「新社会兵庫」 12月23日号
神戸地裁が初の司法判断 ひょうごユニオンの提訴に
 在職中のアスベスト(石綿)被害の補償などをめぐり、退職者らが加入する労働組合の団体交渉権を認めないとした兵庫県労働委員会の決定の取り消しを求めた訴訟の判決が12月10日、神戸地裁であった。橋詰均裁判長は、「団交要求は、退職者の在職中に発生した石綿被害の可能性など労使間の安全配慮義務をめぐる紛争に関するもので、当該退職者も『使用者が雇用する労働者』と解すべき」として、会社は「原告と団体交渉を行う義務を負う」と原告の団交権を認め、県労委の決定を取り消した。アスベスト被害をめぐり退職者の団交権を認める初の司法判断となった。提訴していたのは一人でも入れる労働組合「ひょうごユニオン」(小西純一郎委員長)。

勝利判決後、記者会見に臨む正木紀通さん(中央)や弁護団ら=12月10日、神戸市内  住友ゴム工業で働き2000年にアスベストによる胸膜悪性中皮腫で亡くなった退職者の妻と、亡くなった退職者と同じタイヤ製造工場で働いていた元社員の正木紀通さんと白野光造さんは05年以降、住友ゴム工業に対してアスベストの使用実態の開示や退職者への健康診断の実施などを求めて交渉を持ったが話し合いは平行線をたどり、個別交渉の限界を感じて06年10月、ひょうごユニオンに加入した。同ユニオンは、アスベスト被害の退職者への企業補償制度の創設なども求めて団体交渉を要求したが、会社側は「雇用関係にない」として団体交渉を拒んできた。
 そのため、同ユニオンは翌11月、兵庫県労働委員会に不当労働行為救済を申し立てたが、07年7月に同委員会が申し立てを却下したため、神戸地裁にこの決定の取り消しを求める行政訴訟を起こしていた。
 判決では、「たとえ紛争が顕在化していなくても石綿被害は退職前に発生した労使間の『ほころび』と考えられ、退職と同時に使用者の団交応諾義務が消滅するとはいえない」と述べている。
 判決後、自らも発症の不安を抱える正木さんらは小西委員長らユニオンの役員とともに記者会見。「少しずつ救済の道が開けつつある。アスベストの使用実態の情報開示を求め、今後一人でも多くの被害者を掘り起こしていきたい」などと今後の抱負を語った。
 ただ、退職者の遺族については、「退職者本人が労組に加入していない」として判決は団交権を認めなかった。遺族は「残念だが、これから出てくる被害者のためには前進した」と語っている。
 10年以上、場合によっては数十年という長い潜伏期間ののち発症することが多いアスベスト被害では、退職後に発症して補償問題に直面することが多く、判決はそうした実情を考慮したもので、きわめて当然ではあるが、画期的なものと言えよう。

脇田滋教授を講師に/ひょうご労働法律セミナー
 ひょうご労働法律センンターが主催する第29回ひょうご労働法律セミナーが11日、今国会に上程された「労働者派遣法改正法案」に焦点を当て、脇田滋・龍谷大学教授を講師に招いて神戸市勤労会館で開かれた。
講師の脇田滋さんは派遣労働の実態や「改正法案」の問題点を的確に指摘した=12月11日、神戸市勤労会館  脇田さんは、パワーポイントを使って豊富な図表示などでわかりやすく解説。世界最低の労働者保護≠ナある「日本的」派遣労働について、労働者派遣法施行下の22年の現実を追いながら、@派遣労働の実態、A「日本的」労働者派遣の拡大と雇用破壊、B国際水準に反する「日本的」労働者派遣と項目を分けて、それらの実情と問題点を端的に指摘した。
 規制緩和で急増した派遣労働者。本来は「一時的労働」と訳すべきところを、「派遣法」制定を図る85年当時の政府は意図的に「派遣労働」と誤訳したことなども紹介。その劣悪な労働条件と差別待遇は、「労働法氷点下の世界」と表現した。
 また、国会に上程中の改正法案についてもその問題点をつぶさに検討。日雇い派遣に関しては、30日以内の雇用契約を原則禁止とするだけで例外を認め、これをポジティブリスト化しているなど、実質的には派遣先の責任回避も放置し、日雇い派遣を固定化するものだなどと論じた。
 さらに、法改正の本来の方向について、世界最低の派遣労働規制を改め、@派遣労働の例外化、A日雇い派遣の全面禁止、B登録型派遣の禁止、C差別待遇の禁止、D派遣労働者への特別な保護などが講じられるべきだと提起した。
最新のイラク報告とDVDの上映で
講師の西谷文和さんの報告はマスコミでは報道されていない事実を伝えた=12月6日、神戸市内  日米開戦日を忘れまいと、「戦争への道を許さない・兵庫女たちのネットワーク」などの呼びかけで毎年12月8日の前後に開かれている「平和の集い」が12月6日、神戸市勤労会館で開かれた。
 今年は、元市役所職員だったというユニークな経歴のフリージャーナリスト西谷文和さんの講演と、最新のイラクの様子を伝えるDVD「ジャーハダ(アラビア語で闘い≠意味する)」の上映などが行われた。
 DVDでは、劣化ウラン弾によって胎内被曝をした子どもたちに見られる先天的な障害や、クラスター爆弾によって体中に傷を負った子どもの痛々しい姿などが映し出され、イラクが決して今も平和を取り戻していないことを伝えた。
 さらに、後を絶たない自爆テロはその半数以上が働けない身体障害者によるものだという衝撃的な事実も知らされた。アルカイダから金が払われるからだという。アメリカは戦費を節約するために民間の軍事会社を使って戦闘を続け、そこに投資して儲けているのがブッシュやチェイニーやサウジの大富豪ビンラディンであることなど、まさに戦争の民営化の事実が明らかにされた。
 ニューヨークの「同時多発テロ」とされている9・11事件も真相がきわめて不明瞭であることなど、マスコミではなかなか報道されないこれらの事実は、私たちがこうした集会やDVDを見る機会をつくることによって、草の根的に広めていかなくてはならないと、講師の西谷さんは軽妙な語り口でわかりやすく訴えられた。
 自民党も民主党も賛成している「海外派兵恒久法」をつくろうとする動きは、イラクからアフガンに焦点を移したアメリカがただで使えて安くあがる自衛隊や韓国軍を使いたいから、その意に沿ったものに他ならない。
 集会は、インド洋給油延長反対とともに、イラクの子どもたちを救うためにできることからやっていこうと誓い合って幕を閉じた。
(M)
原和美を国会へ送る会・灘
狭い会場がいっぱいとなり熱気で原和美さんを励ました=12月12日、神戸市灘区  9月20日に衆院選への立候補を表明して以来、原和美さんは連日、地域での街頭演説や支持者回りに取り組んでいるが、12日、地域でははじめての集会となる「原和美を囲む会」が神戸市灘区の浜田自治会館で開かれた。集いには地元の自治会長さんをはじめ約40人が参加した。
 吉田俊弘・元県会議員の司会で始まった集いは冒頭、はるまきちまき(シンガーソングライターのおーまきちまきさんのユニット)が『ちいさきものたちへ』など3曲を披露。つづいて小林るみ子市会議員、井上力県政対策委員の訴えのあと、原和美さんがあいさつ。原さんは「小さな組織で総選挙を闘うのは大変だが、だんだん輪が広がっていくのを感じている。自民か民主かという選挙は、行き着く先は多様な意見が封じ込まれることになる。こんなひどい政治は許せないと、みなさんが立ち上がることの受け皿となりたい」と決意を述べた。
 会場からは「原さんってどんな人か確かめたくて今日参加した。ぜひ頑張って」「どんどんカンパも訴えて欲しい」と激励が寄せられた。
(N)
神戸・南京をむすぶ会
 神戸・南京をむすぶ会(佐治孝典代表)は12月10日、今年も「南京大虐殺幸存者の証言を聞く会in神戸」を神戸学生青年センターで開いた。
 中国では幸いに生存した≠ニいう意味で「幸存者」という言葉を使う。同会は、毎年12月に幸存者を招いて証言集会を開催している。
幸存者の黄恵珍さんが71年間続く残酷な体験と心情を証言=12月10日、神戸市内  今回招かれた証言者は黄恵珍(ファン・フェイチン)さんで86歳の女性。日本兵の酷い蛮行の被害に遭った方だ。
 集いでは最初に会を代表して今夏の同会訪中団長の門永秀次さんが田母神論文を批判しながら、「もう一度歴史全体を振り返りながら今の戦争と平和の問題を考えよう」とあいさつ。つづいて黄さんに同行した侯曙光・南京大虐殺記念館副館長が発言し、当時の日本軍の南京侵攻の様子や6週間のうちに30万人以上の市民が虐殺された歴史を伝えた。
 その後、黄さんが静かな口調で、時には声を大きくしながら、当時の日本兵の残虐行為や自分が遭った辛い経験を証言した。黄さんは当時15歳。突然、集団でやってきた日本兵に小屋に連れ込まれ両親の目の前で強姦されたこと、また、結婚後は夫やその家族の偏見から「汚い女」と罵られ、暴力を受けながらも、強姦されたことは口には出せず、二重に自分の人生を歪められてしまったことが悔しく悲しいと話した。5人の子どもたちには今もその体験は話していないと言う。そして、最後に「そのときのことを忘れることはないし、今でも苦痛だ。いま心から願っていることは、日本と中国の人々がもう争わないこと、二度とこんな悲劇は起こって欲しくないということだ」と述べて話を終えた。
 集いの最後は、「むすぶ会」の林伯耀さんが閉会のあいさつを述べ、「被害者の心の声をもっと多くの人に聞いてもらいたい。日本に戦争を美化する流れがあることを考えると今後が心配だ。戦争を起こさない日本に向けて行動を起こしていこう」と締めくくった。
アジア労働者交流集会in神戸
 神戸学生青年センター、兵庫社会労働運動センター、自立労連神戸支部の3団体でつくる実行委員会が主催する「第21回アジア労働者交流集会in神戸」が12月3日、神戸市勤労会館で開かれた。今回のゲストは韓国の労働運動活動家のイ・ホドンさん(民主労総・解雇者復職闘争特別委員会〈全解闘〉委員長)。イさんは、昨年6月の第18回交流集会にも他のゲストと共に参加している。
弾圧が激しくなる韓国労働運動の現状と課題についてイ・ホドンさんが率直に報告=12月3日、神戸市内  イさんは、韓国の政治・経済情勢の報告とともに、厳しい状況を強いられている労働運動の現状について率直に報告し、今後の運動課題についても次のように述べた。
 3〜4カ月続いた「ろうそく闘争」が下降局面に入るや、李明博政権は攻勢に出て弾圧を強めている。多くの人が指名手配され、逮捕され、法廷に立たされている。
 また、金融危機の拡大のなかで、ウォンの暴落、膨大な土地の値上がり、失業率の上昇、工場稼働率の下落、農村解体などが進み、非正規労働者は860万人に達した。来年はさらに悪化しよう。
 こうしたなか、100万人が決起した「ろうそく闘争」の評価に関して、その成果と限界が総括されているが、労働運動の側からは、あの巨大な人の波をどう組織してきたかを問わねばならない。ネティズン(ネットワーク市民)の自発的で、既成の運動の型をはるかに超えた運動を見て、自分たちの運動のあり方を反省しなければならない。さらに、その後の労働者大会が3万人の結集に終わったことは厳しく反省し、総括しなければならない。弾圧のなかで指導力が行使できないこと、労働者の現場が非常に困難になっていることが原因としてあげられよう。来年はおそらく民主労総結成以来、もっとも困難な闘いを強いられるだろうが、恐慌への労働者階級としての基本的対応、南北関係の解決、資本の攻勢への対決が課題だ。
JR採用差別の全面解決求めて
 国鉄闘争支援兵庫県実行委員会は、12月3日に淡路、8日に豊岡、9日に宝塚で、さらに15日に神戸、17日には加西で、「JR採用差別の全面解決を求める集会」を連鎖的に開催した。一連の集会では国鉄闘争の経過や現局面を共有化するとともに、来年3月に予定されている鉄建公団訴訟判決で納得できる解決ができるように大衆行動での支援の強化を確認した。
日本郵便非正規ユニオンや社保労の仲間などからも連帯の活動報告が行なわれた神戸集会=12月15日、神戸市内  国鉄闘争をめぐっては、今年7月、鉄建公団訴訟控訴審で東京高裁・南裁判長が裁判外での解決協議を提案、当時の冬柴国交大臣が「誠心誠意努力する」と発言し、解決への糸口が見えかけた。兵庫ではこれを受け、その気運を高めようと9月に集会を予定していたが、解散・総選挙をめぐる政局流動化でようやくこのほど開催の運びとなった。
 集会では、1万1200人が集まった10・24中央大集会のビデオを上映。続いて「国鉄分割民営化・国鉄闘争とは何であったのか」と題して「兵庫県国労闘争団を守る会」の佐野修吉事務局長が問題提起。赤字財政解消でなく国労解体が目的だったことを報告した。
 佐賀から兵庫に単身で常駐している鉄建公団訴訟原告団の大串潤二さんは、「22年の長期闘争だが納得できる解決を図りたい。この闘いは決して孤立していない。最後までご支援を」と力強く訴えた。
(K)
武庫川ユニオン尼崎市役所分会支援闘争委員会
 住民票入力業務の偽装請負問題から始まった武庫川ユニオン尼崎市役所分会の安定雇用を求める闘いは、今年3月のストライキによる闘争を経て派遣から臨時職員としての直接雇用には結びついたが、来年4月以降の雇用のあり方については明確でない。これをめぐり、武庫川ユニオンや支援の自治労などは、これまでの交渉経過からしても市は嘱託雇用として安定雇用を図る責任があると主張し、交渉を重ねてきたが、市当局はいまだに明確な回答を示していない。
尼崎市役所前での早朝行動=12月12日  この間、安定雇用を求めて全国から1262の団体署名が集まり、尼崎市長に提出されている。
 しかし、なお市長のかたくなな態度に対して、武庫川ユニオン尼崎市役所分会支援闘争委員会は11月29日に市内の主要ターミナルで街頭宣伝行動を行なったのにひきつづき、今月10日から12日の3日間、市役所前でビラを配布して出勤の職員に安定雇用の実現を求める闘いへの理解と支援を呼びかけた。
 今後、交渉による解決への見通しが進展しない場合には、同委員会は、1月7日から8日には県内支援団体から、9日から11日には全国の支援団体から抗議のファックスを送る取り組みを予定。それでも解決しない場合は、1月21日から23日まで市長室前での連鎖座り込み行動を構えている。