も講演があります。連絡先 TEL 078-371-8550
    自治体アウトソーシングを考える10.25シンポジウム
    − 許すな!官製ワーキングプア −
    • 10月25日(土) 13時30分〜16時
    • 尼崎市立労働福祉会館・大ホール
    • コーディネーター=中野麻美(弁護士)
    • シンポジスト=金田文夫(自治労本部書記長)/古谷博(稲美町長)/小西純一郎(武庫川ユニオン書記長)