「新社会兵庫」 2月24日号
2月議会前に市民集会開く 尼崎市
 全国ではじめての公契約条例の制定が実現するのか、注目が集まる尼崎市で、条例制定への気運を高めようと、2月市議会の開会を間近に控えた12日、「今こそ公契約条例を 尼崎市民集会」が尼崎市立労働福祉会館で開かれた。集会には127人を超える市民が参加し、あらためて公契約条例の意義や内容、また、条例案審議の論点の解説などを聞いた。尼崎市では昨年の12月議会に議員提案で公契約条例が提案され、継続審議となったが、2月議会では26日の本会議で採決される予定だ。

2月議会を前に全国初の公契約条例を制定させようと決意しあった市民集会=2月12日、尼崎市内  超党派でつくられた「尼崎にリビング・ウェイジ条例の制定をめざす市民の会」が主催した。尼崎労連・佐々木副議長の司会で始まった集会は冒頭、会を代表して酒井浩二・尼崎地区労議長があいさつ。アメリカで最初にリビング・ウェイジ条例を制定したボルティモア市に見立て「尼崎を日本のボルティモアに」と呼びかけた。
 続いて、超党派で条例案づくりを進めてきた「公契約条例を実現させる議員の会」から小柳久嗣・尼崎市議(新風グリーンクラブ)が連帯のあいさつ。破綻が明らかになった新自由主義への反省もなく、市営バス、学校給食、保育所などさらに民営化を推進する内容の来年度予算を批判、公契約条例の問題は市政全体を変える闘いでもあると訴えた。
 さらに、都築徳昭議員(虹と緑)が、@基本理念などをうたった基本条例A核心的な部分である公契約制度のあり方に関する条例B公共事業の契約制度のあり方に関する条例の3つからなる公契約条例案の解説を行なった。Aには、公契約の賃金の最低額は市の行政職の高卒初任給を下回らないこととする、などの内容が盛り込まれている。
 また、辻修議員(共産党議員団)からは条例案の論点が紹介された。条例案の提出も全国ではじめてのことで、市側は、事業者の経営裁量権に対する「違法性」の疑いとか、政策の整合性などを問題にして反論している。
 このあと、自治労組織局アドバイザーの小畑精武さんが、「アメリカ リビング・ウェイジ条例で得たもの」と題して講演を行ない、アメリカでのリビング・ウェイジ運動の経過や特徴、制定による成果などを紹介した。
 小西純一郎・尼崎地区労事務局長からは、すでに1万1600筆以上の署名を市に提出したことが明らかにされた。 
 最後に、大槻・自治労県本部書記長がまとめを行い、「公契約条例制定運動を地域の社会運動と捉えたい。住民の暮らしを守るという自治体の責務を体現していくものだ。尼崎から全国に広げ、大きな社会運動として発展させていこう」と結んだ。
 公契約条例案は、23日の総務消防委員会で採決ののち、26日午前10時30分からの本会議で採決され、決着がつく。
09年度から始まる借金返済
 神戸空港が開港して丸3年を迎えた2月16日の昼休み、神戸市役所前で神戸空港問題は終わったのか?―開港3年を問う≠副題に掲げた「神戸空港開港3年抗議集会」が開かれ、約150人の市民が参加した。
神戸空港開港3年抗議集会では市政批判があいつぎ、今年の市長選で市政を変えようとの訴えが目立った=2月16日、神戸市役所前  神戸空港の将来をめぐっては暗雲が垂れ込めたままだ。搭乗者数は3年連続で319万人の需要予測を下回り、3年目は268万3千人と過去最低を記録した。減便が続き、開港時には全国7都市に1日27往復あった便が、今年4月からは5都市22往復になる。
しかも、09年度からは神戸市が空港島建設のために借金した1982億円の返済が始まるが、その返済を賄うとした土地の売却は依然として進んでいない。これまで売却・賃貸できたのは全体の6%にすぎず、神戸市は07年度からは分譲価格を半額にするなどして優遇しているが、それでもこの現状だ。3年期限だった優遇策は今後も続けるとしており、土地の売却が進まない場合は不足分を企業会計で立て替えるとしている。
 この日の集会では、呼びかけに賛同した20団体から順次、神戸空港問題に対する訴えが行なわれ、財政問題、海洋環境問題など、それぞれに神戸空港が抱える問題点を厳しく指摘、追及した。あわせて、市民病院の移転問題にも批判が集中した。さらに、今年が神戸市長選挙の年であることから市長の交代で神戸市政を変えようという訴えも多くなされた。
 新社会党神戸市議団からはあわはら富夫議員が財政問題を中心に訴えた。原和美さんも参加して賛同団体のひとつである「平和のための市民行動」を代表して訴えた。
09教育労働講座 教労研と神戸Wユニオンが共催
 兵庫教育労働運動研究会と神戸ワーカーズユニオンの共催で「立ち上がる青年労働者―非正規労働者の現状と課題」と題する「09教育労働講座」が1月31日、神戸市内で行なわれた。
東京フリーライター全般労組委員長の清水直子さんが講演=1月31日、神戸市内  講師は、東京のフリーター全般労組委員長の清水直子さん。清水さんはまず、04年に結成した同労組を紹介。8割が20代、30代の青年でほとんどが年収200万円以下の非正規労働者で、「自由と生存のメーデー」というサウンドデモや労働相談などに取り組んでいる。
 「労働相談で感じるのは、『働く場所で自分が大切にされた経験がない』という思いを持つ派遣労働者が多いということ。日々職場が変わったり、ていねいに仕事を教えてもらえなかったり……」と問題を指摘した。
 しかし一方で、組合が自信を取り戻す場≠ノなっていることも強調。「神奈川にあるガソリンスタンドで働くアルバイトの仲間が経費削減で仕事を減らされることに対して要求をすると解雇通知が来た。彼らはストライキで闘った。その仲間の一人が『今までで一番楽しかった』と感想を述べたが、自分たちの仕事が奪われるのと同時に正社員がサービス残業を強いられたり、過労による労災事故が起きたりしたのを見て、『これは社会全体の問題だ』と立ち上がったのだ。『今の若者は闘わない』とよく言われるが、彼らはストライキを見たことがないし、闘うことで状況を変えられる経験がない。ぜひ若い人と一緒に実感できるようにしてほしい」と訴えた。
 また、参加した教員に対して、「ぜひ学校でも模擬団交の授業をするなど、生徒に自分たちで変えられるという実感を持たせてほしい」と呼びかけた。
(T)
新社会党県自治体議員団会議
 新社会党兵庫県自治体議員団会議(議長・あわはら富夫神戸市議)は6日、神戸市内で定例議会前の研修会を開催した。
 世界的な金融危機にともなう不況の波が、日本でも労働者を襲うなか、自治体の役割は、そこで働く労働者はもちろん、行政が発注する事業を請け負う労働者に対しても、雇用や労働条件を守る大きな社会的責任を負っている。とりわけこの間、自治体は、財政難を理由に正規職員を臨時・非常勤職員などの非正規職員に置き換えてきたが、その割合は全国平均ですでに全体の17%に達している。
 研修会ではそれぞれの自治体での状況がつき合わされ、芦屋市では非正規職員の割合が3割に達している状況も報告された。また、現在、尼崎市で制定に向けて取り組まれている公契約条例についても報告と議論がされた。すでに条例案は昨年12月に議会に上程され、審議が継続中だが、市当局はこの間の議論の中で、民間の労使協定の賃金・労働条件に公共は介入できないという「違法性」や、国全体の政策として実施しなければ効果が薄いという「政策の合理性」を根拠に、条例制定を見送るべきだと主張している状況も報告され、全国で初めてとなる公契約条例制定の焦点が議論された。
 また、いま兵庫県内で進められている「反貧困・反失業ネットワーク」(仮称)設立に向けた動きにも議員団として協力していくことを確認した。
(N)
神戸市北区の縫製会社「川上(株)」
 神戸市北区にある縫製会社、川上(株)。同社はここで働く8人の中国人技能実習生を残業させながら、最低賃金以下の残業代しか払っておらず、いま、8人の実習生たちは神戸ワーカーズに加入、未払いの残業代を払えと要求して闘っている。
 彼女たちは26歳〜38歳で、中国・上海と四川省出身。国際研修協力機構(JITCO)が運営する「外国人技能実習制度」により研修生として来日、06年2月から同社や同社の子会社で働いてきた。
地域の駅前でビラまきしながら訴える神戸ワーカーズユニオンのメンバーと中国人実習生たち=2月7日、神戸市北区・鈴蘭台駅  しかし、明らかになってきたのは、まさに現代版「女工哀史」とも言うべき労働実態。彼女たちは毎日4時間、8時間と残業をして土曜、日曜も休みはなく、残業は月平均196時間にものぼる(ユニオンの計算)。毎日9時から17時45分まで働いた後、15分の休憩時間に夕食を食べ18時からはほとんど残業だ。眠くなれば眼を覚ますため、コーヒーの粉を食べて仕事を続けたという。
 それでも支払われた3年目の残業代は時給440円。兵庫県の最低賃金では残業代は時給890円だから、その半分以下。残業が禁止されている1年目の研修生時代には時給285円で残業させられており、未払いの残業代は、3年間で一人あたり約400万円になる。
 未払いの残業代400万円を求めた彼女たちに会社から示された金額はなんと一人あたり5万5千円。違法を認めながらも、「会社にはカネがないないから払えない」「法定額では会社はやっていけない」「払うなら、日本人従業員を優先したい」など、不誠実きわまりないものだ。
 彼女たちは、神戸西労働基準監督署に訴えるとともに、入国管理局にも滞在延期申請(2月6日が帰国予定だった)を行いながら、鈴蘭台駅前での街頭ビラ配布の行動などに参加して訴えている。
 8人には中国に残してきた子どもたちが待っているが、「早く解決して1日も早く帰国したい」と述べている。
「年越し派遣村」が提起したもの
―製造業の「09年問題」で年度末までにはさらに大量の派遣労働者をはじめ、多くの非正規労働者の解雇が予想される。40万人という数字もあるが、この事態に立ち向かおうとするとき、「年越し派遣村」の取り組みは大きな教訓と課題を私たち投げかけているが……。
決意を語る塚原久雄・ひょうごユニオン事務局長=2月16日 塚原 すでに多くのところで報告されているように、派遣村には505人が入村し、生活保護申請者数が290人、登録したボランティアが約1700人。職も住居もなくした人たちの自立のための総合相談窓口ができた。そして集まったカンパが約4300万円。その他、炊き出し用の食材食料などのカンパなども含め、すごい数字だと思う。
 何よりも「派遣村」の大きな意義は、「派遣切り」の問題を社会問題化し、「貧困問題」を可視化したことだ。そして、政治・行政を動かした。ユニオン運動と反貧困運動の結合も見ることができる。これは大きい。
 そうした取り組みの中から派遣村実行委員会は声明を出し、「行政による雇用対策が広く社会的に整備・実践されなければならない」として、一時避難所(シェルター)の全国での開設や自立支援のための総合相談窓口の設置を訴えている。また、企業に対しては、社会的責任を果たすために大企業16社で33兆円にもなる内部留保の取り崩しや役員報酬の減額などの経営努力とともに、企業の負担で「再就職支援基金」を創設し、シェルターや新たなセーフティネット、職業訓練の財源とすることを要求している。
 ただ、派遣村村長を務めた湯浅誠さんは、派遣村の成果は限定的であり、これからの運動の広がりにかかっているとも述べている。
運動の輪を広げて「反貧困」に取り組む
―こうした提起をどう受け止めていく?
塚原 あの「年越し派遣村」には、阪神・淡路大震災直後の被災地での活動がダブって見える。被災労働者ユニオンを立ち上げ取り組んだ労働相談や、被災者が上京し、同じ日比谷公園にテントを張って、そこを行動の拠点として生活再建支援法の実現のための宣伝行動や要請行動をした当時の経験が、今回の取り組みの一つの原点になっていると思う。だから、なおのこと、3月末に向けた取り組みは強めたい。
「年越し派遣村」の光景=1月1日、東京・日比谷公園  ただ、今の限りある力ではとても対応できないことは明らかだ。だから、準備を進めなくてはならないのは当然だが、どのように運動を広げ、担う力の結集、ネットワーク化をより広く図っていくのかを一方で追求していかないといけない。人も金もまったく足りない。まず、最低すべきことをていねいに行いながら、そこへの新たな力の結集を図る。
 緊急雇用対策を軸に兵庫労働局への申し入れや、県・市など自治体に対する要望にも取り組む。さらに、3月6日、7日にはできる限り広く呼びかけてホットラインを開設、「派遣切り」など非正規労働者の解雇問題などの相談活動に取り組む。おのずと生活保護の問題なども含めた“総合相談”的な性格を持たざるをえなくなってくるだろう。私たち自身が試される。さらに、例年開催される3月14日の「ひょうご闘う仲間の集会」などへの結集で、いまある闘争課題とともに、新たな課題として、どれだけ貧困問題を訴え、また、受け止められるようにしていくかだ。法的な問題の改善など長期的な構えも必要だ。
インフォメーション
■原和美を国会に送る会 時局講演会A
「年越し派遣村からの提起−私たちの課題は?」
  • と き:3月7日(土) 午後2時
  • ところ:兵庫県私学会館(JR阪神元町から北へ徒歩5分)
  • 講 師:安部誠さん(全国ユニオン事務局長)
    「派遣村」を中核で担った方々のおひとりです