「新社会兵庫」 2月9日号
 阪神・淡路大震災から1月17日で丸15年。この日、犠牲者の追悼、被災者の再会と交流、復興の検証などさまざまな催しが阪神間の各地で持たれたが、15年が経った今も大震災はなお大きな課題を私たちにつきつけている。そのひとつが震災によるアスベスト被害だ。08年2月、倒壊建物の解体作業に従事した労働者が13年間の潜伏期間で中皮腫を発症、労災認定を受けたことが明らかになった。こうした事態を受けこの問題にずっと取り組んできたNPO法人「ひょうご労働安全衛生センター」などが「震災とアスベストを考えるシンポジウム」を開催、この課題を神戸の地から発信した。
石綿を考えるシンポ開催 1.16
 シンポジウムは1月16日、神戸市勤労会館で開かれ、会場を一杯にする約300人が参加した。
約300人の市民が参加して震災とアスベストの問題について学び考えた=1月16日、神戸市勤労会館  冒頭、主催者の実行委員会を代表して神田雅之・ひょうご労働安全衛生センター理事長があいさつ。「震災の第3被害といわれるアスベスト被害について問題提起を受け考え合う場」と、シンポジウムの趣旨を説明した。
 その後、2つの基調講演が国連ハビタット親善大使を務めるマリ・クリスティーヌさんと寺園淳さん(独立行政法人国立環境研究所)によって行なわれた。クリスティーヌさんは震災時の児童への防じんマスクの配布の運動体験などを語り、寺園さんは、震災時の実態調査などにもとづいてアスベスト飛散の危険性の問題を提起し、解体現場での除去作業者などに対する健康影響追跡調査の必要性を訴えた。
 さらにその後、中地重晴さん(環境監視研究所)、小坂浩さん(元兵庫県立公害研究所)、名取雄司さん(中皮腫・じん肺・アスベストセンター)のパネラーに寺園さんも加わり、西山和宏・ひょうご労働安全衛生センター事務局長の進行役でパネルディスカッションが行なわれた。
「震災緊急時のために防じんマスクの備蓄を」と訴えたマスクプロジェクト=1月17日、神戸市三宮  この中では、今後起こりうる大震災に向けて、全国的なアスベスト使用建造物の把握とアスベスト・マップ作りの重要性が強調されるとともに、吹き付けアスベストの早期の安全・確実な除去などが訴えられた。
 集いの最後に「アスベスト被害のない社会を!」と題した「震災から15年神戸宣言」が採択された。
 翌17日の午前は街頭に出て、三宮センター街の入り口付近で防じんマスクを通行人に配りながら、将来の震災に備えて防じんマスクの備蓄の必要を訴える「マスクプロジェクト」を行なった。
 「一人の被災者も取り残さない!」「今後の良き前例となる支援施策の実現を!」をスローガンに掲げた「1・17追悼・連帯・抗議の集い」が第15回を迎え、今年も1月17日早朝から神戸市役所1号館前で開かれた。主催は兵庫県被災者連絡会や神戸の冬を支える会など6団体が参加する実行委員会。
神戸市役所前につくられたステージでは連帯のあいさつや歌、演奏が続いた=1月17日、神戸市  会場には、焼香・献花・記帳のためのテントや被災地と被災者の現状を問題提起する展示コーナーが設けられたほか、午後から始まったステージでは、賛同団体・賛同人からの連帯のあいさつとともに、初回からずっとこの集いに出演している三田太鼓、歌手の趙博さん、はるまきちまきさんらによる激励、連帯の演奏が披露された。
 15年にわたって集いを呼びかけてきた河村宗治郎さん(兵庫県被災者連絡会会長)は、15年を振り返り、「大震災以後の数多くの大災害のたびに『大震災の教訓は生かされていない』との思いを持たされ続けている。元の所、元の生活に戻るという被災者の生活再建の視点が欠落したまま来ているからだ」と復興施策の問題点を述べている。
阪神・淡路大震災15年でシンポ開催
 阪神・淡路大震災から丸15年を1週間後に控えた1月10日、「大震災の教訓とは何か」をテーマにしたシンポジウムが神戸市中央区の兵庫県私学会館で開かれた。主催したのは「1・17追悼・連帯・抗議の集い実行委員会」。
 精神科医の野田正彰・関西学院大教授、熊野勝之弁護士、阿久沢悦子・朝日新聞記者の3人をパネリストに、サンテレビの浮田信明さんがコーディネーターを務めた。
パネリストがそれぞれの立場と視点から復興施策などの検証を行った=1月10日、兵庫私学会館  シンポジウムはまず3人のパネリストがこの15年について、それぞれの強い問題意識や感想を表明することから始まった。そのなかでは、「災害について語るときの視点が国家の側からか、被災者からかによって見えてくるものが全く違ってくる。大事なことは被災者とともに歩みながら事実の中から教訓化することだ」(野田教授)、「震災という人災は個人の権利(人権)を確立しないところにやってくる。これが最大の教訓だ」(熊野弁護士)などと述べられた。
 さらに、被災後の居住問題について意見を述べあい、「避難所から仮設住宅、さらに復興住宅と単線しか認めず、それぞれ居住の期限を切ったことが住民のコミュニティを何度も断ち切り、いまもそれが尾を引いている」(阿久沢記者)、「住居の再建には建物の側面と、そこが生きる空間という2つの側面がある。壊されたときに一緒に耐えた人と一緒に移っていけば、人は希望を持てているものだ。それが上からの視点でバラバラにして生きる力を失わせた」(野田教授)、「国際社会ではすでに確立されている社会権としての居住の権利が日本ではまだまだ進んでいないことが大きな問題だ」(熊野弁護士)などと語られた。
 公的支援についても、個人の住宅再建に公的資金が使われなかったことに共通して批判が出た。
1万人の共同意見広告などで 憲法をめぐる今日の情勢について上脇博之・神戸学院大学教授の講演に学んだ=1月23日、神戸市兵庫区
 毎年5月3日と11月初旬の県憲法集会を取り組んでいる憲法闘争交流会(事務局=憲法・兵庫会議、自治労兵庫県本部、全港湾神戸支部、憲法を生かす会・神戸など)が、いま取り組み中の「憲法を活かす1万人共同意見広告運動」や「核廃絶1千万署名」の運動を促進しようと1月23日、兵庫勤労市民センターで交流会を開いた。
 各地域の「憲法を生かす会」組織や労働組合、市民団体からそれぞれの運動の取り組み状況が報告されるとともに、憲法をめぐる情勢などについて、上脇博之さん(兵庫県憲法会議事務局長、神戸学院大学法科大学院教授)の講演に学んだ。
 上脇さんは、今日の憲法情勢から今年5月3日の「憲法を活かす1万人意見広告」の意義を説き起こすために、@憲法施行から63年間に進んだ平和的生存権の侵害、社会権的基本的人権の侵害の問題点A今年5月18日に完全施行される改憲手続法と改憲勢力の動きB日米安保条約改定50年と普天間基地移設問題C今の通常国会に提出予定の国会法「改正」法案の問題点D5月3日から開始される核拡散防止条約(NPT)再検討会議をポイントに解説。
 とくに国会法「改正」問題に注目し、この法案が通ればいつでも解釈改憲が拡がる可能性があることや民主が参院選で単独過半数をとった後は危険であることなどの指摘をしながら、「今年の5月は憲法、生活、核兵器問題で非常に重要な時期だ。一緒に意見広告運動を成功させ、運動を広げていくことができれば、それは憲法を活かす社会づくりになる」と、講演の最後をエールで締めくくった。
1.26〜27 神戸市
 全国自治体労働運動研究会・西日本研修会が1月26、27日の両日、約30名が参加して神戸市内で開かれた。
2日目は本山美彦・京都大学名誉教授の講演に学んだ=1月27日、神戸市中央区  地元の原和美・新社会党兵庫県本部委員長の歓迎あいさつと松枝佳宏・同中央本部書記長から問題提起を受けた後、研修会を開始。1日目は長南博邦・野田市議から「議会基本条例と議会改革」について問題提起と報告を受け、引き続き長南市議と都築徳昭・尼崎市議が「公契約条例の意義」について報告。さらに、菊地憲之・全国自治体労働運動研究会運営委員から「兵庫県での自治体市場化とのたたかいと教訓」の報告を受け、質疑・交流を行った。
 その中で、議会基本条例が全国で作られはじめている背景として、地方分権で議会の責務が高まり、一方で定数削減や議会不要論が増大する中、二元代表制としての役割発揮や住民に開かれた議会改革が求められるようになり、北海道栗山町議会、会津若松市議会などの先進的な例が紹介された。また、公契約条例は今年、野田市で全国初の条例が制定されたが、長南市議は、この背景に兵庫での自治体市場化を許さない自治労運動や尼崎市議会での条例制定の取り組みがあったことを指摘し、野田市の条例制定が全国的な条例制定運動の突破口をつくる意義があることを強調した。
 2日目は本山美彦・京都大学名誉教授から「新自由主義の総括と社会のあり方」と題して講演を受けた後、今後、議員同士のネットワークづくりや交流を深めていくことを確認し日程を終了した。
(N)
新春の集い=1月30日、神戸市内  新社会党兵庫県本部は1月30日、神戸市内のホテルで「2010年新春の集い」(旗開き)を開いた。社民党兵庫県連、市民団体、労組の代表など多くの来賓や党員を前に、原和美委員長は今年の参議院選挙でもさらに護憲の共同の輪を広げたいなどと決意を語った。
インフォメーション
神戸空港開港4年抗議集会
  • と き=2月16日(火) 12時15分〜13時
  • ところ=神戸市役所1号館前