3割引きの土地売却で
神戸空港の財政破綻始まる
2005年10月6日空港請願反対討論
私は請願第103号から請願第109号に至る 7請願に対して先ほどの委員長報告に反対して、7つの請願を採択する立場で討論いたします。
この7つの請願はいずれも空港整備事業会計への市税投入など市民への行政の説明責任を求めるものや空港建設の凍結・中止や環境アセスのやり直しなどをもとめているものです。神戸空港の開港が2月16日に迫ってきているにもかかわらず、未だ凍結・中止を求める請願が多数寄せられ、中止を求める訴訟が行われるなど、神戸空港が市民の市政に対する不信の大きな要因になっています。賛成・反対いずれの結果になろうとも7年前の住民投票がなされていればと残念でなりません。
そもそも、神戸空港は必要性、需要予測、財政計画、空域調整、安全性、海洋環境の問題など未解明未解決の課題が残されたままとなっています。
特に、今回の空港新産業特別委員会では、土地処分など財政計画と空港開港後の管理収支と市税投入問題が大きな焦点となりました。業務施設用地での譲受人の公募が明らかにされましたが、これも土地の値段を3割値引きして、わずか0.3fの売却処分です。開港前にして、民間売却予定地97.9fのごくわずかといわねばなりません。局長は委員会で「建設事業費を100億円圧縮したからその枠の中で値引きによる売却を進める」と答弁されました。しかし、いったん値引きすれば、それが売買実例となって、今後の売却値段の前提になるのは不動産取引の常識です。局長は「誘致をはかることによって、土地の価値を高めることができる」と、27万円という高値に戻すことができるとの趣旨の答弁をされました。しかし、今回の空港業務施設は駅でいえば駅前の土地であり、本来はもっとも不動産価値の高いところであり、そこを値引きしておいて、空港からもっとも離れている処分緑地が1平米27万円で売れるとはとうてい思えないのです。条件の恵まれた土地を3割値引きすれば、それが上限でさらに値引きしなければならなくなるのは資本主義社会の常識です。100億円の建設費の圧縮がされ、97,9fの土地がすべて売却されたとしても3割引では470億円、5割引ではなんと1000億円もの収支不足がでることになります。今回はレンタル事業者を対象とした3割引ということですが、これは100億の枠でとどまるとは考えられず3年後から始まる起債の償還に大きな問題を残すことになるのではないでしょうか。
また、空港開港後の管理収支についても、局長は従来から着陸収入は18億円で、支出は10億円、交付税や県の補助金などで十分管理は賄っていけると答弁されてきました。ところが、今回は「各航空会社の機材繰りが明らかになる11月には着陸収入が決まり管理収支について精査したい」との答弁で、「賄っていける」との答弁は聞くことができませんでした。41便の仙台空港の着陸収入が13億円であるにも拘わらず、30便の神戸空港が18億円だというのは最初から無理があります。、また、機材繰りも中型機が中心となれば着陸収入は10億円前後になることが予想されます。このような背景の中で、償却資産税の空港特会への投入問題が出てきたという新聞報道もうなずけるのです。この償却資産税の投入問題で、局長は市長はあくまで一般財源との考え方のようだが、予算で決めるものであり、投入は市税を投入しないとした市会決議とは矛盾しないと強弁されました。これは、今回の償却資産税の扱いをどうするかの問題でなく、管理収支に収支不足がでれば市税を投入するとの表明であり、今後に大きな問題を残すことになりました。
また、市民グループが第6回目の海洋環境調査を行い、今回の調査は8月7日に行われ、今年も空港島東側地点から東の海域では溶存酸素が1ppmを切る状況で生物がいない死の海底になっていることが明らかにされました。これは、6年間の経年調査で、2001年空港島の護岸が海面上に現れた時点を境にして、空港島東側での溶存酸素がほとんどないに等しいということの連続5年の実証となっています。山野参与は、このような状況の中でも、空港島の形状が原因でなく、「高温・少雨」などの気象条件にその理由を求める答弁をしました。ところが、2003年夏期の「低温・多雨」でも同じく空港島東側で溶存酸素が1ppmを切ったという結果が市民グループの調査で明らかにされています。
当局の今年8月10日に行った調査でも、空港島西に比べ東で低層溶存酸素が大きく低下していることが委員会答弁で明らかにされました。気象条件の変化に関係なく同じ結果が5年間続いているということは、空港島の形状によって海洋環境の変化が現れていることであり、環境アセスのやり直しは当然のことです。
最後に、淡路の空を守る会から3月22日に明らかになった神戸空港飛行経路案について淡路市長連絡協議会に報告がなされていないことや、飛行経路案での騒音・電波障害への懸念があり淡路市長連絡協議会の再開を求める陳情が出されました。当局は、平成6年の12月に合意した飛行経路案と大筋で変わっていないことや淡路市町と明石市に説明したとの答弁がなされました。
しかし、今年8月2日の新聞報道によれば、関空の2期運用想定の国土交通省のシュミレーションでは、神戸空港の滑走路東側から離陸し、明石海峡に向かう出発機が騒音軽減のための陸域で設定された6000フィートの最低高度まで上昇できないまま北部上空を通過したとの記述があり、そうなれば淡路北端部で騒音の可能性がでてきます。また、淡路市長に3月22日23日にかけて説明された言われましたが、その後に合併された市もあり十分な説明がなされたとは思えないのです。淡路市町連絡協議会の再開と実機飛行での安全性、騒音、電波障害などの調査が今こそ必要ではないでしょうか。
このことつけ加えさせていただいて、以上請願第103号から請願第109号に至る 7請願に対して新社会党議員団を代表しての討論といたします。